tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語の名言:光の中を一人で歩くよりも、闇の中を友人と共に歩くほうがいい。(ヘレン・ケラー)

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                                                   April.21.2018 

 

 

ヘレン・ケラーは,1880年アメリカ生まれの

教育家・社会福祉活動家・著述家です

 

一歳半の時,髄膜炎に罹患し,

一命はとりとめたものの,

見えない・聞こえない・話せない,の

三重苦(trilemma)を抱えることとなりました

 

七歳の時,聴覚障害児の研究をしていました,

電話の発明者グラハム・ベルの紹介づてで,

20歳の家庭教師サリヴァン先生と出会います

 

サリヴァン先生は

自身も幼児期から弱視の経験があったことから,

それを生かして,ヘレンに

しつけ・指文字・ことばを教えました

そしてその後,約50年間,ヘレンを支えました

1904年には,ヘレンは

ラドクリフ・カレッジ(現ハーヴァード大学)で

文学士を得るまでになりました

 

本日はこの,「奇跡の人」

ヘレン・ケラーの名言を

いくつかご紹介したいと思います

ヘレン・ケラー - Wikipedia参照

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まずは,喜び,勇気そして忍耐の関係についてです

 

We could never learn to be brave and patient,

if there were only joy in the world.

 もしもこの世が喜びばかりなら、

人は決して勇気と忍耐を学ばないでしょう。

 

極楽浄土では悩みがなく喜びに溢れているために,

そこにいる方々は勇気や忍耐など

確かに必要ないことでしょう

それらは端的に「苦」に対するための

私たちの持つべき心的態度です

 

ですが常々,

理想通りに勇気や忍耐を持ち合わせることも

ままならぬものです

ヘレンはそうした時に,

どのように考えていたのでしょうか

 

When one door of happiness closes,

another opens;

but often we look so long at the closed door

that we do not see the one

which has been opened for us.

ひとつの幸せのドアが閉じる時、

もうひとつのドアが開く。

しかし、よく私たちは閉じたドアばかりに目を奪われ、

私たちにずっと開かれているドアに気付かない。

 

これはボブ・マーリィの次のことばとそっくりです

 

ひとつのドアが閉まっている時、

もっとたくさんのドアが開いているんだよ。

 

tsuputon7.hatenablog.com

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ヘレンは三重苦の状態から,

サリバン先生の懸命な努力により,

徐々に徐々に様々な能力を身に付けて行きました

ですが,その道は当然「安全」なものとは

言いがたいものでした

 

Security is mostly a superstition.

It does not exist in nature,

nor do the children of men

as a whole experience it.

Avoiding danger is no safer in the long run

than outright exposure.

Life is either a daring adventure, or nothing.

安全とは思いこみにすぎない場合が多いのです。

現実には安全というものは存在せず、

子供たちも、誰一人として安全とは言えません。

危険を避けるのも、

危険に身をさらすのと同じくらい危険なのです。

人生は危険に満ちた冒険か、もしくは無か、

そのどちらかを選ぶ以外にはありません。

 

冒険か,無か…

ヘレンはもちろん前者を選びました

そしていつしか,

他の人たちを励ます存在にさえなって行きました

 

Keep your face to the sunshine

and you cannot see the shadow.

顔をいつも太陽のほうにむけていて。

そうすれば、影なんて見られないわ。

 

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ヘレンのポジティブシンキングは

限界を知りませんでした

 

Be of good cheer.

Do not think of today’s failures,

but of the success that may come tomorrow.

元気を出して。

今日の失敗ではなく、

明日訪れるかもしれない成功について考えるのです。

 

失敗したことをただくよくよ後悔するのは

反省ではありません

失敗の原因を分析したらば,

即座に次を考える

これがポジティブシンキングの基本です

ヘレンはその姿勢を喚起しています

 

そのためにも常々,

自分の「ベスト」を尽くす姿勢が必須です

 

When we do the best that we can,

we never know what miracle is wrought in our life,

or in the life of another.

ベストを尽くしてみると、

あなたの人生にも他人の人生にも

思いがけない奇跡が起こるかもしれません。

 

自分がベストを尽くしていれば,

それは自分自身だけではなく,

他人の人生にも奇跡を起こしうる

まさしく「奇跡の人」ヘレンでこそ

説得力を持って言いうる至言です

 

情熱は情熱を呼びます

しかも,その元の情熱は減ることはありません

ろうそくの灯が他のろうそくを点したとしても,

消えることなどないように…

tsuputon7.hatenablog.com

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ヘレンにとっての情熱は,

自らの生を一所懸命に生きることから,

やがて他の人々の役に立つことの

喜びへと変わって行きます

 

Joy is the holy fire

that keeps our purpose warm

and our intelligence aglow.

喜びとは、

目的をあたため続け、

知性を輝かせ続ける神聖な炎である。

 

そしてその炎こそが,

彼女に彼女ならではの特別な才能,

「心眼」を開眼させたのでした

 

The best and most beautiful things in the world

cannot be seen or even touched.

They must be felt with the heart.

世の中で最も素晴らしく、最も美しいものは、

目で見たり手で触れたりすることはできません。

それは、心で感じなければならないのです。

 

五感を超えて「心で感じる」感性は,

やがて彼女を三重苦を超克し,

常人では計り知れない

広大な世界観を育むこととなりました

 

そして,こうした彼女の姿が共感に共感を呼び,

周りにいた人々に知られずにはいられませんでした

彼女の伝記が世界中の子どもたちに

いまだに深い感動を与えているのは,

当然至極なことです

 

ヘレンは最終的に,

次のような心境にまで至っていました

 

I thank God for my handicaps.

For through them,

I have found myself,

my work and my God.

私は、自分の障害を神に感謝しています。

私が自分を見出し、生涯の仕事、

そして神を見つけることができたのも、

この障害を通してだったからです。

 

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彼女にとって,端的に,

「人生」とは何だったのでしょうか? 

 

Life is an exciting business

and most exciting

when it is lived for others.

人生はワクワクする仕事です。

そしてもっともワクワクするのは、

人のために生きるときです。

 

昨夜,とあるテレビ番組で,

「人類はなぜペットを飼うのか」

というテーマが論じられていました

そこで興味深かったのは,

ペットの飼い主は,自分があげた餌を

ペットがうれしそうに食べるのを見るだけで,

癒されるということ,

また発達心理学のある実験で,1歳半の赤ん坊が

お母さんに自分のおもちゃを手渡した時,

「ありがとう」と感謝されるだけで

大喜びする姿でした

 

そして結論的には,

人類は他者に何かを「与える」ことに

喜びを感じるDNAを,

進化の段階で発達させたのだろう

とする仮説が紹介されていました

 

その歴史的な真偽のほどはともかく,

美しい説だと思いました

ヘレンも,人のために生きられた時にこそ,

最もワクワクできると語っています

 

自分と他者との間で,

感謝し感謝される関係,真の共感関係こそが,

現代の私たちの社会に火急的速やかに

求められている価値だと思います

 

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能力はあっても,自分のことだけしか考えない

利己的な姿勢の人に対し,

ヘレンは痛烈にこう述べています

 

The most pathetic person in the world is

someone who has sight, but has no vision.

世界で最も哀れな人とは、

目は見えてもビジョンのない人だ。

 

ビジョン・アンド・ハードワークの

必要性につきましては,

山中教授も切に訴えておられました

tsuputon7.hatenablog.com

 

ビジョンを持つには,自分のことだけ考えていては,

点と点しか結べません

自分という原点から始め,他者の点とも繋がって,

どんどん広がり面となり,

最終的に立体的になるには,

自分のできることを活用することで

他者のためになるにはどうすればいいのか,

真剣に考える必要があります

 

どんなに有能な人であろうとも,

単独行動のみではその才能の有効活用も

限りがあります

 

ヘレンは,こうした視点を踏まえ,

約半世紀にも渡って壮絶苦楽を共にしてくれた

サリバン先生への限りない感謝を込めて,

次のようなコメントを残していました

 

I would rather walk with a friend in the dark,

than alone in the light.

光の中を一人で歩くよりも、

闇の中を友人と共に歩くほうがよい。

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

 

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