tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語で名言を:ないものを求めるより,あるものを良くしていく(西野朗)

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                                                  June.20.2018

 

 

サッカーFIFAワールドカップで,

日本代表がコロンビア代表に勝ちました! 

 

開始 3分で香川選手のシュートに対し,

相手のゴールエリア内のハンドによる

ペナルティーを誘ったのも,

単なる偶然とかラッキーと言うよりは,

選手たちの気迫が最初から勝っていたから

ではないでしょうか? 

 

就任してまだ2カ月余りで,

この結果を導き出した,

西野朗監督

 

ワールドカップでアジアのチームが

南米チームに勝ったのも

史上初めてだそうです

 

2点目を入れた時の

本田選手の投入の絶妙なタイミングも,

投入3分後に大迫選手へのアシスト

という形で実を結びました

 

知人とLINEでリアルタイムで 

共に熱く観戦でき,

喜びを分かち合いました

 

まだ初戦が終わったばかりですが,

あまりのスペクタクルを見せてくれた

日本代表チームとそれを率いる西野監督に,

敬意を表さざるをえません

 

本日は元来の予定を変更し,

少し気が早いのかもしれませんが,

この西野朗監督の

名言のいくつかをご紹介したいと思います

(英文拙訳)

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西野監督就任後,日本代表チームは

親善試合で連敗しました

その後の記者会見で「詰問」された

監督のコメントは… 

 

何か,否定的にならなければ

いけないんでしょうか?

Do I have to be somehow negative?

 

初っ端の一言から,強気でした

 

選手たちは手応えを感じていますし,

成果があった

と思います  

The players are feeling something

and they have got some achievement,

I think.

 

心ない質問をする記者たちの期待を

裏切るかのような前向き発言

 

彼らの嘲笑姿が目に見えるようでした

 

そして昨日の試合直前のコメントも… 

 

受け身にならずに行きます

We will go, not being passive.

 

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西野監督は前監督から

このチームを引き継いだ時,

次のように語っておられました

 

積み上げてきた日本のサッカーがある

技術的に世界で通用する部分は

たくさんあるし,

規律を持って組織的に戦える強みもある

Japanese football has had many things

and has many parts available technically 

in the international games;

and we also have the strong point

to fight systematically, keeping discipline.

 

あくまでゼロスタートではなく,

これまでの「積み上げ」を生かそう

という姿勢だったのです

 

前監督は強さ,速さ,推進力を

求めて強く発信してきたが,

それに追いつかない部分があった

ないものを求めるより,

あるものを良くしていく

そこで勝負した方が早い

Our previous manager had insisted

on strength, speed, and promotion

but they hadn’t followed him somewhere.

We will make what we have better,

not seeking for something we don’t have,

which will be quicker way.

 

確かにあの頃は,

選手たちがついて行けてなかった感が

否めませんでした...

 

ですが西野監督は,

前監督の業績を完全否定するのではなく,

その良いところと良くないところを

見極めた上で,

すでにあるものを積極活用しようと

されたのです

 

昔から僕は

常勝クラブと呼ばれるようなチームには

入っていないし,

中位を上位にしたり,下位を中位にという

チーム作りを志向したりするのが

自分という人間でもある

I haven’t belonged to a team

called always-winning team since before,

and I am the kind of man

who tries to make the team,

letting the middle to the higher

or the lower to the middle.

 

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同じように思っておられる方も

多いかと思いますが,

西野監督はあの端正な顔立ちと

ソフトで冷静な語り口にもかかわらず,

マインドは相当強気な方です

 

63歳とは思えない,

静かだけど若々しいエネルギーが,

お顔からみなぎっています

 

西野監督の強気が如実にうかがえる

ことばがあります

 

ガンバ大阪監督時代の2011年,

セレッソ大阪との開幕戦直前の発言です

 

殴られたら殴り返すスタンスではなく

一方的に殴り続けたい

綺麗な顔で終わりたい

I don’t want to keep the stance

to hit back when I’m hit,

but keep hitting in one way;

I’d like to end up having a beautiful face.

 

ある意味,怖いぐらい究極の強気です! 

超攻撃的サッカーを目指されている気概を,

これほどうまく表現していることばも

ないかもしれません

 

さらに具体的には…

 

そのうち入る 3点目なんてない

There is no third we can score some time.

 

前半2対0で勝ちモードになってしまっていた

チームに対して,

ハーフタイムに喝を入れられた時の

コメントです

 

2点取られたら,3点を,

3点取られたら,4点を

If they score two, get three.

If three, four.

 

昨日の試合は開始 3分で点が取れたためか,

受身がちになってしまったのは

否めませんでした

それが原因でしょうか,

相手に見事なペナルティキックからの

ゴールを決められ,

同点にされてしまいました

 

その後のどんよりとした空気…

観戦していまして,

なんとも言えない嫌なものでした

また…なのかな…

マイナスの既視感と言いますか…

 

そこで西野監督は,

ハーフタイムで

選手たちにこう言われたそうです

 

自分たちでボールをコントロールしろ

Control the ball by yourselves.

 

強気です!

勝ちに出たのです

引き分け狙いとかの受身じゃない! 

 

あの南アフリカ

歴史的勝利をした時の,

ラグビー日本代表チームが,

ラストプレイでスクラムを選択したことを

彷彿とさせます

 

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かつて結果を出していなかった

ガンバ大阪を,西野監督

強豪チームに変えました

 

その発想の根源は… 

 

選手中心のシステムにする

I will make a system

centered by my players.

 

さらに…

 

スタイルは

手元にいる選手の顔ぶれで決める

I will decide that style

by seeing my players at hand. 

 

臨機応変な,

非常に柔軟な発想でした

 

ガンバはシステムありきで

タレントが成立するのではなく,

タレントありきでシステムが成立する

Gamba consists of the system;

not establishing talents,

but establishing the system made of talents.

 

こうした発言をし,

現実にチーム作りができるリーダー像は,

とりわけ今後の日本社会に

喫緊に必要なものかも知れません

 

 

メディアアーティストで筑波大学准教授の

落合陽一氏は,

「リーダー2.0」と称して,

次世代のリーダー論を語っておられます

 

落合氏によりますと,従来の,

「俺が,俺が」「俺についてこい」的な

父権的リーダーは,

昔のヴァージョンという意味で

「リーダー1.0」で,

既にそういうタイプの人には

ついていけない若者が急増している

と言うのです

 

そうではなく,

どこか緩やかで女性性があり,

部下の意見をよく聞き,

自分の弱さも認め部下に仕事を任せられ,

自分の考えを押し付けるのではなく,

彼らのポテンシャルを最大限引き出せる

リーダーが必要だと

 

そして個々が活性化できる場を作れる方を,

「リーダー2.0」と呼んでおられるのです

 

西野監督は確実に,

このタイプかと思われます

tsuputon7.hatenablog.com

 

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西野監督の強気は

すでに国境を超えていました 

 

国際舞台は

自分の限界を見極める場所ではないし,

あくまでプロセス

The international stage is not the place

where you find out your limitation,

but only a process.

 

限界は自分で限界だと思ったら

限界なだけです

tsuputon7.hatenablog.com

  

昨日の試合直後の,

インタビューでの監督のコメントです

 

先制できたのが

非常にリズムを作れた要因です

We got the first,

which made us our rhythm very well.

 

確かにその通り!

でもあれは,偶然ではないと思います! 

 

選手たちがほんとにタフに戦ってくれた

My players fought very toughly.

 

ちゃんと自分の選手たちをねぎらっています!

素晴らしいかな,「リーダー2.0 」!

 

清々しい位に,

これまでの日本代表チームにはない

新たな感動と可能性を感じざるをえません

 

このチームと監督を,

次世代日本社会のケースモデル

と考えてしまうのは,

早急極まりないことでしょうか? 

 

自分たちのストロングなものを

いかに出していけるか,

これが重要だと思います

How we can express

our strong point:

this is important, I think.

 

続くセネガル戦,ポーランド戦,

そして決勝リーグでも

また嬉しい驚きを分かち合わせて頂けるもの

と思っております

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

 

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