tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語で名言を:一喜一憂していてもしょうがないことかなと思う。(藤井聡太)

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                                                   May.19.2018

 

 

藤井聡太さん,昨日見事に

史上最年少で将棋七段に昇段されました

 

15歳9ヵ月…

あのひふみんさんの記録を61年ぶりに

更新されました

 

なんと言いますか…はい…

という彼流の「とまどい」表現も交えつつの,

擬古文かとさえ思えるような

深い日本語ボキャブラリー には,

常々刮目せざるを得ません

 

小生は当初より,

あのことばのチョイスをさせているのは何だろう

と思っていました

そして昨日,

ニュースでその一端かもしれない

とされるものが紹介されていました

それは,

過去の偉大な棋士たちが書いてきた解説本を

熟読しているからというものでした…

 

本日はこの,稀代の棋士藤井聡太さんの

名言のいくつかをご紹介したいと思います

(英文拙訳)

 

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まずは,将棋に対する思いから…

 

将棋に巡り合えたのは運命だったのかなと思いますし、

将棋を突きつめていくこと、強くなることが使命…

使命までいくかわからないですけど、

自分のすべきことだと思います。

I think I am fortunate to meet shogi,

and my mission is to aim at the summit of it,

to be stronger at it; I wonder if it’s my mission,

while I think it’s my duty.

 

藤井さんにとって

将棋は運命→使命→すべきこと

 

15歳にしてこのように思えるものが

何かあるというのは,

超情報化社会の現在の若者としては,

余計なノイズに振り回されない,

幸せなことなのかもしれません

 

しかも藤井さんは,

将棋を自然に続けてきたと仰います

 

意識的に取り組んできたことではないんです。

好きだから自然に続けてきました。

I haven’t dealt with it consciously;

I have continued it naturally as I like it.

 

将棋を指すことは,

彼にとってはあまりにも普通なことだったのです

  

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藤井さんは人一倍負けず嫌いだと言います

小学校の頃から,負けた試合の後は

悔し泣きで泣きくれていたそうです

 

強くならないと見えない景色があると思いますので、

そこに立てるように頑張りたいです。

I think there is a scenery that I can’t see

unless I become stronger;

so I would like to do my best to stand there.

 

山に登る前には景色は限定されています

それが世界の全てだと思うと,

それでおしまいです

ですが,努力を重ね辛くても一歩一歩上っていくと

気がつけばその山以外の世界,

それまで「見えない景色」が見えるようになってくる

 

将棋に強くなることで,藤井さんは

可能な限り広い視野を獲得しようとされています

 

好きなことに勝敗がつく

 

ただそれは藤井さんにとっては,

自分で一歩一歩山を登っていく過程での結果に過ぎず,

誰かと山登りを競争しつつ上がっていく

と言う感じではないようです

 

将棋を指す限り勝敗はついてまわる。

If I have a match in shogi,

there will have to be victory or defeat.

 

結果は二の次で,

過去の自分と今の自分の比較のみを正しく行う

各試合後のインタビューを見ましても,

藤井さんは自分のどこが良くてどこが悪かったのか,

多少興奮気味ながらも冷静に分析し自己表現されます

 

「ここが勝負」と思ったときにはあの前傾姿勢になり,

羽生名人のいわゆる「羽生にらみ」をも

凌駕するかのような攻撃的オーラと眼力を発されます

 

 

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続きまして,

藤井さんのボキャブラリーが光る短いコメントです

 

あの連勝記録更新中の11連勝目,王将戦一次予選で

小林七段に勝利したときのコメントです

 

実力からすると、

望外の結果。

it’s an unexpected result

judging from my real power. 

 

大人たちが手紙文で,

最上の感謝の意を表するのに使います表現,

「望外の喜び」を,

ご自分の日常ボキャブラリーとして使っておられます

 

また,

20連勝目,棋王戦予選で

澤田六段に勝利したときのコメントは…

 

僥倖としか言いようがない。

There is no choice but to say

it’s a surprising  fortune. 

 

僥倖(ぎょうこう)とは,夏目漱石が『門』の中で

 

僥倖にも難関を通過して…

 

というフレーズを用いていますが,

「思いがけない幸運」のことです…

通常典型的な15歳の少年としては

「まじで,めっちゃうれしいです!」

と反射的に言ってしまうことかと思いますが…

 

しかも藤井さんはそれを,

かっこつけようとして言うそぶりは微塵もなく,

自然に心の底からの思いで

この上級の日本語を走っておられていることは,

表情を拝見するだけで充分伝わってきます

 

 

tsuputon7.hatenablog.com

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ある時期から藤井さんの練習相手は

専ら AIだと仰っています

あの羽生名人を唸らせるアイディアは

その賜物だとも言われています

 

藤井さんから見て,AI将棋の特徴は…

 

序中盤は人間からすると茫洋としていて

なかなか捉えづらいです。

Up to the middle stage,

it is vague and rather hard to see.

 

「茫洋」を辞書で引きますと,

「広々として目当てのつかない様」とあります

AIという現代科学の最先端の応用技術を評するのに,

こうした古典的な日本語でさらりと形容する,

明治・大正期の文豪たちのような,

洒脱なセンス…

 

拡大解釈かもしれませんが,

日本人しか生み出せない価値観を構築する際に,

これからの日本人が見習うべき,

時空を超えた真の「和洋折衷」のモデルが,

彼のレトリックにはあるのかもしれません

 

 

tsuputon7.hatenablog.com

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もはや藤井さんは,羽生名人と並び,

押しも押されぬ現代将棋界の牽引者であることは

間違いありません

ご自分でもその周囲の目には気づいておられる様です

 

もっと将棋に興味をもっていただければ、

私も冥利に尽きるか

という感じです。

I’m afraid

if people become interested in shogi more,

it’s my greatest pleasure.

 

冥利に尽きる!

すでに意識は大御所の貫禄です

 

そんな藤井さんの最終的な目標は… 

 

少しでも最善に近づくことを目標にしているので、

具体的に憧れの先生がいるというわけではないです。

My goal is to reach the best just a little bit closely;

so I don’t have my favorite teacher concretely.

 

「最善」に当たる存在はいない,と…

とは言え,山を登るのに近道はありません

AIを相手に,一歩一歩藤井聡太

「スペック」を上げベストパフォーマンスを

目指し続けています

 

もちろん順風満帆にことが進むわけではなく,

途中で足をくじいたり,

どうしても座らなければならない時もあるでしょう

ですが… 

 

一喜一憂していても

しょうがないことかなと思う。

I’m afraid it’s  meaningless to be shaken

by the results every time 

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

 

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