Feb.3.2018
ミケランジェロ・ブオナローティは,1475年
イタリア生まれの彫刻家,画家,建築家,詩人
です
レオナルド・ダ・ヴィンチと並び,
イタリア・ルネッサンスの万能の天才と称されます
その西洋美術界に対する絶大なる影響力は,
いまだに人類が生み出した最大の芸術家の1人
とされます評価からも,うかがい知られます
彼は貧しい家庭に生まれ育ったこともあり,
富裕層や権力者に対し必ずしも
好意を抱いているわけではありませんでした
現にシスティーナ礼拝堂の天井画作成を
教皇ユリウス2世から強く命じられた時,
快諾したわけではなかったそうです
本日はこの,人間の限界を超えているとまで
絶賛され続けていますミケランジェロの,
名言をいくつかご紹介したいと思います
『階段の聖母』
としていました,彫刻についてのフレーズです
I saw the angel in the marble
and carved until I set him free.
私は大理石の中に天使を見たので,
天使を自由にするために彫ったのだ
これは即,運慶が
木の中に埋まっている仏を掘り出すだけだ
と言ったのを連想してしまいます
古今東西を問わず,時空間を超えた
芸術家の集合的無意識というものがあるのでしょうか,
普遍性を感じざるを得ません
Every block of stone has a statue inside it
and it is the task of the sculptor to discover it.
どんな石の塊も内部に彫像を秘めている,
だからそれを発見するのが彫刻家の仕事だ
そしてその美学は,次の一言に濃縮されています
Beauty is the purgation of superfluities.
美は余分なものの浄化である
『ピエタ像』
間違いなく奇跡といえる彫刻で,
単なる大理石の塊から切り出されたとは到底思えない,
あたかも実物を目の前にしているかのような
完璧な作品
だとしています
ミケランジェロの技術が
超人的完成度を持つに至った背景には,
超人的意志力がありました
The greatest danger for most of us
is not that our aim is too high and we miss it,
but that it is too low and we reach it.
私たちのほとんどにとって最も危険なのは
目標が高すぎて失敗することではなく,
低すぎる目標を達成することだ
「天才」を形容する時,
西洋の文献で散見されます表現が,
神と人との垂直的交通
ということばです
人間として生きて行く以上,
神に到達することは絶対にできないけれど,
その域に少しでも肉迫しようとし続けること,
それが西洋的天才に暗黙裡に求められる宿命
とも言い得ます
当然のことながら,
ミケランジェロの持つべき「目標」は,
地上の重力の束縛から解放されて,
真っ直ぐ神に向かうベクトルにあったに
違いありません
一方で,彼は
天才呼ばわりされることを嫌いました
理由は…
If you knew how much work went into it,
you would not call it genius.
どれだけの労力を注ぎ込んだかを知っていれば,
天才だと呼ぶ気にはならないだろう
努力する才能のことを「天才」と呼ぶのなら,
イチローが
僕は天才ではありません
なぜかというと自分が,
どうしてヒットを打てるかを説明できるからです
と言った気持ちに通ずる何かを感じます
ミケランジェロの次のことばも,
きっとイチローなら共感してくれるでしょう
Trifles make perfection,
but perfection is no trifle.
ささいなことが完璧を生む,
でも完璧はささいなことではない
『バッカス』
イタリア・ルネッサンスと言いますと,
中世カトリック教会の暗黒の歴史から
「文芸復興」運動ですから,
ミケランジェロ自身も自己矛盾を
感じていたに違いありません
人間としてそのポテンシャルを全開しようとしつつも,
教会権力の極みである教皇の命には背けない…
あくまで
神と自分との垂直的交通のみを追求していた姿が
うかがえるコメントも残されています
The true work of art is but a shadow
of the divine perfection.
真の芸術作品は
神の完全性の影に他ならない
ミケランジェロの生は,自らの身体と魂の間の
命がけの振り子運動とも呼んでいいものでした
Death and love are the two wings
that bear the good man to heaven.
死と愛は善人たる者を
天国へと運ぶ二つの羽だ
ですが,その仕事はあくまで,
地上的結果を俗的に要求されるものでした
My soul can find no staircase to Heaven
unless it be through Earth’s loveliness.
私の魂はこの世の愛おしさを通すことなく
天国への階段を見つけられない
聖俗二元論を超克する気魂が自然発光しています
どれだけ,魂が肉体から引きちぎられる痛みを
感じ続けていたことでしょう…
『システィーナ礼拝堂天井画』
そうして,こうつぶやいたのです
Genius is eternal patience.
天才とは永遠の忍耐である
『ダヴィデ像』目が♡に…
それでは,このへんで