Sep.23.2017
こんばんは
先程英文で
美術史家ゴンブリッヂの美学論を読みました
ゴンブリッヂは,
写真術が生まれる前と後とでは,
馬の絵の描かれ方が違っていたと指摘したことで
知られている人です
何でも, 写真術以前の馬の油絵(ナポレオンとか)では,
現実の馬が絶対にできない足の配置がされていたり
したのだけれど, 写真術誕生以降はリアルな配置に
なったとか
たしかに, 絵的には
美しいというか, かっこいいですけどね
逆に, 昔の時代に「正しい」馬の絵を描くと
笑いのタネになっていたのかも知れません
人間社会の「常識」って, いつの世も
何なんだかな―ですよね…
今日読んだ文章でゴンブリッヂは,
芸術家たちこそが,
私たちに今まで夢にも見てこなかった
自然の中の新たな美を教えてくれるのだ
(It is the artists who teach us to see new beauties
of whose existence we have never dreamt.)
と結論していました
↑モネ『庭のアヤメ』
瓦は虹色でしょっ!: F先生の思い出
小学校3年生の時です
新しい担任がF先生という,
だれもが認める美人女性教師の方になりました
ある意味でこの先生は, 小生に芸術世界の
不可思義さ, 奥ゆかしさ, そしてかけがえのなさを
身をもって教えて下さった方でした
ある時, 図画工作の時間の課題が
教室の窓から見た外の景色を水彩で描く
という, 究極的に平凡な日がありました
内心, けだるささえ感じつつ, でも,
実質初恋の人だったF先生に誉められたい
という一心で, デッサン的にはしっかり描きました
一戸建が大半の住宅街だったので,
瓦屋根が画面の半分位を占めました
瓦は当然, グレーと思っていましたので,
油性サインペンのデッサンの上から,
グレーの水彩絵の具をべた塗りしていました
と, その時に, です
「こらあ~! 何や, この色は~!!」
っと, F先生が僕の絵をのぞき込んで,
絶叫したのです
えっ? 瓦ですけど・・・
パニック状態の小生が自己弁明する間もなく,
F先生が発したのは,
「瓦は虹色でしょっ! よく見てみなさい!
どこの家の瓦が, グレ―一色なのっ!!」
何のことだか全く理解出来ませんでした
というか,
虹以外に虹色のものがあっていい,
のかな…???と...
F先生が続けて言ったことばです
「あのね, 瓦が瓦の色してるって思うのは
大人になってからでいいの!
あなたはまだ, 虹が見えてるでしょっ!!
何を見たって, よく見たら, 虹見えるでしょっ!!」
「はい, 見えてます, 分かりました」
僕は咄嗟に言いました
思ったことさえないのに
F先生に嫌われたくない,
という一心で…
その後, 放課後もいのこって, 瓦屋根の一枚一枚
すべてに, 点々で虹色をつけていきました
前に塗ったグレーが生乾きだったので,
もちろんにじみまくり,
半ばカオスな瓦もありましたが...
出来ばえを見て, F先生は
そう, これ, これ!
と言って下さいました
そしてその絵は,
秋の学年コンクールで最優秀賞に選ばれました
さらに,
1ヶ月ほどして行われた大阪城の写生大会でも
この虹色の瓦技法は効力を発揮し
大阪市のコンテストでグランプリを頂きました
瓦のベースはうす緑でしたが…
天守閣の虎にも虹をあしらいました...
もちろん, すべて, F先生のおかげです
そして僕はこの体験を通して
幼稚園の頃, 虹が大好きで, ある時
直線の道路の向こうに虹が見えた時
虹の端ってどうなってるのかな
と単純に思い,
何も考えずに, 三輪車で虹を追い続けたら,
結果, 1 km近く走ってしまい,
ふと我に返った時には見知らぬ町にいて
呆然としつつ, まだかかっていた虹を眺めていたら,
おまわりさんに保護されました
そのことをありありと思い出しつつ
子ども心は忘れちゃいけないんだ
F先生に怒られる
と, 爪の先まで思いました
ということで,
数十年経った今も,
僕は虹が大好きです
確実に, 虹のミームが僕を使ってます!
それでは, このへんで