tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語で名言を:60パーセントぐらい幸せだったら、相当に幸せだと思うことにすればいい(森毅)

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                                             July.24.2018 

 

 

森毅さんは,1928年東京生まれで

大阪育ちの数学者です

 

御存命中には

ビートたけしさんの番組を始め

数学や教育についてだけでなく,

舌鋒鋭く世相を批評する

京大名誉教授として

知られていました

 

その一言一言が

必ずと言っていいほど

常識を覆す発想で,

その意味で「非常識」な数学者でした

 

個人的な思い出としましては,

小生の学生時代,

京大の文化祭に行った時,

森先生と河合隼雄先生の対談があり,

森先生が,

「昔の京大入試やったら,

問題の解き方の方針さえ合ってたら,

その後の計算まちごうてても,

◯にしたもんですけどなー」

と仰ったのを聞いて,

河合先生が,

「うわぁー,太っ腹でしたなー」

と笑っておられたことがありました

 

また,

「女の子のように育てられたので,

男の子より女の子の気持ちのほうが

わかりやすいんですよ」

とも仰っておられました… 

 

15秒でそのお人柄がうかがえる,

動画を見つけました…

 

youtu.be

 

本日はこの,奇想天外な森毅先生の

名言のいくつかをご紹介したいと思います

(英文拙訳)

森毅 - Wikipedia参照

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まずは,自分と違う考えの

他人についてです

 

自分とちがった考えを持つ

他人がいるというのは、

とても貴重なことだ。

それは、少しもケシカランことではない。

It’s very important

there is another

whose ideas are different from yours;

it isn’t ridiculous at all.

 

まさしく,多様性肯定宣言です

これはアメリカ人の方と話す時,

よく感じることですが,彼らは

意見と人格を明確に切り離している

ことが圧倒的に多いのです

 

私たち日本人は,どうしても

「ウチとソト」の感覚で,

意見が一緒の人とだけ仲良くして,

そうでない人を

自分の中から排除しがちです

 

意見の相違を楽しめて初めて,

建設的議論は実現するはずなのですが…

 

森先生のオリジナリティは

そのあくなき好奇心にありました

 

論理的なことや正しいことばかり追わず、

とにかく何でも

面白がるようにしています。

I try to get amused at anything anyway,

not just  chasing

what is logical or right.

 

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森先生流の「先生論」は実にユニークです

 

確かに僕はずぼらだったけれど、

先生がぶざまな姿を生徒に見せることも

大事なんだよ。

True, I was idle, but it is also important

for a teacher to show his students

his loose figure.

 

この逆説の論理,

パラドックスは止まりません

 

僕は、山の上へ無駄なく行くより、

谷の方でデレッとしてるのが好きなんや。

そうするとね、シャキシャキしてたのでは

見えないものも見える時があるよ。

I prefer to be idle in the valley

than to go straight to the summit;

then, you sometimes find something

that you can’t see when you are diligent.

 

これはもう,老子の域です

 

誰も行かない谷底に行け,

そこにこそ,

エネルギーが無尽蔵に集まっている

 

と,老子は言いました

 

tsuputon7.hatenablog.com

 

必然的に森先生の人生観は,

ユニーク極まりないものです

 

人生20年。

体の物質も頭の配線も、

20年もすればすっかり変わるんやから、

20年前のオレは赤の他人やと思えと。

I say that our life is 20 years;

as the matters of your body

or the combination of your mind

change totally within 20,

you should think

what you used to be 20 years ago

is a total stranger.

 

フランス人もびっくりの二十進法です!

 

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世の中を斬る切り口も,

森節が炸裂していました 

 

元気になれ、がんばれという

メッセージが多すぎる。……

みんなが毎日ハイになることないやんか。

元気がない人もいてええんや。

There are too many messages saying,

“Cheer up!”, or, “Go for it!”......

Everybody doesn’t have to have

a high tension every day.

It’s good there are people

who aren’t fine.

 

なんとやさしい心意気でしょう!

 

森先生の幸福論も,

もちろん森ワールドです

 

何を選んでも、

完璧な幸福というわけにはいかない。

If you choose anything,

you will never be happy totally.

 

具体的には…

 

ぜんぜんつかまらないタクシーが、

その時だけバカに間がよく

つかまったりするとか、

はかない幸福もあったりする。

そんなもんだろう、と僕は思う。

There is a trifle happiness

such as taking a taxi,

which you can’t usually do,

so timely only then;

as I see it, that’s it.

 

そして,

森先生の真骨頂とも思えます至言が…

 

60パーセントぐらい幸せだったら、

相当に幸せだと思うことにすればいい

と思うよ。

I’m afraid you should make it a rule

to regard being 60% happy

as being so happy.

 

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とにかく,森先生は「非常識」目線で

硬い昭和の時代を独り,

柔らかくほぐし続けられていた

イメージがあります

 

分からんことを楽しむのも、

立派な能力です。

To enjoy what you can’t understand

is a fine talent.

 

キーワードは「楽しい」です

 

楽しいことが広まるというのは、

社会がよくなるということです。

That what is joyful spreads is

that the society will be better.

 

端的にその通りです

京大名誉教授の方が,

このような発言を堂々と

テレビやマスコミでされていた,

あの斬新さが蘇ってきました… 

 

正しさは伝染(うつ)らないけど、

楽しさは伝染(うつ)る。

Justice doesn’t infect,

while joy does.

 

真に世の中で「偉いさん」

になられた方々が,

みなさん,ただただ

それっぽい「威厳」を保つためだけに

尽力なさるのではなく,

森先生のように,思ったことを

自然にぼそぼそでもいいので語られ続け,

人々に「何が大切か」を

面白おかしく言ってくれればなぁと

思わないではいられません

 

とは言いましても,森先生は

ご自分の中にきちんと真偽を律する

厳しさも持ちでした

 

傷つけないやさしさなんて

偽物じゃないやろか。

I wonder if the kindness

that doesn’t hurt one is a fake.

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

 

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