April.28.2018
コピーライターです
バブル期に西武デパートのキャッチコピー,
経営の危機を救いV字回復させたことで,
一躍有名になられました
お父さんの声役をしたことでも
知られています
奥様は女優の樋口可南子さんです
あのソフトバンクのお父さん犬のCMでは,
妻役を演じておられます
小生はこれまで何度か,
糸井さんの講演会に行ったことがありますが,
テレビ画面で拝見する通り,
明るい中に淡々と社会を見つめる冷静な洞察力を持ち,
しかも強さに裏付けされた優しさが
自然とにじみ出ている方だ,
と感じました
本日はこの,糸井重里さんの
名言のいくつかをご紹介したいと思います
(英文拙訳)
まずは,糸井さんの
絶妙なバランス感覚がうかがえる一言です
なにかが大きく変わるときというのは、
うれしくないことをも含めて進むものだ
When something changes greatly,
even things including something unpleasant go on.
「うれしくないこと」も含めて
ものごとが進むと認識するには,
どんな状況でも穏やかな心が必要です
世の中が激変しようとしている昨今には,
とても含蓄のあることばです
糸井さんのメッセージにはひらがなが多いのに,
一言一言,
「なるほど」「?」など,
こちらに「考えさせる」ものが多い気がします
現代版の俳人と言いますか,ことばのプロの方なので,
全てそれが計算されているかのような深みを感じます
たとえば…
少しずつ手がかりをつかんでいって、
わけのわからないところへ行きたい
I want to go somewhere mysterious,
grasping clues little by little.
「わけのわからないところ」とは,
自分の限界を突破した領域のことでしょう
そこへ進むのに,焦るわけではなく,
「少しずつ」進みヒントとなるものをつかんでいく
着実な歩みで未知の領域に踏み込んでいく,
糸井さんの感性が輝くコメントだと思います
続きまして「ムダな時間」について…
ムダな時間を味わうためには、
方法なんかないんだよね。
ただ、利口でない日々を送るのが勉強なのさ
There is no way to taste wasteful time.
It is study to spend unwise days.
ことばによって人々の注目を集めるという
クリエイティブな仕事をされている糸井さんは,
様々なプロジェクトをこれまで
こなしてこられました
その中で,アイデアを生み出すのに,
やはり「ムダな時間」は大切なものでしょう
ですが,それに方程式を当てはめて,
「最適化」しようなんて打算があると,
その元来の価値が下がってしまいます
そういった意味で,
「利口でない日々」を送ること自体が,
勉強なのだと
糸井さんは現在,
「ほぼ日刊イトイ新聞」(ほぼ日)という
ウェブサイトを運営されておられます
始めは仕事のつもりではなく,
遊び感覚で始めたら,
今では会社を作り仕事の中心に
なってしまわれたとのことです
オンもオフも明確に分けることなく、
「仕事」と「遊び」のあいだに、
いい意味での「公私混同」があることが大切だと思う
I think it important there is ‘confusion
of public and private’ in a good sense,
between ‘work’ and ‘play’,
not dividing on and off definitely.
今後の日本社会は,
この感覚が鍵となるものと思われます
AI技術によって取って代わられる業種が,
数年後には半数以上になってしまうと予測される中,
AIにできないことは「ムダに遊ぶ」ことです
自分から無目的にただ楽しくて遊んでいる,
そのこと自体が仕事となる可能性さえ出てきた,
と,業界超えて様々な場所から声が聞かれます
糸井さんは,
会社より家族を優先するよう
奨励されておられるそうです
家庭生活がちゃんとしていない人間に
いい仕事はできない,と
現状の日本では
まだまだ一般に認知されづらい,
素晴らしい「非」常識です
こんな「非」常識的なアドバイスがありました
「多忙は怠惰の隠れ蓑である」と、
何回でもじぶんに言おう
Let’s say to yourself many times,
“Being too busy is the shade of idleness.”
穏やかな面持ちの中に秘められた
これまでのご経験からか,
糸井さんのことばの中には,
ふとした時に激しいものも現れます
大学生の時に学生運動に参加し,
5回も逮捕されるなど,
対社会的なご苦労も相当なさってこられています
その分,
内に秘められた熱いものはふつうでは無いものです
「無謀」と言っては言い過ぎだけど、
「冒険」というくらいの「賭けの要素」がないと、
やっぱり、なにもはじめられないんですよね
I can’t still begin to do anything
if I don’t have any ‘element of stake’
as big as ‘adventure’, if not ‘reckless’.
冒険する勇気,リスクをとること,
その大切さはダライラマ14世も仰っておられました
先の見えない業界であれ,
その中で新天地を常に切り開き,
前人未到の領域に常に立たれ続けておられる
糸井さんは,
通常の意味ではない「仕事人間」です
働くことは、やっぱり楽しい。
大変なことも難しいことももちろんあるけれど、
それでも面白い。
それが今、一番伝えたいメッセージなのです
All the same, work is joyful.
Of course, there are many things
troublesome and difficult,
but it’s interesting;
this is my biggest message
I want to deliver now.
ですが糸井さんのユニークなのは,
そこで「がんばる」のではないことです
等身大のままできることを、
ちゃんとやっているうちに、
上昇するらせんのように進歩はするものさ
If you do what you can do as you are,
you can progress as a rising spiral.
「毎日,同じことをする」
というイチローのことばを思い出します
自分にできる等身大のことを続けているだけで,
実はそれが知らず知らず着実に力となり,
気がつけば「らせんのように」,龍のごとく上昇し,
進歩するものだと
まるでDNAのらせん構造が,
私たちの生命の源泉であるという事実を
原型にしたかのようなイメージです
糸井さんにかかれば「不公平」でさえこうなります
あらゆる不公平のなかに、チャンスがある
There is a chance in every unfairness.
これこそ真のポジティブシンキングです
どれだけ自分が虐げられていて,
どれだけ絶望的な状況にあって,
どれだけ孤独であったとしても,
「チャンスがある」と考えられること…
若い時代に数々のご苦労なさっていた
糸井さんだからこその,
実体験に基づく説得性みなぎる一言です
そのポジティブシンキングは,
次のことばの域にまで達していました
過剰に何かが欠けているのも才能のうち
It is also one of the gifts
to be lacking in something too much.
それでは,このへんで
※ 本日から旅に出ます
戻ってきましたら,これまで通り
お散歩ブックマークや記事を書かせて頂きます
引き続き,宜しくお願い致します
龍安寺の八重紅枝垂れ桜