tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語で名言を:楽観はしない。ましてや悲観もしない。ひたすら平常心で。(羽生善治)

f:id:tsuputon7:20180208152453j:plain

     

 

                                                        Feb.8.2018

 

 

羽生善治氏は,1970年埼玉県生まれの

将棋棋士です

 

将棋界で初の永世七冠を達成したことで,

国民栄誉賞が送られることが決まりました

 

100年に一度の逸材とさえ言われ,

これからもさらなる活躍が期待されています

 

調子がいいときは四百手先が見えると言います

門外漢の小生などからしますと,

なんのことだかさっぱり分かりません…

 

本日はこの,未曾有の結果を残し続けている

羽生善治氏の名言をいくつか

ご紹介したいと思います

(英文拙訳)

 

f:id:tsuputon7:20180208152513j:plain

 

 

 

まずは勝負に臨む際の心構えについてです

  

勝負に一番影響するのは

「怒」の感情だ。

What influences on the match most is

the emotion ‘anger’.

 

「怒りは身を滅ぼす」と徳川家康は言いました

怒った瞬間に思考回路は正常でなくなります

ましてや将棋のような複雑繊細な場では

思考回路がぶれると命取りとなることでしょう

 

おそらくは羽生氏も若い頃にはそうした

「怒り」経験がおありなのでしょう

 

だからこそこうも仰ります

 

楽観はしない。ましてや悲観もしない。

ひたすら平常心で。

I’m not an optimist, nor a pessimist.

I always try to be a balanced person.

 

平常心こそが成功の秘訣だと言うのです

「~すぎ」は,その極端さゆえに

必ず反動を伴うものです

まるで振り子のおもりの部分のように

ですが,自分のアイデンティティ

そのおもりにおくのではなく,

振り子の支点におけさえすれば,

平常心が保てるはずです

自分の中の揺れ動く部分を傍観して

自身はブレない

 

羽生氏のこの境地も

様々な経験から培われたものなのでしょう

 

 

f:id:tsuputon7:20180208152532j:plain

 

続きまして,羽生氏の人間観が表れたフレーズです

 

人間には二通りあると思っている。

不利な状況を喜べる人間と,

喜べない人間だ。

何事であれ,

最終的には自分で考える覚悟がないと,

情報の山に埋もれるだけである。

As I see it, there are two types of the person;

those who can be pleased with adversity,

and those who can’t.

In doing anything,

if you don’t decide to think by yourself at last, 

you’ll only be buried by the heaps of information.

 

不利な状況を「喜べる」人間,

最強でしょう

勝負の世界では有利な状況より

不利な状況の方が

ずっと多いに違いありません

その中で,それを喜び脳内で

快感物質ドーパミンを出せたなら,

次の一手の可能性が全く違ってきて当たり前です

 

そうした意味で,羽生氏には迷いはありません

自分で考えることによって情報に埋もれないからです

このことばは情報爆発の現代世界を

個々がどう生きていくか,

考える際にも示唆に富んだ一言です

 

ただ,考えすぎてもいけません

 

長い時間考えた手が

うまくいくケースは

非常に少ない。

There are only a few cases

where the idea after considering for a long time

will go well.

 

長い時間考えた中に迷いがあるからでしょう

 

 

f:id:tsuputon7:20180208152825j:plain

 

 

さらに,道を究めることについては…

 

真剣にその道を究めようとか,

その道ひと筋でやっていこうという人は

一種の狂気の世界というか,

何かそういう線を越えないと,

その先が見えないような気がします。

I feel

that the person

who try to achieve in one field seriously,

or decides to do there

can’t have the view forward,

if the person doesn’t go beyond a kind of madness,

or the line like that.

 

ここで「狂気」は

非常に積極的価値を伴って語られています

常軌を逸脱していくことにやぶさかでない人しか,

前人未到の境地に至れるものではありません

 

小生はこうした意味合いで

芸術は「狂気の発動」と考えております

羽生氏のことばは真の職人や芸術家に

当てはまるものだと思います

 

 

f:id:tsuputon7:20180208152951j:plain

 岡本太郎『若い夢』

 

 

最後に,才能についてです

 

私は才能は 一瞬のひらめきだと思っていた。

しかし今は

10年とか20年 30年を同じ姿勢で

同じ情熱を傾けられることが

才能だと思っている。

I thought the talent is a momentary insight;

but now, I think it the talent

if one can keep the same attitude

and the same passion

for one decade, two, and three.

 

若かりし頃から「羽生マジック」とさえ言われるほど

彼の指し手は斬新なものばかりでした

それをご本人も額面通り受け取った時期も

あったのでしょう

 

ですが今や,同じ姿勢,同じ情熱を

何十年も持ち続けること,

これが才能だと言われるのです

 

イチロー然り,やはり単独で前人未到の境地にまで

達した方は,口を揃えて

「努力する才能」を強調します

 

当たり前のことを当たり前でなく

狂気すら超えて続けていく

 

国民栄誉賞受賞が決定した際の

インタビューで,

羽生氏は「まだまだ未熟なところがある」と

自己評価されていました

 

あの淡々とされた風貌の中に

これほどの熱い思いを秘めておられる心境には

脱帽です

 

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

 

tsuputon7.hatenablog.com

 

f:id:tsuputon7:20180208153452j:plain