tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語の名言:太陽と海は決してお金では買えなかったから(アルベール・カミュ)

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                                                        Feb.27.2018 

 

 

アルベール・カミュは,1913年フランス生まれの

小説家・劇作家です

 

代表作には『ペスト』『異邦人』

『シーシュポスの神話』があります

カリギュラ』『誤解』などを演劇で上演し,

劇作家としても活躍しました

 

タレントのセイン・カミュさんの

大叔父様に当たる方です

 

1957年には,

「この時代における人類の道義心に関する問題点を、

   明確な視点から誠実に照らし出した、

   彼の重要な文学的創作活動に対して」

ノーベル文学賞が授与されています

 

小生は高校2年生の時,

夏休みの課題で『異邦人』を読んで感想文を書く,

というものがあった際,

題名で

カフカの『異邦人』を読んで」

と書き,

現国の先生に爆笑された記憶があります…

 

当時,  哲学関係のものばかり読んでいて,

小説にはどうも奥手で,

カミュカフカの区別もついていなかったのです…

 

このことをきっかけに,  カフカの『変身』だけは

新潮文庫で薄かったので,読みました

その夜は変身を恐れて眠れませんでした…

 

ちなみにドストエフスキーは,何か

海外の乗り物の名前かな?ぐらいに思っていました

 

本日はこの,  個人的に奇妙な思い出の深いカフカ

いえ,カミュの名言のいくつかを

ご紹介したいと思います

(英文一部拙訳)

 

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カミュの鮮烈な比喩が印象深いコメントからです

 

    In the depth of winter,

    I finally learned that within me

    there lay an invincible summer

    真冬のさなか,

    私はついに自分の中に

    揺るぎない夏があることを悟った

 

夏=太陽=真実,

『異邦人』を貫くモチーフでした

喩えるスケールが,自身の内面描写にもかかわらず,

季節にまで拡大されています

 

  Truth is, as well as light, dazzling.

  Falsehood is, on the contrary, a beautiful twilight,

  which makes everything something great.

  真実は,光と同様に目をくらます

  虚偽は反対に美しい黄昏であって,

  すべてのものをたいしたものに見せる

 

夕焼けに映える景色では

空,山,川,海だけでなく,

猫や犬や人でさえも,劇的に美しくなります

 

反対に真昼の太陽はすべてを照らし出すので,

私たちの目はくらみます

 

ただ,ピカソまで行きますと,

芸術作品じたいが発光し太陽になってしまいますが…

tsuputon7.hatenablog.com

 

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 続きまして,友人についてです

 

    Don’t walk behind me;

    I may not lead.

    Don’t walk in front of me;

    I may not follow.

    Just walk beside me

    and be my friend

    僕の後ろを歩かないでくれ

    僕は導かないかもしれない

    僕の前を歩かないでくれ

    僕はついていかないかもしれない

    ただ僕のそばを歩いて

    友だちでいてほしい

 

後ろや前は自分との比較対象となります

過去と未来と考えてもいいかもしれません

 

真の友人関係は競争であってはなりません

自己矛盾に陥ってしまうからです

競争を躊躇うカミュは,

友人に常に「今・ここ」に,

ただ隣にいて一緒に歩いて欲しいのです

 

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カミュは仕事に関して,次のように述べています

 

    Without work, all life goes rotten,

    but when work is soulless,

    life stifles and dies

    仕事なくしてはイノチはすべて腐ってしまう

    だが,仕事に魂が込められなければ,

    イノチは窒息し死んでしまう

 

とある国で今「働き方改革」が論じられていますが,

やりがいのある労働とそうでない労働の質まで

突っ込んだ議論など,

どこまでできることなのでしょうか…

むしろこの問題は現場の各経営者方の

人としての良心が問われているのだと思います

 

     There is no more fearful penalty

     than unprofitable and hopeless work.

    無益で希望のない労働以上に

    恐ろしい刑罰はない

 

では,  どうすれば良いのでしょうか… 

 

    The strong heart, intelligence, and courage

    can prevent the power of your destiny,

    and often reverse it.

    強い心,知性,勇気があれば

    運命の力を阻み,

    しばしばそれを逆転することが可能である

 

運命を自ら切り開くしかないのです

tsuputon7.hatenablog.com

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自分が逆境にあっても,

カミュの想像力は彼を真に豊かにしていました 

 

Poverty was not always what I should hate,

because I could never buy the sun and the sea.

貧困は僕にとって必ずしも憎むべきものではなかった

なぜなら,太陽と海は決してお金では買えなかったから

 

ただ者ではない理由づけです

 

その通り,  

かつて人類で太陽と海を買えた人はいません

 

人間の所有欲は尽きないものですが,

買えたところで,せいぜい大豪邸やジェット機,

広大な別荘止まりで,  ちっぽけなものです

残念ながら太陽と海までは所有出来ません

 

じつは人の心一つ買えやしないのですから

買えたつもりになっても…

 

逆に,太陽と海を本心から

愛で続けることができる人の方が,

心のマハーラージャ(大富豪)あることは

間違いありません

 

大金持ちの方でも,

心のホームレスの方は

ゴマンといらっしゃいますから… 

 

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    Hope is, opposed to the general belief, 

    even equal to giving up;

    and living is not giving up.

    希望とは一般に信じられているのとは反対で,

    あきらめにも等しいものである

    そして,生きることはあきらめないことである

 

オリンピックの選手たちの活躍を見て

感激しましたのは,

最終的に勝つ人は決して諦めていないということ,

ただそれに尽きるのかもしれません

それを見ることで,私たちは無言のうちに,

自然と「生きる」とは何かというメッセージと勇気を

頂いているのです

 

小平奈緒さんがおっしゃったように… 

tsuputon7.hatenablog.com

 

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だからこそ,「つべこべ」言う必要など無いのです

 

    You will never be happy

    if you continue to search for

    what happiness consists of.

    You will never live

    if you are looking for the meaning of life

   幸せが何から成っているのか

   探し続けている人は,

   決して幸せになれない

   人生の意味を見出そうとしている人は,

   決して生きているとはいえない

 

そしてカミュは言い切ります

 

   Life itself has no meaning;

   hence the worth of living.

   人生それ自体に意味などない

   意味がないからこそ,生きるに値するのだ

 

人生それ自体はキャンバスに過ぎません

そのキャンバスそのものに何の意味もありません

そこに絵の具を使って色付けしていき,

意味を与えるのは人間です

 

そこにキャンバスがあるからこそ描く

それだけのことです

 

tsuputon7.hatenablog.com

 

 

かく言うカミュの問題解決法は,

パラドックスを積極的に生きることでした

 

    In the end, one needs more courage to live

    than to kill himself.

    結局のところ,生きていくというのは

    自殺するよりも勇気のいることだ

 

さらに,このようにも断言します 

 

There is not love of life without despair about life. 

生への絶望なしに生への愛はありえない

 

生への絶望と愛の振り子は

左右に大きく揺れ続けます

その単振動そのものが「生きる」証であり,

その動的図式があって初めて,

私たちは自分を,

そして他者を愛することができます

 

    Live to the point of tears.

    涙が出そうになるくらい生きろ 

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

 

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