tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語の名言:成功の最大の秘訣は他人に振り回されない人間として生きていくことだ(シュヴァイツァー)

 

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                                                         Feb.15.2018  

 

 

アルベルト・シュヴァイツァーは,

1875年ドイツ生まれのアルザス人神学者

哲学者・医者・オルガニスト音楽学者です

 

祈るだけでは人は救えないとし,

30歳で医学部に入学,

38歳で医学博士となりました

 

その後「生命への畏敬」というコンセプトの下で

アフリカでの医療活動や

ヨーロッパでの講演活動が評価されて,

1952年に ノーベルを授与されました

 

彼の唱えました「生命への畏敬」とは

次のような考え方です

 

生命への畏敬とは、シュヴァイツァーの思想と実践の根底にある考え方である。人間をはじめとして生命をもつあらゆる存在を敬い、大切にすることを意味する。彼は生命あるものすべてには、生きようとする意志が見出されるとする。この生きようとする意志は、自己を完全に実現しようとする意志である。シュヴァイツァーはこの事実から出発して、すべての人が自己の生きようとする意志を大切にすると同時に、自分と生きようとしている他の生命をも尊重しなければならないと考えた。それは自己と他者、および生命あるものとの共存をめざす考え方であり、アフリカでの医療活動はまさにその実践であった。

アルベルト・シュヴァイツァー - Wikipedia

 

 

ちなみにシュヴァイツァーは日本とも縁が深く,

風月堂のゴーフルが好物だったそうです

 

本日はこの,「密林の聖者」とも称された

シュヴァイツァーの名言をいくつか

ご紹介したいと思います

 

 

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まずは,人の「価値」についてです

 

  The true worth of a man is

  not to be found in man himself,

  but in the colours and textures

  that come alive in others.

  人の本当の価値というのは

  その人自身の中に見出されることはできない

  それは周囲の人々の表情や雰囲気の中に

  ありありと浮かびあがってくるものだ

 

まさに「人と人の間」でこそ

その人の本当の価値は定められる

自己評価ではなく他者評価があってこそ,

その人の真価と呼べる…

 

シュバイツァーの考える人の存在価値は,

あくまで社会的文脈におけるものでした

大変な思いまでしても他者を救済しようと,

はるばるアフリカまでわかったわけですから,

ナルシスト的な自己評価は彼にとっては

単なる倒錯だったことでしょう

 

だからこそ彼は,  無言実行の美徳を説きました

 

An adequate person never makes noise.

An adequate person works while being speechless.

True morality starts from the place

where a word has ended.

満ち足りた人は決して騒がない

満ち足りた人ほど無言のまま働きかける

真の道徳はことばの終わったところから始まる

 

「道徳的な人間は,  道徳のことなど語らない」

と,孔子に門前払いをくらわせた老子のことばが

浮かんできます

道徳は行動であってことばではない

「情報」でしかない道徳は百害あって一利なしです

 

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続きまして,元気がないときに

じつに励まされる一言です

 

Sometimes our light goes out

but is blown into flame by another human being.

Each of us owes deepest

thanks to those who have rekindled this light.

時々私たち自身の光は消えるが,

他の人によって炎が吹き込まれることもある

私たちは各々この火を再び灯してくれた人々に

最も深く感謝したいものだ

 

落ち込んだとき,

敢えて自分からなんとか元気になろうと

もがくものですが,

なかなかにその状態から自力で脱出出来ることは

ありません

むしろ,うまく脱出できた時,振り返りますと

他に人のちょっとしたことばだったり

行動だったりがきっかけで,立ち直れたんだと

深く納得する時がほとんどです

 

元気がない状態でも

かろうじて開けた本にあった一言が,

劇的に自分の気力・体力・行動力の

起爆剤になってくれた時には,

ただただ作者に感謝の念しか湧きません

ミーム(文化的遺伝子)の積極的価値です

tsuputon7.hatenablog.com

 

 

シュヴァイツァーの幸せの定義はユニークです

 

Happiness is nothing more than good health

and a bad memory.

幸せとは健康で

記憶力が悪いことに他ならない

 

健康は当然大前提ですが,

注目すべきは記憶力についてです

 

記憶力が良いと,いいことも嫌なことも覚え続け,

結果幸せとは言いがたくなり得る

逆に記憶力が悪いと,いいことも忘れますが,

嫌なことも忘れられる,

そして幸せでいられる…

 

思わず心理学者フロイトを連想します

tsuputon7.hatenablog.com

 

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とにかくシュヴァイツァーは行動ありきの人でした

祈りだけでは人は救われないとしたくらいですから

 

キリスト教的人類愛こそ,行動原理に結びつかないと,

即座に美しい偽善に堕してしまいます

 

  Constant kindness can accomplish much.

  As the sun makes ice melt,

  kindness causes misunderstanding,

  mistrust, and hostility to evaporate.

  変わることのない優しさは多くを成し遂げる

  太陽が氷を溶かすように,

  親切な行いが誤解や

  不信や敵意を蒸発させる

 

また,シンプルにこのようにも語っています

 

  Do something for somebody every day

  for which you do not get paid.

  毎日誰かのために何かをしなさい

  見返りを求めずに

 

さらには,

 

Life becomes harder for us when we live for others,

but it also becomes richer and happier.

人のために生きる時人生はより困難になるが,

より豊かで幸せにもなれる

 

無条件で他者に尽くせる人は,

それだけでアイデンティティ

自分の心身を超越できます

すべて「他人ごと」ではなくなるわけですから

 

もはや皮膚による区分すらない,

宇宙そのものの活動の一端として,

自他の区別なく

その人は「ある」わけです

 

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最後に,シュヴァイツァー

成功について次のように述べています

 

  Success is not the key to happiness.

  Happiness is the key to success.

  If you love what you are doing,

  you will be successful.

  成功は幸せの鍵ではない

  幸せが成功の鍵だ

  もし自分のしていることが大好きなら

  あなたは成功する

 

成功したから幸せなのではなく,

幸せだから成功する

その幸せの基盤とは,

自分がやってることが大好きであること

 

確かに,  いやいややっていることで

いかにうまくいこうとも,

それが好きになれないことであれば,

自分はおろか周りの人をも

幸せにできるわけはありません

その人自身の天分が

見事に発揮されている状態があってこそ,

成功があり幸せにもなれると

シュヴァイツァーは考えました

 

そして,自分がやってることが大好きになる,

そのためには人の目は気にしていられません

 

  The great secret of success is to go through life

  as a man who never gets used up.

  成功の最大の秘訣は

  他人に振り回されない人間として生きていくことだ

 

他者愛を貫きつつ,

自らのアイデンティティーは堅持する

シュヴァイツァーの実践哲学が

少し垣間見られた気がしました

 

 

ついさきほど,

女子スピードスケートのオリンピック日本代表・

小平奈緒選手が「好きなことば」を聞かれ,

ガンジー

 

  永遠に生きるかのように学べ

  明日死ぬかのように生きよ

 

を挙げていました

 

そして,もはや人と比べるんじゃなく,

自己記録更新だけを考えてやっているので,

こころは楽で,落ち着いている,と

 

ああ,

この方は他人に振り回されていない人だ,

と確信しました

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

 

tsuputon7.hatenablog.com

 

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