May.7.2018
一昨日,東京・表参道で個展を見た後食事をする,
という約束を,知人としました
その個展は非常にクオリティが高く
興味深いものだったのですが,30分で見終わり,
レストランの予約時間まで約1時間半
余ってしまいました
この上ない爽やかさの五月晴れの夕方…
そこで,骨董通りを抜け
ぶらぶら散歩して戻ってくるのはどうかなと提案し,
そぞろ歩きしました
かねてよりたびたび言及させて頂いております通り,
小生にとって幼少期から
太郎氏は不可分一体の存在だと,
僭越極まりないことですが,
一方通行で思っております
これまで何度ここを訪れてきたことか…
これまで何度挫折し,何もやる気がなくなった時,
ここを訪れ,瞬時に絶望を希望にし,
全身全霊を浄化しリセットさせて頂いたことか…
もはや小生にとっては,
地上のどんな神社仏閣や教会や歴史的遺産よりも,
いついかなる時にでも,
身も心も洗って頂ける場所です
何もかもが初期化されます
小生のこころが iPS細胞になります
3次元・4次元・5次元全レベルで,
あまりに心地よいそよ風の吹く中,
たっぷり充電ができました
本日はこの岡本太郎氏の,
これまで取り上げさせて頂けなかった
名言のいくつかを新たにご紹介したいと思います
(英文拙訳)
小生が二十数年前に東京の神保町の古本屋さんで発見し買った,
1980年初版本です
なんと,直筆サイン本でした…
ピカソやモンドリアンらとの交流について語られている貴重映像です
太陽の塔に言及され,調和=ぶつかり合うこと,と御主張されておられます
まずは,痛烈な逆説の論理から…
自分に能力がないなんて決めて、
引っ込んでしまっては駄目だ。
なければなおいい、
今まで世の中で能力とか、
才能なんて思われていたものを越えた、
決意の凄みを見せてやる、
というつもりでやればいいんだよ。
It isn’t good to think of yourself unable
and withdraw; if you are unable, that’s better.
You have only to try to show your intensity
of decision that is beyond the ready-made ability
or talent in the world.
太郎氏の作品に対する美学の根幹は
「抽象と具象のぶつかり合い」
つまり,「バクハツ」です
だから,太陽なのです
この「バクハツ」はことばの端々にも見受けられます
ここでも「能力がなければなおいい」とする,
老子顔負けの逆説が炸裂しています
『樹人』
こうした太郎氏ですから,
成功哲学も常識的なものではありません
人間にとって成功とはいったいなんだろう。
結局のところ、自分の夢に向かって
自分がどれだけ挑んだか、
努力したかどうか、
ではないだろうか。
What is the success to us human beings?
I’m afraid, in the end, it is how much we tried,
or how many efforts we’ve made
to our dreams.
太郎氏の人生のテーマの一つに,
「無目的に生きる」ことがありました
永遠の歓喜のうちに遊び続ける,
永遠の子どもであり続けること
子どもの遊びに目的などありません
とりわけ,
高度経済成長期の日本社会の根底にありました,
重工業を中心とする資本主義的人間機械化に対し,
真っ向から挑み続けられた生涯でした
太郎氏にとってはプロセスがすべてだったのです
『重工業』
逆説の論理は続きます…
流行なんて、
文字どおり流れていく。
Fashion goes by literally.
超時空的存在として太郎氏は,
時の流れに左右される流行などには
影響されていませんでした
全ては自己責任だったのです
猛烈に自分を強くし、鋭くし、
責任をとって問題を進めていく以外にない。
There is no choice but to make ourselves stronger,
sharper, and take responsibility
in order to deal with our problems.
太郎氏は自己責任を取る「子ども」だったのです
素朴に、無邪気に、
幼児のような眼をみはらなければ、
世界はふくらまない。
The world won’t get bigger
unless you gaze at it with an eye of a child,
simply, innocently.
そして,このようにつぶやいておられました…
いいんだ。
岡本太郎の責任でやるんだから。
That’s okay;
I’ll do it with the responsibility of Taro Okamoto.
さらに,鼓舞されずにはいられない一言です
危険だ、という道は必ず、
自分の行きたい道なのだ。
The way of danger is inevitably
the one you want to go in.
危険だからこそ,そこを選ぶ…
自分の中にどうしても
譲れないものがある。
それを守ろうとするから弱くなる。
そんなもの、ぶち壊してしまえ!
There is something you don’t want to concede
by all means; you’ll get weaker
because you try to protect it.
Do tear apart such a thing!
『よろこび』
自分に会ったら,自分を壊せ!です
自己イメージほど自分を裏切るものはない,
という太郎氏一流の哲学です
他人のものはもちろん、
たとえ自分の仕事でも、
なぞってはならない。
You mustn’t imitate
even your own works,
let alone others’.
いま・ここに生きるからこそ,
自分の過去に執着してもいけないのです
手なれたものには飛躍がない。
常に猛烈なシロウトとして、
危険をおかし、
直感に賭けてこそ、
ひらめきが生まれるのだ。
There is no leap among familiar things;
you can get the insight
only by taking a risk and relying on your intuition,
being always a fierce layman.
『若い夢』
太郎氏にとって,「人生」とは…
生きる日のよろこび、悲しみ。
一日一日が新しい彩りをもって
息づいている。
The joy and sorrow of my life of living.
Each day has its own new color
and is breathing.
ヴィヴィッドな太郎氏の色使いは,
この想いからなのでしょうか…
生きる太陽として,
太郎氏は困難ももろともしませんでした
私は、人生の岐路に立った時、
いつも困難なほうの道を選んできた。
I’ve always chosen the more difficult way,
when I stand at the corner
of the crossroads of life.
つまり,結局のところ…
人生はキミ自身が決意し、
貫くしかないんだよ。
Life is something
that you have to decide and penetrate.
最後に,極めつけのアドヴァイスです
いいかい、
怖かったら怖いほど、
逆にそこに飛び込むんだ。
Mind you;
the more frightening it is,
the harder you jump into it.
「勇気」とは,このことを言うのでしょう
それでは,このへんで
『遭遇』