tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語の名言:僕自身が永遠に子どもだから(スティーブン・スピルバーグ)

f:id:tsuputon7:20171213093230j:plain

 

                  Dec.13.2017

 

スティーブン・スピルバーグは幼少期から

自分の「内なる声」との対話を

普通にしていたそうです

そして人と比べることよりも,

過去の自分と今の自分を比べ続けたのだ,と

そういう意味で,

ご自身はいまだ子どもの意識のままのようです

 

とりわけ芸術関係の仕事をする方に

共通する要素として,

最終的には自分の「内なる声」,

子どもの頃から何も変わらない本心を

大切にし,それを何らかの形で表現媒体に乗せる,

そうした志向性が見られると思います

 

ただこの際も気をつけなければいけないのは,

「大人になりたくないから子どものままでいたい」

という,大人との比較をした上での

いわゆるピーターパン・シンドローム

シンデレラ・シンドロームではなくて,

ただただ,自らの生まれ持っての心,  ポテンシャルを

いかにして自らが育てあげ,

最終的に開花させるかという意味での子どものこころが

大切だということです

 

岡本太郎氏やピカソが晩年目指した「子ども」,

宮沢賢治が『銀河鉄道の夜』などで

読者に喚起しようとした「内なる声」,

そしてプラトン

その教育哲学で最も大切にすべきだとした

本人の「天賦の才である独自の好み」も

この子どもの心に当たると思います

 

f:id:tsuputon7:20171213093401j:plain

 

 

ところが,  スピルバーグ

自身は子どもを理解していないと言っています 

 

    I don’t understand children.

    If I could make a movie with a dream,

    that’s because myself was a child forever.

    僕は本当は子どもなんか理解していない

    もし夢のある映画が僕につくれるとしたら,

    それは僕自身が永遠に子どもだからだよ

 

ご自分が子どもだったんですね!

スピルバーグは純粋無垢な子ども時代の,

あの永遠の歓喜を文字通り,

生き続けているでしょう

 

時間=過去+未来としますと

現在というのは実は時間に含まれない無時間性です

「今」に次ぐ「今」に次ぐ「今」…

過去という記憶,  

未来という予測と何の関係もない「今」,

本当はその「永遠の今」が

子どものこころにはわかるけれど,

普通の大人の心には理解不可能になってしまいます

大人は過去の記憶から未来の予測をし続けるからです

ですが,そうした時間という概念に囚われ続け,

本来の「永遠の今」に生きる「永遠の歓喜」,

それを忘却することが,あたかも人生の定めと

なってしまっているかのようです

 

彼がいかに子ども時代を大切にしているかが

わかるメッセージがあります

 

    Ⅰ use my childhood for all my work.

    And all year round.

    I am planning to return there

    to find ideas and stories.

    Looking back at my whole life,

    the most fruitful period was childhood.

 

    僕は自分の子ども時代を自分の全作品に用いている

    しかも年中

    アイデアとストーリーを見つけるために

    そこに戻り続けている

     僕の全人生を振り返って,

     もっとも実り多い時期は子ども時代だった

 

確かに『未知との遭遇』や『E.T.』を始め,

彼の作品全てで必ず幼年期がモチーフになっています

そこに「戻り続けている」という発言自体も,

ピカソの「若くなるのに時間がかかった」や,

太郎氏の「年取るにつれてどんどん若くなっていく」

という名言と,何か通底するものを感じます

 

f:id:tsuputon7:20171213093441j:plain

 岡本太郎『動物』

 

 

大人の世界では毎日の仕事を始め

繰り返し行わなければならないタスクのために,

アイデンティティーが凝り固まり同一であることが

社会的に求められるものです

 

ですが,それは捉え方や工夫によって必ずしも

その同一性を保たなければ社会適応できない,

などということはないはずです

 

スピルバーグの次のことばを見ますと… 

 

    We all become different people

    every year every year.

    I do not think he is the same person

    for the rest of his life.

 

    私たちはみな,

    毎年毎年違った人間になる

    余生ずっと

    同じ人間であるとは思わない

 

自分は自分だから,とだけ思い続けておりますと,

その意識の中に「自分は他人と違って自分だ」という

自意識の餌食になります

そうではなく,子どもの頃から語りかけ続けてくる声,

「内なる自己」との垂直的交通が

スピルバーグにはできているのでしょう

そうした彼からすると,

不変の「内なる自己」を取り巻く服にすぎない

表層的な自分など永続するものではない,

むしろ変わり続けられるんだという確信だと思われます

 

f:id:tsuputon7:20171213093615j:plain

 

 

 

もちろん,  

世の中全ての人がスピルバーグのようであったら,

社会は機能できないでしょう

世界中の人々がみんな宮沢賢治だったり,

ピカソだったり,  太郎氏だったら…

想像するのは非常に面白いですが,

現実ですと社会の運営は成り立たないでしょう

ピカソが大統領で,太郎氏が総理大臣とか…

 

ですが,彼らのような存在がいてこそ,

私たちは自分の生まれ持った「子どものこころ」を,

「内なる声」を時に思い出し,

リフレッシュして,生活のほこりを洗い落とし,

また新たな活力をもらって,元気に生活していかれる…

 

真の芸術家とはそういった,

現実を再解釈させる夢を与え続けてくれる存在でしょう

 

もっとも,

スピルバーグまで行くと,もはや,

超越的な聖なる境地に達しているかと思いますが… 

 
    I don’t dream at night,

    I dream all day;

    I dream for a living.

    私は夜に夢を見るんじゃない

    一日中夢を見ている

    生きるために夢を見てるんだ

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

 

f:id:tsuputon7:20171213093704j:plain

tsuputon7.hatenablog.com

tsuputon7.hatenablog.com

tsuputon7.hatenablog.com