tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語の名言:唯一のライバルは自分自身の可能性である。(マズロー)

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                                                              April.9.2018 

 

 

アブラハム・マズローは, 1908年

ニューヨーク生まれの心理学者です

 

自己実現」ということばを生み出された方です

いわゆる「自己啓発」の一源流でもあります

 

精神分析行動主義心理学のどちらにも尽くさない,

「第3の勢力」として,心の健康についての

人間性心理学」を構築されました

 

彼の業績の中で最も知られていますのが,

「欲求の5段階説」です

ごくシンプルにご紹介しますと

次のようになります

自己実現理論 - Wikipedia参照

 

マズローは,人間の欲求を大きく

5段階に分類しました

それを図解したのが

以下のピラミッド型のイラストです

このピラミッドの底辺から頂上へ向かう5段階が,

徐々に人間の欲求が高度になっていく仕組みを

表しています

ここでは便宜上,

最下層から ① ~⑤ としてご説明します

 

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各層が示すカテゴリー名とキーワードです

 

① 生理的欲求      : 呼吸・食・水・性・睡眠・排泄

② 安全欲求          : 身体・雇用・資源・道徳・家族・

                               健康・財産の安全

③ 愛/帰属欲求     : 友情・家族・性的親密

④ 承認欲求          : 自己尊重・自信・達成感・

                          他者の尊重・他者からの尊重

自己実現欲求    : 道徳性・創造性・自発性・

                   問題解決・偏見のなさ・事実容認

 

この ①から⑤へと,

私たちの欲求は高まっていくと考えます

下位の欲求が満たされると

次の段階へと要求レベルが上がるのです

さらにこの⑤の上位に,宗教的「悟り」などを含む

「自己超越欲求」というカテゴリーが

加えられる時もあります

 

このアイディアは日本でも広く企業研修等に

用いられています

自分の中の漠然とした悩みがあるときに,

考えを整理するにはとても便利です

 

本日はこの,アブラハム・マズロー

名言のいくつかをご紹介したいと思います

 

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まずは,なるほどと思ってしまわざるを得ない,

端的なコメントから… 

 

To the man who only has a hammer,

everything he encounters begins to look like a nail.

カナヅチしか持っていない人には、

出くわすすべての問題がクギに見えてくる。

 

言い得て妙です!

 

道具をカナヅチしか持っていないと,

自分に向かっている対象の全てが

クギに見えてしまう…

叩けば何とかなると思ってしまう

そこで,抜く道具や

溶かしてしまう液体などを持っていれば,

事態は全く違った方向で解決します

柔軟な頭があれば

危険を回避し無用な対立を防ぎ得ます

tsuputon7.hatenablog.com

 

次に,目標設定に関するコメントです

 

 

If you plan on being anything less

than you are capable of being,

you will probably be unhappy

all the days of your life. 

自分にできること以下の

計画を立ててしまうと

おそらく人生毎日が

不幸になってしまうだろう。 

 

自分自身を過小評価し,

能力以下で常々計画立ててしまうと,

可能であった成果を出せなくなります

また次回にさらに,

マイナスな自己評価をしてしまい

自分のレベルを下げる一方になる,

負のスパイラルを生んでしまいます

 

このようでは当然,

幸せを感じることは不可能でしょう

自分で自分の限界を設定しまうしてしまうのは,

とても残念なことです

tsuputon7.hatenablog.com

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マズローは欲求の5段階説の最上位に

自己実現欲求」を設定しています

そしてこの欲求を満たすことこそが,

人間として生きている中で

最も充実感をえられる瞬間だとしています

 

What human beings can be, they must be.

They must be true to their own nature.

This need we may call self-actualization. 

自分がなり得るものに人間はならなければならない。

人間は自分自身の天性に忠実でなければならない。

この欲求を我々は自己実現欲求と呼んでいいだろう。

 

ただし,これは「完全な人間」であれ

ということではありません

 

Being a full human being is difficult,

frightening, and problematical.

完全な人間であることは難しく、

恐ろしく、問題である。

 

そうではなくて,自分自身の可能性を

できる限り追求し,いかに充実した生を

送ることができるかに,マズローは着目したのです

 

I can feel guilty about the past,

apprehensive about the future,

but only in the present, can I act.

The ability to be in the present moment

is a major component of mental wellness.  

過去のことで罪悪感を感じたり、

未来のことで不安を感じたりもしうるが、

現在にしか行動できない。

現在という瞬間にいられる能力は

精神的健全さの主要因である。

 

マズローもやはり「いまここ」に注目する人でした

tsuputon7.hatenablog.com

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日々の自分の欲求を満たしながら人は生きていきます

その中で他者との比較をした上で

「競争社会」の中でも生きることを強いられもします

ですが,トップアスリートたちも

よく言いますように,

最初も最後も実は「自分」との戦いでしかない,

と気づくことが往々にしてあります

 

One’s only rival is one’s own potentialities.

One’s only failure is

failing to live up to one’s own possibilities.

 In this sense, every man can be a king,

and must therefore be treated like a king.

唯一のライバルは自分自身の可能性である。

唯一の失敗は

自身の可能性に応えられないことである。

この意味で、全ての人は王になりえるのであり、

それゆえに王のように扱われなくてはならない。

 

他者との比較は過去の結果の比較でしか意味がなく,

現在の比較をしても意味がありません

 

私たちが行動できるのは現在でしかないからです

そう考えますと,

今の自分が過去の自分とどう違って,

どこが良くどこが悪くなっているか,

その修正を繰り返すことこそが,

しかるべき成長を促す方法論ともいえます

 

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そもそも他者を1人でも自分と比較してしまったら,

同時に別の他者が2人,3人,4人…と,

無数に増えていきます

まるでドミノだおしや数学的帰納法のように…

そして現在の自分自身の行動にとって,

マイナスでしかない包囲網を作ってしまいます

つまり,埒のあかない無駄な比較でしかありません

 

山登りをするときに他の人がどこまで登っているかは,

自分の登った高さと何ら関係がありません

気にすべき唯一のことは,

自分がどこまで山を登っているかだけです

そして頂上など目標地点に着いて初めて,

他を見渡せばいいのです

 

何を隠そう,あの方も仰っておられます…

tsuputon7.hatenablog.com

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人間の欲求についてつぶさに分析し,分類し,

体系化したマズローは,

最終的に私たちの可能性のそこはかとない無限を

垣間見ていたのかもしれません

 

ですが私たちはそうした無限に向き合う恐怖に

尻込みしてしまいます

 

仏教で言います「仏性」は,

「仏になる可能性」のことです

これは何もお偉いお坊さんの専売特許ではありません

原始仏典をひもときますと,

悟りを開ける可能性は誰にでもある,

とことあるごとに語られています

 

マズロー 然り,その可能性の大海に飛び込む

ちょっとした勇気だけが必要とされているのです

 

We fear to know

the fearsome and unsavory aspects of ourselves,

but we fear even more to know

the godlike in ourselves.

われわれは自分たち自身の

恐ろしく不快な側面を知ることを恐れるが、

自分たち自身の神の如き側面を知ることを

ずっともっと恐れている。

 

それでは,このへんで

ごきげんよう! 

 

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