tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語で名言を:大事を成さんと欲する者は、まず小事を務むべし。(二宮尊徳)

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                                                June.26.2018

 

 

二宮尊徳は,

1787年現在の神奈川県小田原市生まれの

経世家・農政家・思想家です

 

尊徳は「たかのり」で,

「そんとく」ではありません

また,二宮金次郎という通称の本来の表記も,

「金次郎」ではなく「金治郎」だそうです

 

江戸時代後期に,

地域の農業社会の復興などで

大活躍されましたが,

特に後世,自助的農政モデルとして

自主的に国家に献身・奉公する国民の模範

として,山縣有朋らによって政治利用され

敬愛の対象となり,伝説化したようです

 

冒頭の写真にもあります

苦学勤勉の象徴「二宮金次郎像」が,

今の子どもたちには「歩きスマホ」に

見えるらしく,

新しく像を作るときに立像ではなく

坐像にするところも多いそうです

 

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かの立像「負薪読書図」のように

幼少期に本人がしていたかどうかは

信憑性が薄いそうですが,

少なくとも尊徳の「実直さ」「学問好き」

な性格は表されているとされます

 

ニュートンの「リンゴの木」同様です

tsuputon7.hatenablog.com

 

本日はこの,二宮尊徳

名言のいくつかをご紹介したいと思います

(英文拙訳)

二宮尊徳 - Wikipedia参照

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まずは,尊徳の性格がうかがえる

コメントからです

 

大事を成さんと欲する者は、

まず小事を務むべし。

大事を成さんと欲して小事を怠り、

その成り難きを憂いて、

成り易きを務めざる者は、小人の常なり。

それ小を積めば大となる。

Those who want to achieve greatly

should first deal with small things.

Those who want to achieve greatly

but neglect small things

and regret the difficulty

and still don’t try easy things

are always trifle people.

If you pile up small things,

you’ get something big.

 

「小さいことからコツコツと」

は,これが由来なのでしょうか…

 

小人ほど難しいことが出来ないと嘆き,

目の前の当たり前にできる易しいことを

おざなりにする

 

千里の道も一歩から

塵も積もれば山となる

 

すでに太古の昔に老子が言っていました

tsuputon7.hatenablog.com

 

続きまして,商売の極意とも取れる

フレーズです

 

すべての商売は、売りて喜び、

買いて喜ぶようにすべし。

売りて喜び買いて喜ばざるは

道にあらず。

貸借の道も、また貸して喜び、

借りて喜ばざるは道にあらず。

All businesses should be selling pleasantly

and buying pleasantly.

It isn’t true selling pleasantly

and buying unpleasantly.

This is also the case with rent;

lending pleasantly and

borrowing unpleasantly isn’t true, either.

 

尊徳は江戸時代後期にして,

売る側も買う側も喜ぶ,

「ウィン・ウィン」の精神を

語っていたのです

単なる「損得」勘定ではありません

 

賃貸関係でも同じく,

当事者双方が「喜び」得るかどうかが

大切だとしています

 

売り手が顧客を狡猾に騙して

「ひっひっひ」と儲けるだけの

ギブ・アンド・テイクではなく,

ギブ・アンド・ギブに基づくこの発想は,

今でこそグローバルに

標語として用いられますが,

当時は斬新な発想だったのかもしれません

 

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また,お金が集まる場所については…

  

人皆貨財は富者の処に集まると

思へども然らず。

節約なる処と勉強する所に集まるなり。

All the people think money gathers

only to the rich, but it isn’t true;

it gathers to those who save and study.

 

お金持ちの所にお金が集まるという

固定観念を軽く否定して,

「節約」と「勉強」を

キーワードとしています

 

尊徳の「勤勉」のイメージは

どのようなものだったのでしょうか?

 

人道は一日怠れば、

たちまちすたれる。

Even one day’s idleness

can make a person spoiled at once.

 

一日の怠けがたちまち人を廃れさせる…

ある意味で的を射過ぎていて,

二の句が継げません… 

 

さらに…

 

貧者は昨日のために今日つとめ、

昨年のために今年つとめる。

それゆえ終身苦しんでも、そのかいがない。

富者は明日のために今日つとめ、

来年のために今年つとめるから、

安楽自在ですることなすことみな成就する。

The poor work today for yesterday,

this year for last;

therefore, they won’t be rewarded,

even if they have suffered all their lives.

the rich work today for tomorrow,

this year for next, so they can live

as they like easily and succeed

in whatever they do.

 

端的に,

過去志向は貧者,未来志向は富者

の性質だと述べています

 

開国以前の日本にあって,

資本主義社会の到来を

予感していたのでしょうか

 

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この尊徳の発想は自然と道徳的含蓄も

持ち合わせていました

 

楽しみを見て

直ちに楽しみを得んと欲するものは、

盗賊鳥獣に等しい。

人は勤労して後に楽しみを得る。

Those who want to get pleasures

immediately after they see them

are like burglers or birds;

Only after hard work

do they get pleasure.

 

心理学で「マシュマロ実験」

と呼ばれるものがあります 

 

幼児たちを集め,先生がこう言います

 

   今からちょっと先生いなくなるけど,

   ここにあるマシュマロを

   すぐに食べた人には一つ,

   先生帰って来るまで食べなかった人には

   もう一つあげます

 

 そして5分後に先生が帰って来るのです

 

この時,目の前に放置されたマシュマロを

待ちきれずすぐに食べる子と,

歌を歌ったり独り言を言ったりして

気を紛らわせてでも待てる子とでは,

将来,学校の成績や就職後の年収,

さらには犯罪率や

麻薬中毒者になる確率まで,

如実に違って来るというのです!

 

尊徳曰く,

勤労の後の楽しみこそ,

健全な楽しみだと…

 

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尊徳は徹底したリアリストでした

 

キュウリを植えれば

キュウリと別のものが収穫できると思うな。

人は自分の植えたものを収穫するのである。

Don’t think you’ll be able to reap

other than a cucumber, just by planting it.

People only reap

what they planted by themselves.

 

まさに「自業自得」です

過度な期待も絶望もするではなく,

ただやったことの見返りのみを求めよ,と

 

さらに人間観察においてもリアリストでした

 

人々にはそれぞれ長所もあり、

短所があるのは仕方がない。

相手の長じているところを友として

劣っているところは友としてはいけない。

人の短所を捨て、長所を友とするのだ。

It is natural

that people have one's own

merits and demerits.

You must make friends with the merits

and  mustn’t do with demerits.

You should make friends

with the merits, cutting off the demerits.

 

まるで,快進撃を続ける

サッカー日本代表西野監督

コメントのようです

tsuputon7.hatenablog.com

 

目の前にある小さいことを大事にして,

誠実勤勉に働き,

過去ではなく未来のために今を生きる

 

あまりの「ホワイト」さに,

我が身を恥ずかしく

思わないで入られません…

 

最後に,経済と道徳についてです

 

道徳を忘れた経済は、 罪悪である。

経済を忘れた道徳は、 寝言である。

The economy forgetting morality is harmful.

The economy forgetting economy is nonsense.

 

尊徳にとって,

人あっての経済であり,

経済あっての人だったのです

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

 

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