tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

小さな変化が起こるとき本当の人生が生きられる

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                                                           Dec.15.2017

 

 

 

トルストイはロシアを代表する作家です

 『アンナ・カレーニナ』の作者として有名ですが,

その執筆が完了して以降は,

作家という立場を捨てて,思想家として

原始キリスト教的立場から農本主義を取りました

 

政府や国家による民衆に対する圧政には

非常に敏感だったようです

社会事業にも熱心に取り組み,  自身の莫大な財産を

貧困層の様々な援助のために使いました

1904年には日露戦争の暴力行為に対し,

非暴力の立場から批判したことでも知られています

マハートマー・ガンジーとも文通していたようです

 

本日はこのトルストイの名言のいくつかを

ご紹介したいと思います

 

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まずは,  非暴力・不服従の思想的影響が見られる

と思われるフレーズから…

 

   The strongest of all warriors are these two

    — Time and Patience.

   あらゆる戦士の中で最強なのは次の2つである 

    —時間と忍耐力

 

時間と忍耐力…

まさしく非暴力・不服従を標榜するのであれば,

最も必要なものでしょう

ガンジー然り, ダライラマ14世然り,

時の為政者に対する暴力に頼らない訴え,

そして決して抑圧されることなく

服従しない精神を維持するには,

長い長い時間と,

暴力で服従させようとしてくる存在に対する

究極とも思える寛容の精神,  つまり忍耐力が必須です

ガンジーの,

 

   罪を憎んで罪人を愛せ

 

という境地にまで,

トルストイも到ろうとしていたのではないでしょうか

 

 

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次に,  恋愛論です

トルストイは作品中の女性にこのように語らせています

 

   I think… if it is true

   that there are as many minds as there are heads,

   then there are as many kinds of love

   as there are hearts.

   十人十色というからには,

   心の数だけ

   恋の種類があっても

   いいんじゃないかしら 

 

if から2行目終わりを直訳しますと,

「頭の数と同じだけ多くの心があるのが本当であれば」

となります

いわゆる十人十色,  人の好みは千差万別,

という意味合いです

そうすると,

その心の数だけ恋も様々な種類があっていい...

 

トルストイは当時の帝政ロシア政府の下で,

画一性が重要視される環境にあったはずです

おそらく多様な恋など許されていなかったその時代に,

それに不服従を表明するかのようなセリフを

この女性に言わしめていたのです

 

実は文学史的に見ますと,

見事なほどにその時代ごとの恋愛論は,

時の政府の指針に従うように

コントロールされてしまいがちです

国家は畢竟,

コントロールしやすい国民を作ろうとしますから,

当然のことなのかもしれません

 

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こうした反政府的立場にあったトルストイは,

作家としての確固たる地位を築きつつも,

そこに至るまでには相当なる苦労もし続けていました

そうした苦悩の日々を通じ,

自己の内面にも取り組み続けていったようです

 

   If there was no suffering,

   man would not know his limits,

   would not know himself.

   もし苦しみがなかったら,

   人は自分の限界がわからないだろうし,

   自分自身もわからないだろう

 

苦しみがあるからこそ,

自分の能力の限界というものが体感できる

もし楽しみしか存在しなければ,

それは自分の能力の許容範囲だということになります

わかってはいるけれども,

あまり直視したくない現実です…

ですが,そうした苦しみを見据えて初めて,

自己評価もでき,そしてそこから次なるステップへと

自己超越もしていかれる契機が生まれます

 

 

ある意味で現代日本とは比べ物にならない位,

思想統制をされた時代のロシアにおいて,

トルストイも他の多くの偉人同様

次のような時間論を語ってもいます

 

   It’s only the moment I say present,

   that the past and the future don’t exist

   and are here.

   過去も未来も存在しない,

   そしてここにあるのは,

   私が現在と呼ぶ瞬間だけだ

 

永遠の今!

やはりこの時間感覚は,

並外れた偉業を成し遂げてきた方々には

何か共通のキーワードとも言える発想だと思われます

 

時間=過去+未来とし,

過去=記憶,  未来=予測とした時に,

時間というものはすべて私たちの頭の中だけの概念で,

リアルな現実に存在し続けるのは,

ただただ「いま・ここ」の現在のみです

 

明日は来ません

来たら今ですから

昨日などありません

それは思い出ですから

 

いつどこにいかなる状況にあったとしても,

今に次ぐ今に次ぐ今,

があるばかりです

 

これは何も,

いわゆる「刹那的」という意味ではなくて,

つまり,

過去も未来も忘れてしまえという

比較と反抗心から生まれる曲がった考えではなくて,

永遠の歓喜を楽しみ続ける永遠の今,

禅で言う「気づき」に通じるものだと思います

 

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だからこそ,  トルストイは言います

 

True life is lived when tiny changes occur.

小さな変化が起こるとき本当の人生が生きられる

 

普段の生活で,  振り返ってみますと,

9大きなことっていうのはほとんど起こりません

小さなことの積み重ねが生活の大半です

「いま・ここ」の精神で生活を続けられるには,

目前の小さなことをいかに大切にして,

他の人,ひいては自分に,いかに

プラスになることをしていかれるか,

ただただそれだけで充分なのかもしれません

 

トルストイはそうしたしなやかで優しい気持ちだけが,

時間と忍耐を養い,

最強の非暴力・不服従戦士という花を

咲かせる鍵となる,

と確信していたに違いありません

 

それでは,  このへんで

ごきげんよう

 

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