tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語の名言:愛,愛,愛,それこそが天才の魂である(モーツァルト )

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                        Jan.18.18

 

ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト

1756年1月27日,旧神聖ローマ帝国領であった

オーストリアザルツブルクに生まれました

 

彼の生涯を描いた映画『アマデウス』は

かつて日本でも大ヒットとなりました

 この中でもコミカルに描かれていましたが,

その奇想天外な言動はよく知られています

 

例えば,

六才の時,

ウィーンでマリア・テレジアの前で演奏した時,

皇女だったマリー・アントワネット

「大きくなったら僕のお嫁さんにしてあげる」と言ったり,

小学校で初めて足し算を習った日,

あまりにも嬉しすぎて,家に帰って壁に

歌いながら延々と足し算を描いていったとか,

姉に宛てた手紙が横書きではなく,

ぐるぐると右回りで螺旋状に書かれていたとか…

 

たまたまフランクフルトでモーツァルトが7才時

行ったコンサートを聴いたゲーテが,

画家で言うとラファエロ,  

文学者で言うとシェイクスピア

思わせるかのようだった,

と述懐しています

 

彼以降の音楽界に彼が与えてきた影響,

いえ,人類に与えてきた影響は計り知れません

胎教にさえ使われる位ですから…

 

 本日はこのモーツァルトの名言の

いくつかをご紹介したいと思います

 

 

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 モーツァルト 

(後世の画家による想像画)

 

 

まずはモーツァルト

音楽に対する姿勢を表すことばから…

 

    The shorter way to do many things

    is to do only one thing at a time.

    多くのことをなす近道は

    一度にひとつのことだけをすることだ

 

このことばを初めて目にしました時,

モーツァルトが意外にもこういうことを言うのだ

と率直に思いました

彼のきらびやかで複雑極まりない,

でもしなやかで自然で心地よいメロディーが,

「一度にひとつのことをする」人の仕事とは,

イメージが合わない気がしたからです

 

それとも,  一度にたくさんのことをしようとして,

失敗した経験があったからこその

ことばだったのではと思うのは

邪推でしょうか… 

 

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続きまして,  アイディアが出てくるのは… 

 

    When I am traveling in a carriage,

    or walking after a good meal,

    or during the night when I cannot sleep;

    it is on such occasions

    that ideas flow best and most abundantly.

    馬車で旅をしているときや

    食後の散歩中,

    あるいは眠れない夜

    そんな時にアイデア

    最も豊富に湧き出てくるのだ

 

ノーベル医学・生理学賞を受賞された山中伸弥教授は

iPS 細胞発見に至るアイディアが湧いたのは

お風呂の中だったとおっしゃっています

 

何かを集中してギリギリまで自分を追い込み,

幾多の失敗も重ね努力に努力を続けた結果,

それと全く違うことなどをして気を抜いた瞬間に,

思いがけないアイディアが生まれてくる…

 

これは偉人の伝記にはよくあるお話しです

マリー・キュリーも,ラジウム発見のアイディアは

徹夜で研究した果てに実験室で眠り込んでしまい,

その後目が覚めたら,

目の前にメモでその答えが書かれていたと言います

 

モーツァルトも例外ではないようです

心身の緊張状態が極限まで来た後に

ふと和らぐ瞬間に,  まさしく

天から降って湧いてくるメロディがあったのでしょう

 

 

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 そして彼の音楽に対する美学は… 

 

    Music should never be painful to the ear

    but should flatter and charm it,

    and thereby always remain music.

    音楽は決して耳ざわりであってはならない

    むしろ耳を満足させ楽しみを与える,

    それゆえに常に「音楽」でなくてはならない

 

 music の語源は

ギリシャ神話の9人の女神 Muse (ミューズ)です

詩歌・音楽・学問・芸術といった

知的活動全てを司る女神です 

その派生語である amuse は

「面白がらせる」という意味です

 

つまり,

音を楽しめるものでなければ音楽でない

モーツァルトはそういう意味で

聞きごごちの良い音楽を追求していました

 

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ではそうした音楽を作るのに

何が必要だったのでしょうか… 

 

    Neither a lofty degree of intelligence

    nor imagination nor both together

    go to the making of genius.

    Love, love, love,

    that is the soul of genius.

    高尚な知性や

    想像力,あるいはその両方があっても

    天才の形成に至りはしない

    愛,愛,愛,

    それこそが天才の魂である

 

やっぱり愛です…

モーツァルトにとっては

知性や想像力を極めることではなく,

限りなき愛のほとばしりこそが

真の音楽を作り上げる根幹であり

全てであったのでしょう

 

その愛の結果,作品へと結晶したのであれば,

彼には他は何もいらなかったかのようです

 

    I pay no attention whatever

    to anybody’s praise or blame.

    I simply follow my own feelings.

    どんな人の賞賛や非難も

    何であれ一切気にしない

    ただ自分自身の感性に従うのみだ

 

岡本太郎氏の

    評価なんて一切関係なし!

ということばを思い出してしまいます

 

愛のほとばしりとしての芸術活動が

成り立っている間は,  それこそモーツアルト

なんらかのミーム(文化的遺伝子)に

突き動かされているだけで,

作曲とは自身の直感に従った結果に過ぎない

行為だったのでしょう

 

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最後に,

モーツァルトにとって,

音楽は全てでした

端的にその思いを,こう述べています

 

    Music is my life and my life is music.

    Anyone who does not understand this

    is not worthy of god.

    音楽は私の人生であり私の人生は音楽である

    このことを理解できない人はだれであれ

    神と出会うに値しない

 

モーツアルトのただならぬ音楽への愛が

このことばを語らせています

自分の分身としての音楽,

それが分かってもらえない限りは

神に出会ってもらえない

逆にいいますと,

モーツァルトは神との垂直的交通の果てに

作曲をしているのだという

比類なき自負があったのでしょう

 

ある意味で

生きながらにして召されていた方なのかも知れません

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

 

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