tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語の名言:楽しんでする苦労は苦痛を癒すものだ(シェークスピア)

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                                               March.14.2018

 

 

ウィリアム・シェークスピアは,1564年に

イングランドに生まれた詩人・劇作家です

 

現代英語の源流とさえ言われています

 

昔からフランス人とイングランド人は,

何かにつけてお互い見栄を張り合うことが

多いのですが,  その典型が次の様なものです

 

フランス人        :イングランドには絵画も

                             オペラも彫刻も,  何の芸術もないね!

イングランド人:わが国にはシェイクスピアという

                              世界最高の詩人がいる!

  

当時イングランドの文語は,口語とはかけ離れた

ガチガチののものだったそうですが,

シェイクスピアはそれを口語調で書き下ろし,

しかも,  誰よりも優れた人間観察をした上で

内面心理を描写するという偉業成し遂げ,

一世を風靡したのです

 

彼の頭の中には全盛期には常に30人以上の人がいて,

お互いに会話し続けていたと言われます

同じ人が別の日に彼に会うと,

全く別人のイメージだったとか…

 

本日はこの,   ウィリアム・シェークスピア

名言のいくつかをご紹介したいと思います

 (英文拙訳)

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まずは,  シェイクスピアの「舞台」に対する

考え方がうかがえますコメントからです

 

All the world’s a stage,

And all the men and women merely players:

They have their exits and their entrances;

And one man in his time plays many parts,

His acts being seven ages.

全世界は一つの舞台であって、

すべての男女は、その役者にすぎない。

それぞれ舞台に登場しては退場していく。

そしてある人は自分の番でいろいろな役を演じる。

その舞台は年齢によって七幕に分かれている。

 

全世界が舞台…

そこに去来する男女

その人々が時々にいろんな役割を演じ,

年齢によって幕が分かれる

 

プラトンは「演劇国家」論を展開し,

人は国家と言う舞台で演じる役者だ

と言いましたが,

シェイクスピアではそれが全世界にまで及んでいます

 

確かに,  日常生活で私たちは

意識的であろうと無意識的であろうと,

その時その場にあった「役」を演じている

と言っても過言ではありません

 

むしろその演じ分けがなければ,

例えば,家にいるのと全く同じままで,

会社や学校で振る舞ったとしたならば,

たちまちそのコミュニティからは

疎外されていくことでしょう

 

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続きまして,  シェイクスピアの人間観察力の鋭さが

溢れていますフレーズです

 

A fool thinks himself to be wise,

but a wise man knows himself to be a fool.

愚者は己が賢いと考えるが、

賢者は己が愚かなことを知っている。

 

愚者は有限の世界の中で王様を気取りたがり,

賢者は無限の世界の中で下僕になりたがる,

ということばをどこかで読んだことがあります

 

自分は何でも知っているという考え方では,

その人は有限の世界に住んでいる

ということになります

逆に自分は何も知らないとする考え方では,

その人の眼前に広がる世界が

常に無限につながっています

ソクラテスも言った「無知の知」です

 

ですが,  ニュースなどを見ておりまして,

人と人,  国と国, どのようなレベルであれ,

人間社会の「いざこざ」は,

ことごとく前者同士のやり合いにしか思えません…

 

こうした前者に,  卓抜な比喩を使って

シェイクスピアは次のように警告します

 

Most subject is the fattest soil to weeds.

 肥えた土ほど雑草がはびこるものだ。

 

お金,地位,権力…

他者のためにではなく,自己保存のためにだけ

これらが利用された場合,

仏教で言う「煩悩」でしかなくなった場合,

それはいつしか腐敗します

盛者必衰の理をあらはす…

  

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次に掲げますのは,「自己啓発」的コメントです

 

The labor we delight in cures pain.

 楽しんでする苦労は苦痛を癒すものだ。

 

既にシェイクスピアは,

こんなことを考えていたのです…

 

ただ,  自分のやることにとって

タイミングが重要だと強調しています

 

There is a tide in the affairs of men.

Which, taken at the flood, leads on to fortune;

Omitted, all the voyage of their life.

Is bound in shallows and in miseries.

人の成すことには潮時というものがある。

うまく満ち潮に乗れば幸運に繋がるが、

その機をのがすと、一生の航海がすべて

不幸災厄ばかりの浅瀬につかまってしまう。

 

柿の実が熟して地面に落ちる直前の瞬間,

そのタイミングがわからなければ,

もう味わえません

 

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人間関係について,

シェイクスピアは次のように語っています

 

Expectation is the root of all heartache.

 期待はあらゆる苦悩のもと。

 

タモリさんがよく「期待しない」と口にされます

若手芸人に期待してしまうと,

ついついハードルを上げてしまって,

うまくいかないと嫌な気持ちになる,

そうすると自分も相手もいいこと何もない

だから期待しないと… 

 

確かに,  予測はしても期待はしないほうが,

どんな結果であれ,

こちらの感情が揺さぶられずに済みます

 

その具体例が… 

 

The better for my foes

and the worse for my friends.

敵のおかげで良いめを見、

友だちのおかげで悪いめを見る。

 

非常にありがちな状況です

自分の期待がことごとく逆に出るわけですから

期待というのは自分の願望であり,

他者をよく見て分析した結果ではなく,

他者から連想しうる可能な欲の投影です

 

また,過去に対するネガティブ思考については…

 

 It’s the origin which will cause new unhappiness

again immediately to grieve

for the unhappiness which passed.

過ぎ去った不幸を嘆くのは、

すぐにまた新しい不幸を招くもとだ。

 

tsuputon7.hatenablog.com

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では,どうすれば…?

 

Wisely and slowly.

He who is quick and runs falls down.

賢明に、そしてゆっくりと。

速く走るやつは転ぶ。

 

そして,シェークスピアは現代心理学まで

予見していたかの様なコメントを残しています

 

Even if a bruise at the heart isn’t healed

when thinking others suffer from the same grief,

too, I come to feel comfortable.

他人もまた同じ悲しみに悩んでいると思えば、

心の傷はいやされなくても、

気は楽になる。

 

他者と気持ちを分かち合う「シェアリング」です

「こんなに不幸なのは自分だけだ」という

自作の孤独感が,ネガティブ・スパイラルを

生むことは往々にしてあります

 

ですが,なぜか同じ様な悩みを持ち

同じ様な境遇にいる人が一人でも自分以外にいるんだ

とわかるだけでも,

肩の荷がおります

 

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最後に,端的明瞭なものを三連続で…

 

Where is your light now?

お前の光は、今、何処にある。

 

If nothing is done, nothing happens.

何もしなかったら、何も起こらない。

 

 

Action is eloquence.

 行動は雄弁である。

 

ことばの魔術師,シェークスピアを持ってでさえ,

「ことばより行動」の重要性を強調しています

経験主義的なイギリスにおいては,

フランスのような大陸的な哲学の構築よりは,

現実世界で自分が肌身で感じる行動こそ

優先されるべきものと考えられました

 

饒舌さの中にシェークスピアにも

その精神が宿っていました

 

Brevity is the soul of wit.

簡潔こそが英知の真髄である。

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

 

 

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