tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語で名言を:自分の居場所なんて,自分で決めればいいんだよ(坂本龍一)

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                                                        Jan.21.2018  

 

 

坂本龍一氏は,1952年東京生まれの

楽家です

押しも押されぬ,

日本を代表する世界的ミュージシャンです

 

ニックネームは「教授」です

(この記事でも,以下「教授」で…)

 

1999年に「エナジーフロー」で歌のないピアノだけの

インストゥルメンタルで史上初,

オリコンチャート一位を記録しました

一般にはこのためか,

ピアニストのイメージが強いようです

ですが…

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東京芸術大学大学院生時代に,

細野晴臣氏,  高橋幸宏氏らとともに, 

Yellow Magic Orchestra (YMO)のメンバーとして活動し,

瞬く間にロンドンとニューヨークのヒットチャートで

1位となり,約2年後,バブル期に入りつつあった

日本にその勢いを逆輸入する形で持ち帰りました

 

世界中のディスコサウンドを独占しましたその偉業は,

「東洋のビートルズ」とも称されるほどでした

彼らの代表曲「ライディーンは,

数年前携帯の着メロで大人気になりましたが… 

 

1987年には映画『ラストエンペラー』の音楽で,

日本人として初めてゴールデングローブ賞

そしてアカデミー賞作曲賞を受賞しました

 

小生は中学1年生から,

このYMOのファンクラブ会員でした

そして今現在も,

教授の追っかけを自負しております

コンサートは延べ20回以上は行ったと思います

 

小生が教授に心酔しております理由は,

音楽は当然のことながら, 同氏の強い哲学性の故です

 

どれほど日常的に支えていただき,

どれほど日常的に励ましていただき,

どれほど日常的に感動させていただいていることか… 

 

語り出すと止まらないほどの多大な影響を

思春期の頃より延々と受けてまいりました

 

本日はそのことに深く深く感謝と敬意を込めて,

坂本龍一氏の名言の数々をご紹介したいと思います

(英文拙訳)

 

↓余りにも有名です,「戦場のメリークリスマス

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まずは,言い得て妙な若者に向けたメッセージから…

 

     25歳とか,

    もっと若い人に聞いてほしいところなんですけど,

    だいたい僕も含めて,

    あるジャンルで一人前になってる人たちのなかで,

    なりたくてなった人はほとんどいないんですよ

     I’d like those younger than 25

     to listen to me; perhaps, including me,

     few people have achieved something in a genre, 

     wanting to do so.

 

小生もそうですが,周りの方々を見ましても

全くその通りです

なぜだか,  そういうものです… 

もっとも,若者の特権は「夢」を追うことであって,

自らをかえりみることではありませんが

 

では,音楽家にとっての命とも思われます,

オリジナリティについては坂本氏は

どう考えておられるのでしょうか

 

    音楽に,完全なオリジナルは存在しない

     In music, there is no originality.

 

えっ…その心は?

 

   1曲の中で5%は

    個人の本当のオリジナル

    95%は伝統

    自分は5%のおもしろい部分に興味がある

    Just 5 percent of a tune is made of

    a person’s real originality,

    while its 95 is traditional;

    I’m interested in the sweet 5 percent.

 

なるほど…

「個性的」足り得るのは5パーセントだと…

 

確かに,  例えばピアノという楽器そのもの自体,

伝統の権化なわけですし,

西洋式の音階に至っては,ピタゴラスの頃より

延々とドレミファソラシドなわけですから… 

 

だからこそ,教授は仰います

 

    オリジナルであるために学び続けろ

    Keep learning to be original!

 

↓超絶技巧の名曲です…原曲は大学院時代のものです

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教授はどこに向かっているのでしょう?

 

たとえば,一生かかっても僕が会うことがないだろう

ルーマニアの小さな村のおばちゃんが,

たまたま僕の音楽を耳にして,

「ああ!」と思ってくれる音楽を作ることができるのか

そこが僕の基準です

  If a madam in the village of Romania, say,

  who I’ll never meet in my life

  will feel ‘Alas!’ , happening to hear my music:

  this is my standard.

 

つまり,その「基準」って…

 

   100年後にも

   人々に聴かれている音楽をつくること

   Creating music that will be listened to by people

   even 100 years later from now

 

…だそうです

夏目漱石が文学でそうしたように,

音楽を残したいのだとか…

 

ですが,ご本人としては全く無理をしている訳ではなく,

やはり作曲のキーワードは「遊び」だとおっしゃいます

 

    遊びは結果を求めませんし,プロセス

    僕が音楽を作るのも

    そんなプロセスが面白いから…

    子どもの砂遊びみたいに,

    何を作ろうとイメージするのではなく,

    いじっているうちに形になっていく

    それが創作であり,

    僕にとって創作こそ遊びだと思います

    Play doesn’t need results; just a process.

    The reason why I create music is

    I’m interested in such a process...

    Like the play in the sand box of children,

    not imaging what to make,

    but just playing, I can make it:

    this is creation,

    and the creation is play to me.

 

1つのプロセスが次のプロセスを生み.

さらに次のプロセスをんでいく…

全く以ての無目的な「永遠の歓喜」を

教授もピカソ岡本太郎氏らのように

楽しんでおられるのです!

 

 ↓小生高2の秋に入院した際,

   励まされた愛曲のピアノ版です

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最後に,  反原発運動などでも教授は知られていますが,

命よりもお金を優先する人が増えてきている気がする

とした上での,現代日本社会に対してのコメントは… 

 

   「個人」が表現できない社会って,

     やっぱり病んでると思います

     Still, I think the society

     where ‘one’ can’t express oneself is ill.

 

楽家という表現者としては当然,

表現の自由は活動の大前提となります

それが光的抑圧を被る社会だとすれば,

健全とは程遠いとしか言いようがありません

 

そして,  とても励ましになる端的なコメントです

 

    自分の居場所なんて,

    自分で決めればいいんだよ

    You can decide your place

     just by yourself.

 

それでは,  このへんで

ごきげんよう

 

↓ピアノコンサートのエンディングの締め曲

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