tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語で名言を:デザインは希望を表さなければならない(三宅一生)

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                                                 June.19.2018

 

 

三宅一生さんは,1938年広島生まれの

デザイナーです

 

1965年にパリに渡り,

洋裁学校で学び,

ヴァンシィで仕事されました

そして三年後に5月革命に遭遇,

デモに参加する若者たちを見て,

「こういう人たちの服を作りたい」

と決意されたそうです

 

「一枚の布」という

一貫したコンセプトのもと,

プリーツ関連の独自開発をされるなど,

ISSEI MIYAKEブランドは

一本の糸にもこだわりつつ,

あくなき進化を遂げ続けておられます

 

スティーブ・ジョブズ氏が

いつも身につけていました

あの黒タートルネックは,

ISSEI MIYAKEです

ジョブズ は100枚,

つまり一生分を発注したそうです

もとは,ジョブズApple従業員の

制服にしようと

一生さんに依頼したものだそうですが,

従業員からの総ブーイングにあい,

自分用作業着としようと考えたそうです

 

本日はこの,三宅一生さんの

名言のいくつかをご紹介したいと思います

三宅一生 - Wikipedia参照

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まずは,

ご自身の「立ち位置」についての

コメントです

 

多くの人は過去を反復する

私には興味が湧かない

私は進化する方が好きだ

Many people repeat the past.

I'm not interested.

I prefer evolution.

これは未来目的志向の

アドラー心理学を思わせます

過去のトラウマ(心的外傷)に

囚われるのではなく,

常にこれからの未来に意識を

向け続けること,

そうして自分の思い描く目的を

達成すること,

それこそが幸福の源である,と

 

私は自分の過去によって

定義されようとはしなかった

I tried never to be defined

by my past.

tsuputon7.hatenablog.com

 

そして一生さんは,

自分を人と比較しません

 

私は服を作っているのであって,

流行り物なんて気にしない

I make clothing,

and I don't care about trendy things.

この発想を一貫して支えたのが,

「一枚の布」というコンセプトでした

 

私の仕事は全て,

最初期の文明に遡る

最も単純なアイデアから生まれる

つまり,一枚の布から服を作るのです

それが私の試金石です

All of my work stems from

the simplest of ideas

that go back to the earliest civilizations:

making clothing from one piece of cloth.

It is my touchstone.

時を超えた人類の祖先に対するリスペクトは,

同時に世界共通語としての服を志向しました

 

服は世界共通の言語のようなもの

常に世界で通用するものを

目指しました。

The clothing is like a universal language;

I’ve always aimed at something

understood all over the world.

 

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一生さんの「一枚の布」は

ある意味で究極の「生活感」に

依拠するものです

 

ファッショナブルな美学なんて作らない…

生活に基づいたスタイルを創っている

I do not create a fashionable aesthetic...

I create a style based on life.

そもそも,

「ファッション」に対する考え方からして,

「非」常識的なものでした

 

私はファッションが私にとって

仕事だなんて一度も思ったことがない

衣服!

そんなのは西欧の社会的な産物です

I never thought

fashion was the job for me,

because I'm Japanese.

Clothes!

That was a European, society thing.

また,ファッション界の

常識そのものも破壊します

 

衣服は個人の親密な建築だ

と呼ばれ続けてきました

私たちはそれを超えていきたいのです

Clothing has been called

intimate architecture.

We want to go beyond that.

 

一生さんは衣服と人体の間の空間を

常に意識されるそうです

つまり,着心地です

生活あっての衣服と考えられる

一生さんだからこその発想です

 

一日一日発想し、

それまでにないものをつくり、

新しい現実をつくる。

Day by day,

we make something never before,

and create a new reality.

 

ジョブズが好んだのも,もっともです 

 

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一生さんは日本社会と「美」,

「ものづくり」について,

次のように述べておられます

 

日本の社会には,

構えずに美を語り合ったりする場が少ない

本来はそういう場があっての

「ものづくり」ではないか

There are few places to disucuss beauty

without hesitation;

I wonder if we can really ‘make things’

when we have such places.

 

美を語り合うこと

 

実は江戸時代などには

もののあはれ」について,

一般庶民が語り合う風習さえ

あったと言います

 

元禄時代など物質的豊かさが

あった社会だからこそ,

という見方もありますが,小生は

実はそれは現代の価値観を

投影しているに過ぎず,

美を愛でる心の豊かさが一般常識として

先にあったのではないか,

という仮説を,切に信じたくなります

 

言葉にできるのなら,服は作りません

If I can say it, I don’t create clothes.

 

わび・さびでしょうか…

 

衣服を通してより良い社会をつくる

We try to make a better society

through clothing.

 

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尾形光琳「燕子花図屏風」 

元禄文化の代表的装飾画です

 

 

一生さんはご自身の女性観を

次にように語っておられます

 

私は自分自身の人生に対する考え方を

持っている女性たちが好きです

確信を持ち,

自分と上手く付き合い,

内面が強く,自分に誇りを持っているー

傲慢にではなく,

見せびらかそうともしないで

I like women

who have their own idea of life:

the woman who is assured,

comfortable with herself,

strong inside, proud of herself -

not in an arrogant way,

not showing off.

 

「自立した女性」像を

見事に表現されておられます

 

自分の仕事や目標に向かって

ひたむきな方は,

自然と美を発光するものです

  

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また一生さんは,

歳を重ねた人とファッションについて

こう述べておられます

 

私は男女にかかわらず,

歳を重ねてもプライドを持ち

エネルギーを失わない人たちを尊敬します

ファッション界はそうした方々を

忘れてしまっていると思います

I respect men and women

who age and are proud

and don't lose energy.

I think fashion forgot those people.

すでに到来している

高齢化社会日本において,

「美しく老いる」ことは

この国の幸福論に

必須要項だと思います

 

一生さんにとって,

老若男女問わず,

服を着る人は美的対象です

そうした人々にデザインを通じ,

何を伝えたいのでしょうか?

 

デザインは希望を表さなければならない

The design must represent hope.

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

 
  

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