May.17.2018
1861年インドに生まれた
詩人です
現在のインド国歌とバングラデシュ国歌の
作詞・作曲者でもあります
1902年にインドを訪れた岡倉天心と親交を結び,
天心が他界するまで交流を続けました
彼に「マハートマー(偉大なる魂)」という
尊称を与えたのもタゴールだと言われています
さらに,現在日本でも話題になっています
高く評価したことでも知られています
「西洋文学の一角をなす英語で思考し表現された,
至極の技巧による彼の描く鋭敏な,
鮮やかで美しい韻文に対して」
と言う理由で,
1913年ノーベル文学賞を受賞しました
小生の無二の親友でしたインド人パルメッシュは,
ことあるごとにタゴールのことばを引用し,
宝石みたいでしょ,と
恍惚としていたものです
本日はこの,ラビンドラナート・タゴールの
名言のいくつかをご紹介したいと思います
(和文拙訳)
直筆サイン
まずは,「幸せ」についてのコメントです
It is very simple to be happy,
but it is very difficult to be simple.
幸せになるのはとてもシンプルなことです
しかし,シンプルでいることはとても難しい
幸せは複雑なことではない
むしろ複雑さは不幸せを導いてしまう
無邪気な子どもはシンプルです
とてもシンプルなことで喜び,笑い,はしゃぎます
無目的永遠の歓喜に包まれ,
微塵たりとも悩みがありません
こうした悩みのない状態,
それをタゴールは
「シンプルでいること」と呼んでいるのでしょう
シンプルさの重要性につきましては,
レオナルド・ダ・ヴィンチを始め,
ココ・シャネル,ジョブズなど,
様々な偉人たちが口を揃えて言うことの一つです
続きまして,可能と不可能の対話です
Asks the Possible of the Impossible,
“Where is your dwelling-place?”
“In the dreams of the Impotent,”
comes the answer.
可能は不可能に尋ねた,
「君の住んでる所はどこ?」
「無気力者の夢の中です」
との答えだった
可能と不可能を擬人化しています…
数学を始めとして,インド人の抽象的思考力は
世界レベルでもずば抜けていると言われます
元来の日本語の中では考えられないような
「こと」の世界の話を,
あたかも「もの」の世界であるかのように
具体的に思考していくのです
「ゼロの発見」をした人たちですから…
不可能=無気力者 × 夢
二重にネガティブな域です
ガンジー然り,
タゴールも実践を促す志向の強い方でした
You can’t cross the sea merely
by standing and staring at the water
立って水面を見つめるだけでは
海を渡ることはできない
海を渡るには飛び込むしかないのです
危険を恐れてじっとしていること自体が,
最もネガティブな行為です
さらにタゴールは,知恵を水に付託します
The small wisdom is like water in a glass:
clear, transparent, pure.
The great wisdom is like the water in the sea:
dark, mysterious, impenetrable
小さな知恵はグラスの中の水のようなものである
清く,透明で,純粋だ
大きな知恵は海の中の水のようなものである
暗く,神秘的で,底が見えない
知恵に大小があるという発想自体が新鮮です
「深遠なる知恵」と言いますが,
まさしく文字通り,タゴールは
大きな知恵を海の水に見立てています
タゴールは,社会の中にあっての「人」を
深い思考で見つめ続けた人でした
If you shut your door to all errors,
truth will be shut out
すべての過ちに戸を閉ざせば,
真実も締め出されてしまう
人は誰でも過ちます
どんな聖者であれ,呼吸一つするだけで,
何百万ものバクテリアの命を奪いとるわけです
他者の死が自己の生です
こうした意味で,
すべての過ちに目を塞いでしまうことは,
リアリティーに目を塞いでしまうことになります
私たちにできることは畢竟,
自分は生かされているのだから,
他者を生かそうとすることでしかありません
ただ社会の集団論理は
簡単にそうさせてくれるものではありません
タゴールの鋭い視線は「個人」に向いていました
Men are cruel, but Man is kind
「ひとびと」は残酷だが,「ひと」は優しい
外国の方と話しをしますと,
しばしばこう聞かれることがあります
日本人は一人一人会うと
とても礼儀正しくて優しいのに,
なんで電車だとか街中で集団で動いていると,
あんなに無表情で怖い人々なの
ダライラマ14世も,
日本社会に対するコメント求められた際,
「不必要な緊張感に満ちている気がします」
と仰っておられました
性善説の方です
独自のポジティブシンキングを,
美しいイメージとともに
次のように語っています
Clouds come floating into my life,
no longer to carry rain or usher storm,
but to add color to my sunset sky
雲が私の人生に漂って来る
でももはや雨を降らせ嵐を呼ぶのではなく,
私の夕焼け空に色どりを加えるために
美は苦を消し去ります
友情についても
美の煌めくコメントがあります
The real friendship is like fluorescence,
it shines better
when everything has darkened
真の友情は蛍光のようなもので,
すべてが闇に包まれてしまった時
より一層輝く
漆黒の闇の中であっても,
小さなサーチライトさえあれば,
どんなに遠くまでも行かれます
周り全てが敵であっても,
たった一人であれ理解し合える友がいれば
何があっても進んで行かれます
たとえ絶望の淵にあったとしても
If you cry
because the sun has gone out of your life,
your tears will prevent you
from seeing the stars
人生から太陽が沈んでしまったからといって
泣いたら,
その涙で星が見えなくなってしまう
ただし,自分が身に何が起こったのであれ,
自分がそこにいるから
そういう事態になっているわけで,
自分がいなければありえないことです
つまり,最も広い意味で,
究極的には全てが自己責任,
文字通り「自業自得」です
What seems to be coming at you
is really coming from you.
立ち向かってくるよう思えるものは
実は自分の中からやって来るものだ
それでは,このへんで