tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語で名言を:自信なんて根拠がある必要はないんですよ(茂木健一郎)

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                                                    April.7.2018  

 

 

茂木健一郎氏は,1962年東京都生まれの

脳科学者です

 

0.1秒で脳全体の神経細胞

電気信号が流れるとされます,

「アハ体験」と呼ばれる驚きを体験できる画像を,

テレビで紹介されていることでも

よく知られています

 

茂木さんはケンブリッジ大学

「意識と脳」について研究される中で,

クオリア(脳内質感)」という概念を

提案されました

 

例えば「りんご」と言いました時に,

私たちは単なる画像としてだけ,

「りんご」を思い浮かべるのではありません

その色,肌触り,香り,その他その人が経験上,

五感を通して得てきた情報全てが,

一気に湧きあがります

こうしたことがなぜできるのかについて,

まだうまく学問的に説明されていません

この「一気」にまとめられる情報の総体を

クオリア」と名づけ,研究対象としようと

考えられたのが茂木さんです

 

そしてこのクオリアこそが,

脳科学のみならず,あらゆる科学が

避けて通ってきた「主観」の問題を,

科学的に解き明かすきっかけとなる

と考えておられます

 

よくヴァラエティ番組などにも出演される為,

結構タレントさんだと勘違いされやすいようですが,

実はこのように,筋金入りの学者さんです

2007年にあのアインシュタインを越えたと称されます

リサ・ランドール博士が来日された際も,

東大の小柴記念ホールで対談をされています

 

本日はこの,茂木健一郎氏の名言のいくつかを

ご紹介したいと思います

茂木健一郎 - Wikipedia参照

(英文拙訳)

tsuputon7.hatenablog.com

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まずは,脳の仕組みについてのお話しからです

 

脳の仕組みは、

小さな成功体験の積み重ねが、

大きな変化を起こしていくようにできている。

The mechanism of the brain is made to make

great changes

by piling up small successful experiences.

 

脳にはモジュールと呼ばれる情報認識単位が

たくさんあって,

そのモジュール同士の連動によって,

認識が成立するとされています

つまり,小さい情報の連携です

そして,それらがポジティブに働き,

総合されていきますと,

自分にとって大きな変化となる

 

まさに,塵も積もれば山となるです

 

こうして多数のモジュールの働きの組み合わせの結果,

私たちは認識して行動します

そこには,プラス情報もマイナス情報も

混在しているはずです

それらの取捨選択によって,

私たちの個性も形成されていきます

 

個性において、長所と短所は表裏一体なのであって、

良いところばかり、悪いところばかり

ということはありえない。

In personality, our strong points are very close

to our weak points.

So, we cannot have only virtues nor only vices.

 

単純な「いい子」「悪い子」という二元論は,

大人たちの都合で貼ってしまう

表層的レッテルに過ぎず,

脳科学的にはナンセンスということになります

 

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 続きまして,「集中」についてです

 

集中して時を忘れる

「フロー」の状態では、

頑張っていることは実は

嬉しいこと、楽なことである。

頑張るということは、

決して無理をするということではない。

During the ‘flow’ state,  

when we forget the time

by concentrating on something,

to work hard is really

a joyful, pleasant thing.

 

茂木さんは,とりわけ学習時に必要なことは,

やった時間や量よりも,

他の何をも忘れてしまうような

「ストゥディオス」=没入感だと仰います

 

この没入感が持続する間は,

脳内の快感物質ドーパミン

大量放出されていますから,

無理強いされて嫌々やるのとは全く違った,

嬉しく楽しい経験となります

 

勉強でも何でも,たまに大きく一回褒められるよりも,

小さく褒められ続ける方がやる気は持続します

つまり,「フロー」状態が続くのです

 

個人的には個人指導で授業をしています時に,

出来るだけ「頑張って」とは言わずに,

「楽しんでね」と言うことにしています

「無理です」と言う子には,

次の回にまた「楽しんでね」と言います

それでも「出来ませんでした」と言う子には,

さらに次の回に「楽しんでね」と言います

面白いことに,

大体,3回くらい言いつづけますと,諦めたのか,

大抵の子は「楽しみます」と言い始めます

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人間とAIの関係について,

茂木さんは次のように述べられています

 

人間の脳の使われ方の中で、

最も高度なものの一つは、コミュニケーションである。

知識やスキルは、

人工知能やロボットに

置き換えられてしまう時代。

関係性や、絆こそが、

ビジネスで最も大切な

「人的資源」となる。

In the uses of human brains,

one of the most sophisticated is communication.

Now is the time when

knowledge or skills will be replaced

by AIs or robots;

It is relationships or human bonds

that will be the most important

‘human resources’ on business. 

 

ビル・ゲイツ氏も,人と人のコミュニケーションは

分析して考えれば考えるほど複雑になるので,

AIにとっても最後の課題となっていくだろう,

と述べています

 

例えばAIは「読解」は出来ません

情報の統計的処理・分析・確率による

予測はできても,

それらを総合的に解釈して判断する,

純粋思考はできません

解釈するとは「自分のことばで言う」ということです

つまり,AIは「他人のことば」は語れても,

自分のことばは持てないのです

あたかも考えているように見えるのは,

私たちの錯覚です

 

これを覚えておくことはとても重要な気がします

  

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さらに,リーダーシップを取る立場の方に

役立つ助言をされています

 

自分の欠点をメタ認知し、

自虐ネタに変えることは、

ユーモアセンスを磨く

一番いい方法だと思います。

I think the best way

to brush up your sense of humor

is to have metacognition of your weak points,

and change them into your own jokes.

 

とりわけこの時代,

実力の有無を問わず,

ただただ偉そうにしているリーダーは

もはや淘汰されつつあります

 

自分の欠点もネタにできる

「自分を笑う哲学」を持っているリーダーだと,

こちらも自然と心開いてしまいます

tsuputon7.hatenablog.com

 

 

今,リーダーに必要とされることの中で,

とりわけ重視されますのは,

「共感能力」だと言われます

ただ見かけが気が強そうとかではなく,

みんなの本音を出来るだけ聞いて,

それを解釈して仕事に反映できる,

謙虚な心の強さを持つ能力です

 

実は誰しもがハイパーテクノロジー社会の中で

慢性的な孤独感に苛まれやすい状況にある時

だからこそ,

「話を聞いてくれる人」が最も頼られ

必要とされているのでしょう

 

そうした意味で,あの人型ロボットペッパーくんの

開発責任者であられた林 要氏は,

次世代リーダーの好例かと思われます

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さらに,アイデアを出す時の条件について,

茂木さんは次のように語っています

 

イデアを生み出すときに大切なのは

「集中とリラックス」のバランスです。

イデアは、

基本的に脳がリラックスしている状態でないと、

生まれません。

The important thing in hitting on an idea

is the balance

between ‘concentration and relaxation’.

An idea can’t be born

unless your brain is relaxed.

 

iPS細胞を発見された時のアイデア

お風呂に浸かっている時だった,と

山中伸弥教授も仰っています

 

考えて,考えて,考え抜いて,

ふっと力を抜いてリラックスした瞬間,

まるで霧が晴れるかのように,

イデアが「ひらめく」

この「ひらめき」の瞬間も,

私たちの脳は全体が一瞬にして活性化し,

「アハ体験」すると茂木さんは言います

 

この緩急自在のバランス感覚を持てたら,

「二刀流」です!

tsuputon7.hatenablog.com

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とはいえ,何か新しいことに取り組むには,

普通ではない勇気が必要です

ですが茂木さんは,迷うことはない,

という姿勢を持つ大切さを説かれます

 

赤ん坊がヨチヨチ歩きを始めるときに

「僕できるかな?」なんて思わないですよね。

A baby doesn’t think ‘Can make it?‘,

when the baby begins to toddle, does he?

 

たしかに…

ただ,迷いなく歩こうとしているだけですね…

 

意味ややる気は必要ありません。

ただ、目の前のことをやればいいのです。

There is no need for meanings or will.

You have only to do what is in front of you.

 

勉強する気がどうしても出ない,

と相談してくれる生徒さんには,

勉強しなくていいから,

テキストとノートを一日一回は

開く習慣をつけてみれば…

と言うことがあります

そして,全くやらなくてもいいので,

3日続けて開く

すると4日目には,

ほぼ何か始めてしまうものです

 

茂木さんも,「取り掛かるまでの時間」が

短ければ短いほど,効率は良くなる,と仰います

ゲーテがこう言っていたのを思い出します

 

あなたにできること、

あるいはできると夢見ていることがあれば、

今すぐ始めなさい。

向こう見ずは天才であり、力であり、魔法です。

 

茂木さんもゲーテ寄りの方だったのですね

 

自信なんて根拠がある必要はないんですよ。

Confidence doesn’t necessarily have grounds. 

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

 

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