tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

「カミ対応」「カミってる」の「カミ」は由緒正しい日本語!

f:id:tsuputon7:20171030112220j:plain

 

                  Oct.30.2017

 

AKBさんのファンの方々が,

神がかっているかのような素晴らしい対応をする

ごひいきアイドルのふるまいを

「カミ対応」と称し

形容する意味合いで使い始めた「カミ」

日本古来の正しい語法だったようです!

 

「てゆうか,マジ,カミ!

の「カミ」も然り

いつしか「カミ」は,

程度や質を表す副詞としてすっかり定着しました

 

広島カープ由来の流行語になりました

「カミってる」

由来は残念ながら存じ上げませんが

同様の「カミ」でしょう

(ちなみに小生はタイガースファンです…)

 

そういえば関西地区限定かもしれませんが

「カミ」の対義語の筈の「鬼」も, 程度を表す副詞です

「鬼ムズカシイ」 「鬼やね」は, 英語にすると

‘It’s very difficult.’ ‘He plays very well.' あたりで,

「カミ」≒「鬼」≒‘ very’ と言えます

「超」「激」も同様です

すべて「スゴい」のヴァリアントですね

 

ちなみに 

「全然」に至っては,

元来は「全然~ない」と否定で使うべき表現なのですが,

もはや

「全然平気」「全然おいしい」「全然大丈夫だから」

といった言い回しは, 電車でも結構御年配の方々でさえ

使っておられます

 

 

f:id:tsuputon7:20171030112815j:plain

本居宣長 

 

社会学者の橋爪大三郎氏は

『世界は四大文明でできている』(NHK出版新書)の

第5章「日本と四大文明と」で,

「神」と「カミ」の違いは,

日本古来の「神」は中ぐらいのランクで,

「カミ」はトップランクとした上で, 日本の国学の祖,

本居宣長の実に面白い「カミ」解釈を紹介されています

要約させて頂くと,

 

動植物でも自然でも, なにかが平均値を逸脱していて,

人間が感動して「あはれ」と思ってしまう場合を,

カミという

 

ということです

つまり

 

「おお, すごい」=カミ!!

ですから,

若者ことばの「カミ」は,

由緒正しい日本語だったのです!!

 

何と頼もしいミ-ム(文化的遺伝子)でしょう!

「カミ」って, カミ ってる! 

 

 

f:id:tsuputon7:20171030113730j:plain

 ラッパー

 

程度を表す言葉が若者文化の中で独特の進化を遂げる事は

アメリカでもあることです

例えば, 南部の黒人さんラッパー発祥と言われる

It’s ill!

もちろん, ‘ill’ は「病気の」ですから,

元来はお医者さんが「病気ですね」と診断する時の

言い方だったのでしょうけれど,

「それ, イケてる!」

という意味合いのようです

そういえば

It's cool!

も, 「寒い!」なのに「カッけぇ~!」の意味に...

 

ちなみに ‘It’s ill!’ は, 最初日本に訳されたとき

「それ, ビョーキ!」

だったようですが,

ちょっと語弊がありすぎると言うことで

とある日本人ラッパーの方が

「それ, ヤバい!」 と訳したことから

「ヤベぇ!」が定着

という, 言葉が良くも悪くも使えるとのこと

「ヤバうま!」「まじヤバい面白い!」etc.は

スターバックスで日々耳に入ってくる表現です

興味深いのは男女差ない気がする所です

 

f:id:tsuputon7:20171030114450j:plain

 

 

やや古典的になっていますが,

KY=「空気読めよ」も,

実に和ティストな趣に満ちています

この「空気を読む」というのは

まさしく日本人ならではではないでしょうか

「空気」=「雰囲気」という意味合いですが,

「雰囲気」のことを英語で訳すと mood かと思いきや,

単数形の mood というのは個人的な「気分」という意味で

カタカナの「ムード」に近いのは複数形の moods です

つまり, 「人々の気分のあつまり」が「ムード」です

「ムーズのいい喫茶店」が正しい…

 

でも, 「空気」=「ムーズ」だけではありません

「場の感じ」も含みますから, 英語だと atmosphere です

つまり,

「空気」= moods + atmosphere

となり, 日本の若者は「人 + 環境」全体を指して

「空気」と言っているわけです

 

ところで, 

以前のブログで, 日本人は集団主義的でないという

観点でのお話しをしましたが↓

tsuputon7.hatenablog.com

 

この見方からすると

「空気読めよ」という若者は, 他者を「KY」と

レッテル貼りすることで,

対応バイアス(思い込み)の犠牲になっている

ということになり,

複雑な思いがします

 

若者は批判を恐れていては老人です

そうした「KY」を口にしてしまう

「真面目な」若者には, 次のエピソードを

エール代わりに送りたいと思います

 

古代バビロニア(約4,000年前)の門柱に刻まれていた

文言を, 世界的考古学者が約30年かけて

解読に成功しました

彼が発表したその内容の出だしは,

『今の若いもんは…』

 

それでは, このへんで

ごきげんよう!

 

f:id:tsuputon7:20171030115542j:plain

 サルバドール・ダリ