tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語の名言:過去を悔やむのではなく、未来を不安視するのでもなく、今現在の「ここ」だけを見るのだ(アルフレッド・アドラー)

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                                                        March.17.2018 

 

 

ルフレッド・アドラーは1870年,

オーストリア生まれの精神科医・心理学者です

 

個人心理学と呼ばれる独自の心理学を

確立しました

欧米ではフロイトユングに並び,

現代心理学の三大巨頭という位置づけで

現在でも研究がなされています

 

そのユニークさは,  フロイトユング

過去の心理的な傷「トラウマ」を

現在のその人の問題の原因と捉え

それに対処することに専念したのに対し,

アドラーは徹底した未来志向で,

過去がどうであれ,  今・ここから

未来をどう見据えて

何の目的のために生きていくかが,

現在の問題を解決してくれると考える点です

 

一時期,  アドラーフロイトの共同研究者でしたが,

1911年にはとりわけフロイトの「トラウマ論」

に疑問を持ち,決別しました

 

本日はこの,  アルフレッド・アドラー

名言のいくつかをご紹介したいと思います

(英文一部拙訳)

 

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まずは,アドラーの基本的な視点からです

 

It is optimistic.

Rather than regretting the past,

nor having anxiety vision to the future,

he sees only now, the current “here”.

楽観的なことだ 

過去を悔やむのではなく、

未来を不安視するのでもなく

今現在の「ここ」だけを見るのだ

 

アドラーは「トラウマ」の存在を認めていても,

それに関わり続けることになんの意味もない

と考えます

この点が,決定的にフロイトと袂を分かつ

原因となりました

 

過去を悔やむことがなければ,

未来を不安に思うこともなくなります

そして今・ここだけを見て

これからの行動を取ることができると考えたのです

 

tsuputon7.hatenablog.com

 

ここで言う「過去」とは,

もちろんその人の「生まれ」も含んだものです

 

The important thing is not

what a person was born with,

but how the person handles what was given.

重要なことは人が何を持って生まれたかではなく、

与えられたものをどう使いこなすかである。

 

ある意味でこの視点は,

カースト制度を全否定した

仏陀の視点と酷似しています

仏陀の生まれた当時のカースト制の頂点は

僧侶階級すなわちバラモンでした

この階級について,  彼は次のように述べました

 

人は生まれによってバラモンになるのではない

行動によってバラモンとなるのだ

 

アドラーの,  生まれながらに与えられたものを

どう使うかによってその人の人生は変わる

とする考え方は,

極めてこの仏陀の発言と通じるものが

多くあると思われます

 

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続きまして,  アドラー心理学のキーワードの

1つである「勇気」を含むコメントです

 

As long as you blame yourself

that can not do,

you will not become happy forever.

Only those who have the courage

to admit now of themselves

can get to be really strong men.

できない自分を責めている限り、

永遠に幸せにはなれないだろう。

今の自分を認める勇気を持つ者だけが、

本当に強い人間になれる。

 

自己卑下は誰の得にもならないことです

ネガティブ・スパイラルの

根源とでもいいましょうか

 

まず自分で今現在の自分を認める勇気

良いところも悪いところも含め,

リアルに自分と向き合うこと

 

過去にどうだった,  

未来にこうなりたい,

という思いの前に,

今自分はどういう人間なのか…と

 

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ただ,この観察には多大なる「勇気」が必要です

いわゆる「自己イメージ」を全て破壊した上で,

まっさらな目で見なければならないからです

ただそれを見た人だけが「本当に強い人間」になれる

と,  アドラーは言います

 

If you point out the cause of the problem,

you just take away the courage.

We should focus on solutions and possibilities.

問題の原因を指摘しても、

勇気を奪うだけ。

解決法と可能性に集中すべきだ。

 

ここで言う「問題の原因」は,

トラウマのことです

そのトラウマを指摘しても, アドラー曰くは

勇気が損なわれるだけだと

 

そうではなくて,

トラウマに意識を向けるのではなく,

勇気を出して今・ここの自分と対峙し,

そこから問題の解決を探り,

未来へ向けた目的達成のための可能性に

焦点を当てるべきだとしています

 

ただし,  個人心理学とは言いましても,

アドラーはただただ個人のことだけを

取り上げたのではありません

むしろ「共同体感覚」を非常に重視しました

 

アドラーの言います「共同体」とは,

1対1の対人関係に始まり,  

家族,  地域社会,  国家,  自然,地球,そして果ては

宇宙にまで広がる壮大なるイメージのものでした

 

そうした共同体に暮らしながらも,  問題がある時,

それはその共同体からの「孤立感」が

根源的な原因となると,アドラーは考えました

 

Cause of any failure in life,

is that they think only their own things.

人生におけるあらゆる失敗の原因は、

自分のことしか考えていないことにある。

 

ダライ・ラマ14世も次のように仰っています

 

ネガティブ思考とは

自分のことしか考えないということである

 

 

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アドラーは,幸福の三要素について

次のように端的にまとめています

 

Happiness of the three elements are;

whether you love yourself,

whether you have a good relationship,

and whether you contribute

to people and society.

幸福の三要素とは

自分自身を愛しているか,

良い人間関係を築いているか,

人や社会に貢献しているか,

である

 

個人,  対人, そして社会

この3つの次元において,

自分が良好な状態にあるかどうか…

非常に明瞭な指摘です

 

tsuputon7.hatenablog.com

 

そして,  今ではよく耳にします,

「人は必要とされないと生きがいを感じられない」

という指摘を最初にしたのも,

アドラーだと言われています

 

ただ注目すべきは,

一般に必要とされているかどうかの指標が

「評価」であるのに対し,

アドラーは違った指標を持っていた点です

 

To realize “I have helped.”,

that you are thanked by the other party,

and praised is not necessary.

Feeling of contribution is the “self-satisfaction”.

「自分は役立っている」と実感するのに、

相手から感謝されることや、

ほめられることは不要である。

貢献感は「自己満足」でいいのだ。

 

感謝されたり,  ほめられることは不要である…

「自己満足」で十分,

「自分が役立っている」と実感できると

 

現実に経験上ままあることですが,

自分が良かれと思って相手にしたことも,

相手からの評価がなく落ち込んでしまったり,

その逆で,  自分が無意識でやったことが

やたらと相手から感謝され賞賛されたりして,

不思議に思ってしまう…

 

つまり,  自分一人では自分のことなど

何もわかってない,

と実感させられてしまうことが多々あります

 

こうした思いに振り回されるのではなく,

真の健全な意味での「自己満足」があれば,

ある意味で社会参加は成功していると,

アドラーは考えたわけです

 

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そしてアドラーは,

あくまでもことばではなく行動こそが

ものごとを前進させる唯一の基準である

と考えました

それにはちょっとした「勇気」が必要なだけです

 

Somebody must begin.

Even if other people are not cooperative,

it is not relevant to you.

My advice is this:

You should begin, without thinking

whether other persons are cooperative.

 

誰かが始めなければならない。

他の人が協力的ではないとしても、

それはあなたには関係がない。

私の助言はこうだ。

あなたが始めるべきだ。

他の人が協力的であるかどうか

など考えることなく。

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

 

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