tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語の名言:人生はクローズアップで見れば悲劇だが,ロングショットで見れば喜劇だ(チャップリン)

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                                                           Dec.27.2017 

 

チャールズ・チャップリンは1889年,

英国ロンドンに生まれました

1歳のときに歌手だった両親が離婚

5歳のときに声の出なくなった母親の代わりに初舞台

その後,

父が亡くなり母は精神異常で施設に収容されて,

チャップリンは4歳違いの異父兄と

孤児院や貧民院を転々としながら,

床屋、印刷工、ガラス職人、新聞の売り子、

パントマイム劇などの職に就きます


名門劇団に所属した後,1913年のアメリカ巡業の際に

映画プロデューサーの目にとまり,

コメディ専門のスタジオに入社,1914年に映画デビューし,

たちまち人気者となりました

 

ところが,第二次世界大戦後,

東側諸国との冷戦が始まった米国で

チャップリンの作風が共産主義に理解を示していると

非難され,1952年,

国外追放命令を受け米国を去ります

映画出演も激減しましたが,

スイスに移り住み幸せな晩年を送りました

 

本日はこの激動の人生の中で,

世界中を笑わせようとし続けたチャップリンの名言の

いくつかをご紹介したいと思います

 

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 まずは,この短いフレーズから…

   

    You’ll never find a rainbow

    if you’re looking down.

    下を向いてばっかりいたら,

    絶対虹を見つけることは出来ないよ

 

なんとオシャレなんでしょう!

落胆している時は下ばっかり向いています

下しか向けないことも多々あります

ですが,

希望,  幸福,  明るい未来につながる虹は,

絶対見つけることができません

それは下にはなく上にしかないんだよ,との,

チャップリンのそっとした,優しい心が伺えます

 

ある日チャップリンが街中を歩いていました時に,

とあるアパートの一室の前からガス臭がしました

その部屋の中に入ってみますと, 女の人が倒れていて,

自殺未遂状態にいました

その後,チャップリンは彼女と結婚しました

 

彼女はチャップリンと一緒に,  虹を見たことでしょう

 

続きまして, 失敗に対する考え方です

 

    Failure is unimportant.

    It takes courage to make a fool of yourself.

    失敗は重要ではない

    自分自身を馬鹿にするには勇気がいる

 

まさに,自分を笑う哲学! 

大小関係なくどんな失敗をした時でも,

それをしてしまった自分を笑えること

それが次の一歩を決めると言っても

過言ではありません

いつまでも失敗を引きずり,あのときこうすれば…と

「〜たら・〜れば」を続けていても何にもなりません

こうした時でもチャップリンは自分を馬鹿にする,

そうした勇気が必要だと言うのです

 

幼少期より多難を極めた末に,

幾多の失敗を重ねる中で,自然に彼が身に付けた

処世術の1つなのかもしれません

 

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『モダン・タイムズ』に代表されるように,

チャップリンの映画作品のほとんどは

モノクロの無声映画です

そんな彼の, ことばに対する考え方が,

面白おかしく伺える名言がこちらです

 

    Words are cheap.

    The biggest thing you can say is ‘elephant’.

    ことばって安っぽいものだ

    一番大きく言えても「象」だもの

 

確かに!

ことばでは言い切れないことに対する諦めを,

地上最大の生物である象をモチーフに

コミカルに表現しています

 

きっと,  両親不在の不遇な幼少期に幼少期から,

ことばだけの大人だとか友人に出会い,

そうした人たちに対する

鋭敏な不信感があったのでしょうか

そのことばへの考え方が後々,逆説的に, 

ことばの壁を超えた笑いを世界中に提供する,

という偉業を

歴史上初めて行ったチャップリンを生み出したわけです

 

この,  単なる自虐性を乗り越えていこうとする精神力に,

チャップリンが生涯貫いた何かを

垣間見ることができる気がします

 

そして笑いに対するあくなき追求を

次のように簡潔に述べています

 

     A day without laughter is a day wasted.

    笑いのない日は無駄な1日だ

 

 

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チャップリンの人生観は

どのようなものだったのでしょうか?

 

    What do you want meaning for?

    Life is desire, not meaning.

    何のために意味なんか求めるんだ?

    人生は欲だ,意味じゃない

 

これは,  ピカソの以下の発言とそっくりです

 

    People want to find a meaning

    in everything and everyone.

    That’s the disease of our age…

    人はあらゆる物や人に

    意味を見出そうとする

    これは我々の時代にはびこる病気だ…

 

なんにであれ,  どんな人にであれ,

意味を求めてしまう現代病

意味のないものごとはお金にならないですし,

ものと交換できないという,

資本主義精神のネガティブな側面でもあるでしょう

そこには目に見えないものに対する強迫観念的な

いじめの心理にも似たスケープゴート化が見られます

 

真の芸術に意味は必要ないと思います

芸術は究極の遊びだからです

 

また,岡本太郎氏の発想にも通じるものがあります

 

    人は悟るために生きるのではありません

    生きるんです

    動物ですから

 

不遇な人生経験の中で,

徹底したリアリティーと直面しつつ,

チャップリンの洞察は,人間の欲へ向けられたのでしょう

そうした人生の処世術として,

端的にこのように言い切ります

 

    Life can be wonderful

    if you’re not afraid of it.

    All it takes is

    courage, imagination… and a little dough.

    人生は恐れなければ,

    とても素晴らしいものなんだ

    人生に必要なものは

    勇気と想像力…そして少しのお金だけだ

 

恐れ,  勇気,  想像力,  そしてお金…

すべて, 昨今の自己啓発本に頻出のキーワードです

ロンドンで,  戦時中に

ナチス・ドイツをコミカルに描いた映画を作成し,

自らヒトラーを演じ,揶揄しようとした勇気と想像力,

上映禁止にされてしまうということがわかっても,

それを作り続けた命がけの執念,

何があっても笑いが人を変えられるという

一環した信念が,

その根底には揺るぎなかったのでしょう

 

そうしたチャップリンの人生観を集約したかのような,

洒落た名言がありました

 

    Life is a tragedy when seen in close-up,

    but a comedy in long-shot.

    人生はクローズアップで見れば悲劇だが,

    ロングショットで見れば喜劇だ

 

言い得て妙!

 

そしてチャップリンは1977年12月25日,

クリスマスに永眠されました

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

 

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