March.15.2019
1913年フランス生まれの
小説家・劇作家です
代表作には
『ペスト』
『異邦人』
『シーシュポスの神話』があります
『カリギュラ』
『誤解』などを演劇で上演し,
劇作家としても活躍しました
タレントのセイン・カミュさんの
大叔父様に当たる方です
1957年には,
「この時代における
人類の道義心に関する問題点を、
明確な視点から誠実に照らし出した、
彼の重要な文学的創作活動に対して」
という理由で,
ノーベル文学賞が授与されています
本日はこのアルベール・カミュの
名言のいくつかをご紹介したいと思います
(和文拙訳)
まずは,
心についてのコメントからです
Blessed are the hearts
that can bend;
they shall never be broken.
しなやかであれる心を持つ人は
祝福されている
というのも,その心は
決して折れないだろうから
老子が,
大風が吹いた時,
大木は折れるが雑草は折れない
と語っていたことを彷彿とさせます
本当の強さは優しさだと言います
こわばりは死の仲間であり,
しなやかさは生の仲間である
とかく世の中では重・高・強が
強さの指標となる美徳とされがちですが,
実はそれらは表層的なもので,
長期的に見れば短命であったりします
何よりも,他益的ではありません
では,その「こわばり」を要求されがちな
世間的な様々な課題には
どう対処していけばいいのでしょうか
The only way
to deal with an unfree world is
to become so absolutely free
that your very existence is
an act of rebellion.
不自由な世界に対処する唯一の方法は,
まさにあなたという存在が
反乱行為となるほど
絶対的に自由になることだ
存在そのものが反乱行為…
「する」ことではなく「ある」ことで
社会的無意識を突破できる存在こそ,
真の自由人でしょう
ただ,
その反乱は「無秩序」ではありません
In order to exist,
man must rebel,
but rebellion must respect the limits
that it discovers in itself -
limits where minds meet,
and in meeting, begin to exist.
生きるためには
人は反乱しなくてはならないが,
反乱はそれ自体の中に見出される
限界を尊重しなくてはならない
つまり,人と人が出会い,
出会うことで生き始める限界だ
つまり,カミュの提示する反乱とは,
この世に生まれ出た一存在にとっての
生得権のことです
Every act of rebellion
expresses a nostalgia for innocence
and an appeal to the essence of being.
反乱の行為全ては
無垢さに対するノスタルジアと
存在の本質に対するアピールだ
スティーブ・ジョブズも言っていましたように,
人に指図されない人生を送ってこそ
真の自分に気づけるはずです
老子は
道徳を語る者は道徳的ではない
知る者は言わない
と言いました
You will never be happy
if you continue to search for
what happiness consists of.
You will never live
if you are looking for the meaning of life.
幸せが何から出来ているのか
追求し続けている限り,
決して幸せにはなれない
人生の意味を探し求めている限り,
決して生きられない
自分探しをしている間は自分に出会えない
子どもが無邪気に遊びまわっている時,
「幸せとは何か」など考えません
健康状態が万全な時,
呼吸など気にしません
All great deeds and
all great thoughts
have a ridiculous beginning.
Great works are often born
on a street corner
or in a restaurant's revolving door.
あらゆる偉大な行動も
あらゆる偉大な思考も
はじめは滑稽なものだ
偉大な作品が街角やレストランの
回転ドアで生まれることはよくある
千里の道も一歩から,
です
カミュの逆説の論理は,
その繊細な感性から
自然と湧き出るものでした
たとえば,
美についての次のコメントからも
それは見て取れます
Beauty is unbearable,
drives us to despair,
offering us for a minute
the glimpse of an eternity
that we should like to stretch out
over the whole of time.
美は短気で,
私たちを絶望へと駆り立てるが,
いつまでも時を超えて
手を伸ばしたくなる永遠の一瞥を
一瞬にして提示してくれる
夕焼けの美
虹の美
それらは束の間,
かりそめの存在ですが,
誰しもに崇高な感覚を呼び起こします
ですがその滅びの美学が
さらなる好奇心をかき立て,
一瞬にも関わらず永遠の価値を持ちうる
現象の背景となっています
カミュの人間論は
人の弱点を指摘すると同時に
強みもあぶり出すものです
Those who lack the courage
will always find a philosophy to justify it.
勇気のない人々はいつでもそのことを
正当化する理屈を見つけるものだ
この対偶を取りますと,
勇気のある人々はいつでもそのことを
正当化する理由など見つけはしない
となります
前出の,
幸せを追求する人は幸せにはなれない
とする主張と同値です
ですから…
Integrity has no need of rules.
誠実さにルールなどいらない
カミュのことばには,
日常生活ではほぼ無意識でいるけれど,
言われれば当然だと思ってしまうことを
ごく自然な語りで諭してくれるポエジー,
<詩性>が溢れている気がしてなりません
An intellectual is someone
whose mind watches itself.
知的な人とは自分の心が
それ自体を見つめられる人のことだ
気づけば他者を批判ばかりしたくなり,
そうすることで体良く
自己弁護してしまっている透明なエゴ,
自分の無意識が恥ずかしくなります
ですが,どうしてこうも
「自分を客観視」出来ないのか,
あるいはしようとすら思えないのか,
愕然としてしまうこともあります
そうした小生に,
カミュが優しく教えてくれた答えは,
このことばです
Man is the only creature
that refuses to be what he is.
ヒトは今の自分であることを拒む
唯一の動物である
やっぱり…
それでは,このへんで