April.2.2018
イヴ・サン=ローランは,1936年,
フランス領アルジェリア出身の
ファッションデザイナーです
ココ・シャネルが20世紀前半に,後半にローランが
フランスのファッション業界をリードした
とも言われます
サン=ローランの運命を決定づけたと
言われます出来事は,
クリスチャン・ディオールとの出会いです
あるデザインコンクールでディオールは
友人にサン=ローランを紹介されました
自分と同じ感性を持つサンローランに驚愕し,
ディオールは次のようにスタッフに告げたと言います
ここにある30のデザインはイヴの仕事に基づく
私の最新のデザインだ。彼は特別な才能の持ち主だ。
私は彼に認められたい。
そして,
次のコレクションでイヴを連れ出すと
言い出したそうです
スタッフはサン=ローランがまだ若かったので
引き止めましたが,
同年のディオールの死によって
それが現実のものとなりました
こうしてサン=ローランは21歳で
ディオールブランドを財政的な破滅から救うために
主任デザイナーとなり,仕事を始めたのです
本日はこの,「モードの帝王」
イヴ・サン=ローランの名言のいくつかを
ご紹介したいと思います
※サムネイル画像の見事な桜の写真を撮り,使用を
快諾してくれた知人が,
先日のココ・シャネルと共に
サン=ローランにも興味があるとのことなので,
記事にすることにしました
きっかけを作ってくれて,ありがとう!
(英文一部拙訳)
まずは,
サン=ローランのドレスを作る際のこだわりが
うかがえるコメントからです
Any one of my dresses
is based on one gesture.
A dress that doesn’t reflect or imply one gesture
isn’t good.
If I find this gesture,
I can determine the final colours or shapes.
私のドレスはどれも
一つの仕草に基づいています。
ある仕草を反映しないドレスや
仕草を思わせないドレスはよくありません。
この仕草を見つけてしまえば、
最終的な色や形は決まってきます。
いわゆる「服に着られている」状態では,
自分の体の動きが服によって制限されてしまいます
サン=ローランは「ある仕草」をまず考え,
そこからドレスをデザインしていました
「はじめに人ありき」だったのです
続きまして, ファッションについてです
A fashion declines,
while a style is forever.
ファッションはすたれる。
だがスタイルは永遠だ。
ディオールが初めて発表し,
サン=ローランも偶然描いていたものに,
Aラインというものがあります
次のようなドレスのスタイルです
アルファベットの大文字Aのイメージです
これにいろいろな装飾や色を施して
ファッションは往来してきましたが,
この原型となったスタイル自体は
時を越えていまだに使われる
ミーム(文化的遺伝子)です
そういった意味で, サン=ローランは
クラッシックをとても重んじます
The term classic sounds like an old fashion,
but I think otherwise.
A cloth should be unchangeable
and worn for many years.
クラシックという言葉は
古いファッション用語に聞こえますが、
私にとっては逆です。
服というものは、変化させずに
何年も着続けられるべきものだと思います
女性に関して, サン=ローランは
様々なコメントを残しています
The most beautiful cosmetic is passion,
but cosmetics are more available.
最も美しい化粧は情熱だ。
しかし、化粧品の方が簡単に手に入る。
素敵です!
最も美しい化粧が情熱…
どんなに美しくメイクアップしようとも,
情熱のない女優さんには魅力はありません…
内なる輝きがなければ,
人を惹きつけることはできるはずないでしょう
ですが情熱は化粧品を手に入れるより難しい…
これを大前提とした上で, サン=ローランは
コズメティックスを制作していたのです
サン=ローランは一貫して女性の味方でした
I cannot love
those who despise ladies.
私は女性を軽蔑する人を、
けっして好きにはなれないのです。
さらに…
I had worked for ladies
with love and respect.
Until at the last moment,
I had never compromised anything.
私は女性のために
愛と尊敬を込めて仕事をした。
最後の瞬間まで一切妥協はしなかった。
ですが,「はじめに人ありき」ですので…
Over the years I have learned
that what is important in a dress
is the woman who is wearing it.
数年かかって,
ドレスで重要なのはそれを着ている女性だ
ということがわかりました
ココ・シャネルもこう言っていましたから…
下品に服を着ると、人々はその服装を見る。
上品に服を着ると、人々はその女性を見る。
私たちにとって嬉しいことに,
サン=ローランは大の日本好きでした
The more I visit Japan, the more I lI’ve her.
Especially, I do love Kyoto.
The Temple Koke tells me many things without words,
I feel, in the calmness that soaks my heart,
and the scents and colours
produced by being mixed with the soil.
日本に行けば行くほど好きになる。
特に、私は京都が好きなのです。
苔寺の、心の奥深くに染み入るような静けさ、
そして、土と混ざり合いながら生まれる香りや色が、
無言のうちに多くのことを語ってくれているように、
私には思えるのです。
改めてこうコメントして頂けますと,
日本文化がいかに
私たちの五感を研ぎすましてくれるものなのか,
痛感させられます
この短いコメントの中に,サン=ローランは
聴覚・嗅覚・視覚について言及しているのです
逆に言いますと,彼に繊細な感性があったからこそ,
日本文化から多くの刺激を受けられたのだ
とも言いえます
サン=ローランの後悔は実に愛らしいものです
I wish I had invented the denim.
かなうことならデニムを発明したかった
このことばから推測されますことは,
元来デニムは男性炭鉱夫のために作られた
丈夫で長持ちするパンツでした
女性のためのデザインを主としていました
サン=ローランが「発明したかった」
と言ったのは,すでに当時から
「ユニセックス」の概念を持ちたかったから
ではないでしょうか
20世紀後半,
世界のファッションシーンを牽引した
サン=ローラン
モードの帝王には,
シンプルさこそエレガンスという
ココ・シャネルの闘魂伝承がなされていました
Dressing is a way of life.
着こなしは生き方である
それでは,このへんで