Red Room(Harmony in Red)
June.6.18
アンリ・マチスは,
1869年,フランス生まれの画家です
フォービズム(野獣派)の先駆者として
知られています
自然を愛し,
緑あふれる世界を描き続けました
「色の魔術師」とも称されます
個人的には,学生時代に
『ジャズ』シリーズと呼ばれる
切り絵の展覧会で感激し感化され,
しばらく切り絵作りに
没頭した時期がありました
本日はこの,アンリ・マチスの
名言のいくつかをご紹介したいと思います
(和文拙訳)
Portrait Of Madame Matisse (Green Stripe)
マチスの作品は基本的に
「明るさ」にあふれています
それは彼自身の普段の
積極的思考を表していたようです
Derive happiness in oneself
from a good day's work,
from illuminating the fog that surrounds us.
一日いい仕事をしたこと,
私たちを取り巻く霧に光を当てることから,
自分の中に幸せを引き出しなさい
とは言っても,もちろん絵に対して
妥協はしませんでした
There is nothing more difficult
for a truly creative painter
than to paint a rose,
because before he can do so
he has first to forget all the roses
that were ever painted.
本当に創造的な画家にとって
この上なく難しいのは,
薔薇を一本描くことだ
というのも,描くことができる前には,
これまで描かれた薔薇全てを
まず忘れなくてはならないからだ
誰のとも似ていません
ピカソの画風が様々な要素を
貪欲に取り込んで「剽窃」とさえ
言われたのとは好対照です
大きな関心は示しませんでした
「我が道を行く」人でした
Creativity takes courage.
創造性には勇気が必要だ
The Goldfish Bowl
マチスの作品にどこか郷愁めいた,
ほっとするものを感じるのは,
彼の「主観」が色濃く反映している
からかもしれません
I do not literally paint that table,
but the emotion it produces upon me.
私はあのテーブルを文字通り描くのではなく,
それが私に生み出す感情を描くのだ
ピカソが思考を表現したとすると,
マチスは感情を表現したとも言える
と思います
その想いは形よりは
色に託されていました
It is only after years of preparation
that the young artist should touch color -
not color used descriptively,
that is,
but as a means of personal expression.
若い芸術家が色に触れるべきなのは
何年も準備した後でのみだ
描くために使われた色ではない,
つまり,
個人的な表現の手段としてである
Nasturtiums with the Painting "Dance" I
マチスの「開放感」は
彼独自の幸福論でもありました
An artist must never be a prisoner.
Prisoner?
An artist should never be a prisoner of himself,
prisoner of style, prisoner of reputation,
prisoner of success, etc.
芸術家は決して囚人になってはならない
囚人?
芸術家は自分自身の囚人,
様式の囚人,評判の囚人,
成功の囚人,などに決してなるべきではない
何かに囚われるのではなく,
自らのオリジナリティを固守すること
それをマチスは宣言していました
You study, you learn,
but you guard the original naivete.
It has to be within you,
as desire for drink is within the drunkard
or love is within the lover.
勉強し学んでも,
自分の元来の素朴さを守りなさい
それは自分自身の中になくてはならない,
飲酒欲が酔っ払いの中に,
愛が愛するものの中にあるように
『王様の悲しみ』
マチスは自分の切り絵を
「平面の彫刻」と捉えていました
Cutting into color reminds me
of the sculptor's direct carving.
色を切り込んでいくと
彫刻家が直接彫っているのを思い出す
まるで運慶が,
木の中から仏様を救い出すかのごとく
彫ったように,
マチスには色紙に
生命エネルギーが宿っているのを
見て取れ,
それを切り出したのでしょうか
A Girl by the Wondow
マチス作品を見て感じる安堵感は
そのバランス感覚かも知れません
部分を部分として扱うのではなく,
他との関係において
部分を捉えようとする意識です
I don't paint things.
I only paint the difference between things.
私はものを描かない
私はものとものの違いを描いているだけだ
こうした意味では少なくとも,
「個人主義的」発想ではありませんでした
科学的客観主義に
価値が吸い取られていってしまう
西洋資本主義のベクトルに対し,
主観=感情あっての客観だと,
色に託して「野獣」の如く表現したのです
Exactitude is not truth.
正確性は真実ではない
The Three O’Clock Sitting
不思議な評価をしています
Impressionism is the newspaper of the soul.
印象主義は魂の新聞だ
魂の新聞…
批評までもがオシャレ過ぎます!
ただ,彼自身後期印象派の
影響を受けたようです
自分自身のうちに幸福を見つけようとした
マチスは,
「神頼み」的な西洋人ではありませんでした
I don't know
whether I believe in God or not.
I think, really, I'm some sort of Buddhist.
But the essential thing is
to put oneself in a frame of mind
which is close to that of prayer.
私は自分が神を信じているのかいないのか
分からない
実際には,ある種仏教徒だと思う
しかし,本当に大事なのは,
祈りの精神に近い精神の枠組みに
自分を置くことだと思う
当時のフランス人にしては
かなり自然愛好家だった
ことからしましても,
「仏教的」な方でした
次のコメントにもそれは見て取れます
There are always flowers
for those who want to see them.
見たいと思う人には,
いつでも花はあるのです
それでは,このへんで
Espagnole:Harmonies en blue