tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語で名言を:最高の幸福は不幸の源を知ることである(ドストエフスキー)

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                                                  July.24.2018

 

ドストエフスキーは,1821年

ロシア生まれの小説家・思想家です

 

罪と罰』『白痴』『悪霊』

カラマーゾフの兄弟』等の

代表作があります

19世紀後半のロシアの代表的小説家であり,

その後,20世紀の世界中の小説家に

及ぼした影響は計り知れません

 

その作品の特徴は,

当時のロシアの社会主義思想に

影響を強く受けたインテリ層の,

暴力的革命を否定し,

とりわけキリスト教

ロシア正教に基づく

魂の救済を訴えたものとされます

 

実存主義の先駆者とも言われます

 

あのアインシュタインが,

 

ドストエフスキーは、

どんな思想家が与えてくれるものよりも

多くのものを私に与えてくれる

ガウスよりも多くのものを与えてくれる

 

とまで絶賛しました

史上最大の数学者と言われる

ガウスよりも… 

 

日本でも江戸川乱歩黒澤明手塚治虫

三島由紀夫村上春樹らが,

非常な影響受けたと告白しています

 

小生は学生時代に,

ドストエフスキー格言集で,

 

一杯のお茶のためならば,

地球など滅びてもよい

 

と言うフレーズに遭遇し,

そのとてつもない狂気に,

数日間,他のことを

あまり考えられませんでした

 

本日はこの,ドストエフスキー

名言のいくつかをご紹介したいと思います

和文拙訳)

フョードル・ドストエフスキー - Wikipedia参照

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まずは,「興味をそそられる人」

についてです

 

We sometimes encounter people,

even perfect strangers,

who begin to interest us at first sight,

somehow suddenly, all at once,

before a word has been spoken.

私たちが時に出会う人々の中には,

完全に知らなくても,

一目で興味をそそられる人もいる

なぜだか,突然,全く突然に,

一言も話さないうちに
 

確かにいます…

なぜだかわからないけれど,

二度見,三度見をしてしまう人…

 

どこかで会ったことがあるかのような

デジャブ感が拭えない,そんな「他人」

こうした偶然は必然だったのではないか,

とさえ,頭の中で軽くパニックの中,

解釈したくなります

 

続きまして,

「紳士」についてのコメントです

 

A real gentleman,

even if he loses everything he owns,

must show no emotion.

Money must be so far

beneath a gentleman

that it is hardly worth troubling about.

本当の紳士であるならば,

自分が持っている

全てのものを失った時でさえ,

感情を見せてはならない

お金は紳士にとって

あまりにも縁遠いものなので,

ほとんど問題にならない

これは…

「武士は食わねど高楊枝」の極めつけです!

何があっても,

「決して感情を見せてはならない」…

 

西洋文化に長らく伝承されてきました

「紳士」の原型とも考えられます,

騎士道=ナイトの精神とは,

このようなものなのでしょうか?

 

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自分が知らない人の「笑い方」について,

ドストエフスキーは次のように述べています

 

One can know a man from his laugh,

and if you like a man's laugh

before you know anything of him,

you may confidently say

that he is a good man.

人はその笑い方でわかる

そしてもし彼について

どんなことであれ知る前に,

彼の笑い方が好きになったならば,

あなたは自信を持って

彼はいい人だと言うことだろう

友人知人関係でも,

これは普遍的に言えることでしょう

確かに老若男女にかかわらず,

また知人であれ他人であれ,

ある人の笑い方が好きになったら,

その人を嫌うのは至難の業かもしれません

 

逆に,どんな美男美女,善人であっても,

笑い方に何か違和感を覚えてしまったら,

こちらとしては「付き合いづらい相手」

と感じてしまうものです

 

昔,とある心理学の本で,

人が相手と親密になりたい時に,

まず一緒に食事をしたいと思うのは,

食事をすることで

その人の「歪んだ顔」を確認し,

さらにその間の会話によって,

笑い方をチェックすることで,

それ以降の付き合い方を決めようとする

本能が人間にあるのだとする考えを

読んだことがあります

 

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ドストエフスキーの小説に登場します

人物たちは,頻繁に「幸福論」を

展開しています

作者としては彼らに,

どのようにして幸福と不幸について

語らせていたのでしょうか…

 

Much unhappiness has come into the world

because of bewilderment

and things left unsaid.

不幸の多くは,

当惑してしまうことと

語られないままのことのために

生じてしまう

当惑が不幸を招くのは直感的に分かります

ですが,「語られないままのこと」が

不幸に及ぼしている影響力には,

普段無意識かもしれません

 

よくよく考えてみますと,

そうしたことは当然不安の種となり,

日に日に勝手に大きくなって,

誇大妄想に苦しむ不幸に

さいなまれるものかも知れません

 

では,ドストエフスキーの考える

「幸福」とは? 

 

Happiness does not lie in happiness,

but in the achievement of it.

幸福は幸福の中にあるのではなく,

それを達成する時にある

 

幸福は名詞ではなく動詞です

 

幸福は物ではなく行為の中にある

 

ドストエフスキーのメッセージは,

このように読み解ける気が致します

古来,キリスト教圏では,

肉体は空間に,魂は時間に宿る

と言われますが,

ドストエフスキーのこの発想からしますと,

幸福は魂の味わうものです

 

ただそこに,

あまりにも鋭い視線を注入するのが

ドストエフスキーです

 

The greatest happiness is

to know the source of unhappiness.

最高の幸福は

不幸の源を知ることである 

 

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続いて「人を愛すること」については… 

 

To love someone means to see him

as God intended him.

誰かを愛するとは

神が意図した様にその人を見ることである

ロシア正教に基づいた,

ドストエフスキーならではの発想です

キリスト教圏ではなくとも,

その人そのもの全てを丸ごと

見ようとする意志,

それが「愛」なのではないでしょうか

 

「美」につきましては… 

 

Beauty is mysterious as well as terrible.

God and devil are fighting there,

and the battlefield is the heart of man.

美は恐ろしいと同時に不可思議である

神と悪魔がそこで戦っていて,

その戦場は人間の心である

人間の心という戦場で

神と悪魔が戦い,

その結果生まれたものが「美」である

 

ドストエフスキーが,

人知を超越した価値として

美を考えていた証です

 

こう述べておられましても,

人間ドストエフスキーとしての

一面が垣間見られるフレーズがありました

 

It is not possible for me to eat

without insisting

that I sing praises of my devourer.

ガツガツ食べてるのを称賛する歌を

歌いたいと言いはらずに

私はものを食べることができない

冒頭に掲げました,

 

いっぱいのお茶のためなら,

地球など滅びてもよい

 

と語るセンスに通じるものが

感じられます

 

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では,ドストエフスキーが考える

「賢い人」とはどういう人でしょうか? 

 

The cleverest of all, in my opinion,

is the man who calls himself

a fool at least once a month.

私の考えでは,

あらゆる人の中で最も賢い人とは,

少なくとも月に1回は

自分自身を愚か者と呼ぶ人のことだ

こうした考えですから,

次のようなことも平然と仰います… 

 

The formula 'Two and two make five'

is not without its attractions.

「 2 +2 = 5」という式は

目を引かずにはおれない

あのエジソンは「1 +1 = 1」と

言い張ったと言いますが… 

 

三つ子の魂百まで…

ドストエフスキーもやはり,

内なる「永遠の子ども」としての

アイデンティティーを,

どこかで崩さず生涯貫けた,

稀有な魂の持ち主だったのでしょう 

 

The soul is healed

by being with children.

子どもと一緒にいると

魂が癒される

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

 

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