tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語で名言を:真の幸福に至れるのであれば,それまでの悲しみは,エピソードに過ぎない(宮沢賢治)

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                                              Dec.8.2018

 

宮澤賢治は1896年,岩手県生まれの

詩人・童話作家・農学博士です

 

唯一の詩集『春と修羅』でデヴューし,

注文の多い料理店』,『雨ニモマケズ

銀河鉄道の夜』,『風の又三郎』など,

多数の詩や童話を残しました

 

また,現在の岩手大学農学部

農学博士号を取得していたこともあり,

晩年は近隣の農家の方々に

農業指導しながら

著作活動をしていました

 

37歳の若さで他界しました

没後,草野心平らの尽力で世に広まり,

絶大なる支持を今も受け続ける

日本を代表する詩人となりました

  

本日はこの宮澤賢治の,

名言をいくつかご紹介したいと思います

(英文拙訳)

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まずは,賢治の時間感覚が

うかがえる一言です

 

一つずつの小さな現在が

続いているだけである。

Just each tiny present

has been continuing 

 

これは…と思って探しましたら,

やはり次のようなコメントがありました

 

我々が出来ることは、

今を生きることだけだ。

過去には戻れないし、

未来があるかどうかも定かではない。

All we can do is live now.

We can’t go back to the past,

nor  it isn’t certain

whether the future will be. 

 

ピカソ然り,スティーブ・ジョブズ然り,

偉人たちが異口同音に唱えることばです

 

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賢治の作品の魅力は,

その変幻自在な意識が,

人間の外面世界と内面世界を

自由に往復している点にある

と思います

 

たとえば…

 

けれども、ここはこれでいいのだ。

すべてさびしさと悲傷とを焚いて、

ひとはとうめいな軌道をすすむ。

But, this is OK, just this.

Boiling all the sorrows and griefs,

we go ahead

along the transparent orbit. 

 

さびしさと悲しみ,

それらを燃料として焚き,

とうめいな銀河を進みゆく

 

銀河鉄道の夜』で

賢治が描いたイメージは,

何よりも,内面宇宙の無重力圏を

目的があるのかないのかも

わからないまま,

移ろいゆくアイデンティティ

真空の描写でした

 

宇宙は絶えずわれらによって変化する

誰が誰よりどうだとか 

誰の仕事がどうしたとか 

そんなことを言つてゐるひまがあるか

The universe changes

according to our behavior;

who is superior to the person,

or how is the job of somebody...

Do you have a leisure

to say such a thing? 

 

すでに俗世を達観した

賢じゃの眼差しが,

小宇宙と大宇宙,

ミクロコスモスとマクロコスモスを

同時に見据えていることが

分かります

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賢治の作品は言うまでもなく,

単に「児童文学」というジャンルで

括ることはできないものです

賢治の読者ターゲットは,

老若男女の内奥に

誰しもが宿しているはずの,

「永遠の子ども」

でした

ですから…

 

無意識から溢れるものでなければ、

多くは無力か詐偽である。

 Unless it springs

from our unconscious,

much is helppress or a fraud.

 

恐らくはかなり多くの部分を

自動書記的に作品を書いていた

賢治にとって,

意図して計画的になされる所業は,

そのことばに深みを持ち得ない,

という思いがあったのでしょう

 

逆に言いますと,賢治の無意識は

悪を善に昇華するほどのエネルギーを

持っていました

 

かなしみはちからに、

欲りはいつくしみに、

いかりは智慧にみちびかるべし。

We should make our sorrow power,

greed compassion,

and anger wisdom. 

 

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時に賢治の口調は,

激しく同時代人を

断罪するほどのものでした

 

おれはすこしぐらいの仕事ができて 

そいつに腰をかけてるような 

そんな多数をいちばんいやにおもうのだ

I hate the many most

that can do a little job,

and settle there

 

思わず,居住まいを正さねば,

と思わせられるコメントです…

 

農学校教師でもあった賢治は,

生徒たちにこう呼びかけていました

 

新しい時代のコペルニクスよ, 

余りに重苦しい重力の法則から 

この銀河系統を解き放て

A Copernicus of the new era,

relieve this Galactic System

from the too heavy law of gravity.

 

ケタ違いの呼びかけです!

何というムチャぶりでしょう…

 

ですが,

賢治自身はこれを本気で思っていて,

それを全うすべく生涯を終えた人でした

 

さらに…

 

雲から光から嵐から

透明なエネルギーを得て、

人と地球に

よるべき形を暗示せよ

Given the transparent energy

from clouds, light, and the storm,

imply the form

that people and the earth

should depend on. 

 

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賢治の「大物ぶり」が感じられる

ことばがありました

 

人はやるだけのことはやるべきである。

けれどもどうしてももうできないときは、

おちついてわらっていなければならん。

落ちつき給え。

A person should do

as much as possible; however,

when you can’t do more,

you should be calm and smile.

Do be calm.

 

あきらめが肝心,

とよく言いますが,

ほんたうのあきらめとは,

こうした一種の悟りに近いもの

なのでしょう

 

仏教では「あきらめ」とは,

「諦め」であり同時に,

「明らめ」でもあると考えます

 

あきらめておちついてわらう

 

ドン底でネガティブなことさえも,

瞬時にしてポジティブな原理へと

垂直移動しうる

 

賢治のメッセージに

一貫して言い得る共通項は,

この点だと思います

 

真の幸福に至れるのであれば、

それまでの悲しみは、

エピソードに過ぎない。

If you can’t reach the fortune,

the previous sorrows are

just episodes.

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

 

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