tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語の名言:集中している子どもはとてつもなく幸せなのです(マリア・モンテッソーリ)

f:id:tsuputon7:20180615130742j:plain

 

 

                                              June.15.2018 

 

 

マリア・モンテッソーリは,1870年,

イタリア生まれの医学博士・幼児教育家です

 

イタリア初の女性医師としても知られています

当時,男性社会のイタリア医学会で

様々な差別を受ける中,

精神病院に就職しました

劣悪な治療環境の中,

ある時知的障害があるとされる幼児が,

床に落ちたパンくずで熱心に遊ぶ姿を

目撃しました

 

知的進歩を絶望視されていたその子が

感覚刺激を求めることに注目したマリアは,

指先を使う玩具を次々に与えたところ,

知的障害児でも劇的に知能向上が見られ,

当時の健常児の知能さえ上回ることを

発見しました

これがいわゆる「モンテッソーリ教育」の

感覚教育法の原点となりました

 

その後,シングルマザーで育てていました

息子の兵役拒否をしたことで

ムッソリーニ政権と対立し,

スペイン,インドに移住,理解者を増やし,

モンテッソーリ教育を広めていきました

ガンジータゴールとも面識がありました

その平和教育思想から,

ノーベル平和賞候補にも上がりました

 

モンテッソーリ教育を受けた現代の著名人を

挙げてみますと…

 

オバマ前米国大統領,

Apple創設者スティーブ・ジョブズ

Microsoft創設者ビル・ゲイツ

Facebook創設者ザッカーバーグ

Amazon創設者ジェフ・ペゾス,

Google共同創立者セルゲイ・ブリンラリー・ペイジ

Wikipedia創設者ジミー・ウェールズ

そして将棋の藤井聡太七段!

 

なんということでしょう…

現在私たちの日常生活を始め,

地球規模で人類に計り知れない影響力を

及ぼしている方々ばかりです

 

本日はこの,現代教育の女神とも言えます

マリア・モンテッソーリの名言のいくつかを

ご紹介したいと思います

和文拙訳)

マリア・モンテッソーリ - Wikipedia参照

f:id:tsuputon7:20180615130803j:plain

 

 

まずは,幼児教育と社会についての

マリアの考え方からです

 

Early childhood education is the key

to the betterment of society.

早期幼児教育は

社会を改善する鍵です

子どもは社会の未来です

その社会に問題があり改善したければ,

子どもがいかに知・情・体において

ベターな状態になっていくかが問われます

 

では,そのためにどのような教育が

なされるべきなのでしょうか?

 

One test of the correctness

of educational procedure

is the happiness of the child.

教育課程の正しさの一つの基準は,

子どもが幸せかどうかです

 

子どもが幸せを感じられる教育,

これこそがモンテッソーリ教育の核

だと言えます

そしてその幸せ感は,

大人がその子に与えるものではない,

とマリアは考えています

 

The child is not an empty being

who owes whatever he knows

to us who have filled him up with it.

No, the child is the builder of man.

There is no man existing

who has not been formed

by the child he once was.

子どもはその子が知ってることが何であれ

私たちが満たしてきたものであるような,

空っぽの存在ではありません

いいえ,子どもは人を作りあげる存在です

子どもの頃の自分によって

形成されていない人などいません

 

f:id:tsuputon7:20180615130857j:plain

 

 

マリアはより具体的に,

子どもに接する時の心得を語っています

 

Free the child's potential,

and you will transform him into the world.

子どもの潜在能力を解放してあげなさい,

そうすればその子は世の中に出て行かれるよう

変身するでしょう

「教育する」 という英単語 educate は,

e+duc+ate  

と分解でき,順に,

「外に+引き出+させる」

という意味合いを持ちます

つまり,

「潜在能力を外に引き出させる」

という原義です

マリアの教育哲学の原点はここにあります

 

そして,

自分でも気づけなかったことが

出来たり分かったりすることこそ,

子どもの真の自尊心を育みます

 

Joy, feeling one's own value,

being appreciated and loved by others,

feeling useful and capable of production

are all factors of enormous value

for the human soul.

喜び,自分自身の価値を感じること,

他者から感謝され愛されること,

自分が役に立ちものを作る能力が

あると感じること,

これら全ては人間の魂にとって

莫大な価値のある要因です

f:id:tsuputon7:20180615130956j:plain

 

 

では,教師の側としましては…

 

When you have solved the problem

of controlling the attention of the child,

you have solved the entire problem

of its education.

子どもの注意力をコントロールする

という問題を解決したら,

その子の教育の全ての問題を解決しています

マリアは子どもの自発性を何より重要視します

 

Never help a child with a task

at which he feels he can succeed.

自分でうまくできると感じている課題では,

絶対に子どもを手伝ってはいけません

 

The child who concentrates is

immensely happy.

集中している子どもは

とてつもなく幸せなのです

言い換えますと,マリアは

「教える」のではなく「引き出す」ことが

教師の役割と考えているのです

 

We teachers can only

help the work going on,

as servants wait upon a master.

私たち教師は子どもの作業が

続けられるよう

手助けすることしかできません,

召使いが主人に仕えるように
 

教育現場の主語は子どもで,

教師ではありません

 

The greatest sign of success for a teacher...

is to be able to say,

“The children are now working

  as if I did not exist.”

教師にとって成功した最高の証は…

こう言えることです

「子どもたちは今, まるで

 私などいないかのように夢中になっている」

つまり,教師の威厳などいらないのです

教師は学習の場そのものとなり,

その子が黙々と何かに集中できていれば,

それが理想の教育なのです

 

くしくもこれは,老荘思想でも

 

   最高の教師は教えない

   ただそこにいるだけだ

 

とされているのを想わせます

tsuputon7.hatenablog.com

f:id:tsuputon7:20180615131111j:plain

 

 

マリアはそうした意味で,

教育が人為的になされるものではなく,

宇宙の力のあらわれであるとさえ

考えていました

 

We discovered

that education is not something

which the teacher does,

but that it is a natural process

which develops spontaneously

in the human being.

私たちが発見したのは,

教育は教師がすることではなく,

人間自身の内に自然に湧き起こる

自然なプロセスだということです

 

そしてマリアは,教育と政治の関係について,

次のように述べています

 

Establishing lasting peace

is the work of education;

all politics can do is keep us out of war.

永続的平和を確立するのは教育の仕事です

政治にできることは

私たちに戦争させないことだけです

政治はブレーキであって,

アクセルではない

つまり,

平和のための教育はあっても,

平和のための政治などはいらない,

とマリアは考えていました

 

政治がアクセルなら,

戦争が起こるだけです

教育がアクセルで,

政治がブレーキとなって初めて,

社会という車は正しく運転されます

 

f:id:tsuputon7:20180615131444j:plain

 

 

そして大人でも

「永遠の子ども」として遊び続けられてこそ,

平和が実現すると,マリアは言います

 

If the whole of mankind is to be united

into one brotherhood,

all obstacles must be removed

so that men,

all over the surface of the globe,

should be as children playing

in a garden.

もし人類全体が

一つの兄弟関係へとまとまっていけば,

あらゆる障害は取り除かれるに違いありません

そうして,人々は,

地球上のどこであれ,庭で遊ぶ子どものように

なるはずです

 

 平和な世界とは,万人が等しく

「永遠の子ども」でいられる世界です

 

このように,

最も小さな教育から始め

最も大きな成果を上げ続ける

教育法の生みの親は,

限りなく子どもたちに対し,

誠実で謙虚な方でした

 

It is not true

that I invented

what is called the Montessori Method...

I have studied the child;

I have taken what the child has given me

and expressed it,

and that is what is called

the Montessori Method.

私がいわゆるモンテッソーリ・メソッドを

発明したというのは正しくありません…

私は子どもが与えてくれたことをもらって,

それを表現したのすぎません,

そしてそれがいわゆる

モンテッソーリ・メソッドなだけです

マリアこそ,

まさしく子どもたちの「召使い」だったのです

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

f:id:tsuputon7:20180615131818j:plain