tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

天才の秘密は子どもの魂を大人になっても持ち続けるということ

 

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                         Dec.4.2017

 

天才と凡人の違いについては

古くから様々な考察がなされていますが,

こと芸術的なことに関しては

あたかも凡人とは無縁であるかのような扱いを受けがちです

 

ところが,数々の芸術家たちが口を揃えていますのは,

凡人であっても,

子どもの頃はみんな天才だと言うことです

 

子どもは遊ぶとき,

永遠の歓喜に包まれています

未来に対する悩みも過去に対する後悔もなく

ただ目の前のことが楽しいから,

遊びのために遊ぶ

それがある意味子どもの真骨頂というものです

 

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後々,歳をとるにつれて

社会適応上,過去を顧み未来を予測する,

つまり時間軸に沿って生きることが要求される

そうした子どもらしさを抑圧・忘却させられていきます

 

ところが,天才はそうした子どもらしさを

何歳になっても忘れず,むしろそれを自ら守り続けて,

それを守ることに生の炎を捧げて

生涯を閉じる人がほとんどです

 

ピカソは次のように述べています

 

    Every child is an artist.

    The problem is how to remain an artist

    once he grows up.

    子どもは誰でも芸術家だ

    問題は,大人になっても

    芸術家でいられるかどうかである

社会は子どものように予測不可能で

不測の事態を引き起こす存在よりも,

その社会にとって都合の良い大人が望ましいのです

時の為政者にとって利益になるために,

文句も言わず働き続ける存在,

ミヒャエル・エンデが『モモ』で言った「時間泥棒」,

つまり,子どもらしさを去勢された人間です

 

tsuputon7.hatenablog.com

 

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ピカソとほぼ同じ意見の哲学者に

オルダス・ハクスリーがいます

ハクスリーはイギリスの貴族の子で,

『永遠の哲学』という名著を残した哲学者です

彼は様々な哲学者のことを調べた上で

次のように述べています

 

   The secret of genius is

   to carry the spirit of the child into old age,

   which means never losing your enthusiasm.

  天才の秘密は,

  子どもの魂を大人になっても持ち続けるということで,

  それは決して情熱を失わないということを意味する

 

疲れを知らない子どもの魂の情熱…

 

どうしてもこのような発言を見ますと思い出されるのが,

岡本太郎氏の

 

    芸術は爆発だ

 

です

 

この「爆発」と言いますのは,太郎氏によると

 

  音もしないにおいもしないで,

  自分の内側で常にぶつかり

  湧き上がり続けるエネルギーの源

 

だということです

 太郎氏は80歳の頃あるテレビ番組で

「先生はおいくつになられるんですか?」

と司会者に尋ねられ,

   はたち

と仰ったあと,かぶり気味に,

   年取るごとにどんどん若返っていく

と付け加えておられました…

 

 

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ハクスリーは,天才の秘密とは,

子どもの魂の情熱を延々と持ち続ける大人であること

としていますが,

ピカソは83歳のときに

1年で400枚近くの版画を作成しました…

 

そして,くしくも,彼が認めた

数少ない芸術家の一人である太郎氏同様,

次のようなことばをしみじみと述べています

 

    It takes a long time to grow young.
    若くなるには時間がかかる

 

それは社会という敵と戦う歴史だったのです

 

    Art is not made to decorate rooms.

    It is an offensive weapon

    in the defense against the enemy.

    芸術作品は部屋を飾るためにあるのではない

    敵との闘争における武器なのだ

 

ピカソにとって自分の作品は

自分の中の子どもを守り続けるための

対社会的な武器だったのでしょう

 

天才は子どもであり続けるために,

つまり永遠の歓喜を永遠の今,

体現し続けるために,

ありとあらゆる手立てで

それを阻止する力とあらがい続けます

 

ですが,芸術家も生きていかなければいけないので

社会との関わりは 不可欠です

この聖俗のダブルバインド=ジレンマとの闘争の歴史が,

真の芸術家の人生といっても過言ではないでしょう

 

 

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ベートーベンはこう述べています

 

   Artists who have won fame

   are embarrassed by it;

   thus their first works are often their best.

   名声を得た芸術家は

   そのことにより惑わされる

   こうして処女作がしばしば最上の作となる

芸術論ではよく耳にすることです

始めはピュアな永遠の歓喜の下に創られた

素晴らしい作品が,結局は

俗なる社会の論理にほこりまみれになってしまって

それ以降のものよりも優れている

 

子どもの魂が惑わされ

駄作しか産めなくなる

 

音楽でも絵画でもこうした処女性が

聖なる子どもの永遠の歓喜をあらわにする

 

俗との戦いのために聖なる武器を作り続けた

ピカソは言い放ちます

 

    Art washes away from the soul

    the dust of everyday life.

    芸術は日々の生活のほこりを

    魂から洗い流してくれる

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

 

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