tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語の名言:わたしは心の中でクリスマスをたたえ,年中その気持ちを持ち続けていきたい(ディケンズ)

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                                                              Jan.12.2018

 

 

 

チャールズ・ジョン・ハファム・ディケンズ

1812年イングランドに生まれた,

ヴィクトリア朝を代表する作家です

英国の国民作家とも評されていて,

敢えて言ってよろしければ,

日本での夏目漱石に当たる人物です

 

父親が借金返済できず投獄され,

12歳の時から親戚の経営する靴墨工場で

過酷な労働を強いられたディケンズの作風は,

自然と下級階級の目線からの描写が多いです

 

オリバー・ツイスト』『クリスマス・キャロル』,

二都物語』『大いなる遺産』などは,映画化もされ,

英語圏外でもその作品が支持され続けています

 

プルーストドストエフスキーにも愛読されていました

とりわけトルストイに至っては,

シェイクスピア以上の作家であると絶賛したほどでした

 

その作品の真骨頂は筋書きよりも

細部に宿ると言われます

本日はこのディケンズの名言のいくつかを

ご紹介したいと思います

 

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ディケンズ

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 まずは,人生論から…

 

    We forge the chains we wear in life.

    人生において我々が囚われている鎖は

    自分で作り上げたものである

 

幾多の苦難を経験してきたからこその一言

だと思われます

少年期から工場働きをしなくてはならなかった

自らの境遇に,何回疑問を抱いたことでしょう

しかもその原因が両親の

金銭感覚のなさだったわけです

中流階級だったにもかかわらず,

思春期の初めに奉公に出される…

 

それでも,自分の囚われている「鎖」は

自業自得のものだとする境地に至った

ディケンズの想いの数は,想像を絶しています

 

一方で,その人生訓は端的明瞭です

 

    There is nothing so strong or safe

    in an emergency of life as the simple truth

    人生の危機において単純な真実ほど

    強く安全なものはない

 

あれこれと考えあぐね,

迷い迷った挙句に,

問題をもっと複雑にしてしまう…

 

小生には日常茶飯事です

ディケンズの言う「単純な真実」,

どうしてそれを忘れて,向き合わないで,

解決しようとしてしまうのでしょう?

 

最終的にベターな状態になった後で

はたと気づきますのは,

あたりまえなことを脇に置いてしまっていたが故の

迷いだったということ…

 

やはりここでも「シンプルさ」は鍵です 

tsuputon7.hatenablog.com

 

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続きまして,辛い時や悲しい時には…

 

    The Sun himself is weak when he first rises,

    and gathers strength and courage

    as the day gets on.

    太陽それ自体は最初昇ったときは弱々しいが,

    その日が進むにつれて

    力と勇気を蓄えていく

 

ディケンズのこのコメントは,

太陽=彼の内なる情熱も,

たとえ初めは小さく弱々しくても,

持ち続けさえしていれば,気づけば

時間が大きくしてくれ,

力となり勇気を与えてくれるほどになる,

という確信からくるものだと思います

 

ただ,その時間が経つうちにも,

さまざまな想いが去来します

なので,

 

   It opens the lungs, washes the countenance,

   exercises the eyes, and softens down the temper;

   so cry away.

   涙は肺を開き,顔を洗い,

   目を潤し,気分を和らげる

   だから,泣き飛ばそう

 

かのゲーテでさえ,このように言っています

 

    If you’ve never eaten while crying

    you don’t know what life tastes like.

    泣きながらパンを食べたことがなければ

    人生の味はわからない

 

泣いても,食べるんです

泣いても,生きるんです

そうして初めて,

人生の味を知る

 

ディケンズもどれだけ涙を流したことでしょう

涙のカタルシス,浄化作用で

ネガティブな想いを泣き飛ばす

 

悲しみも時が経つにつれて薄らいできます

 

チャップリンも言いましたように…

tsuputon7.hatenablog.com

 

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最後に,苦難の果てにたどり着いた心地でしょうか…

 

    No one is useless in this world

    who lightens the burden of it

    to anyone else.

    どんな人に対しても

    世の中の重荷を軽くしてあげられる人は

    必ず世の中で重宝される

 

自らが不条理に虐げられた経験があったからこそ,

その負荷を少しでも軽減してくれる他人は

自分の家族より近く思えたのでしょう

 

    A loving heart is the truest wisdom.

    愛する心は最も真なる知恵である

  

不遇な少年時代を経た上での

「愛する心」に対する枯渇感,必死な想いたるや,

相当なものだったはずです

それはいつしか繊細なディケンズをして,

「最も真なる知恵」と言わしめるまでになったのです

 

愛を理性に昇華するほど涙したのでしょう

 

ついに,こんな心境までに…

 

    I will honor Christmas in my heart,

    and try to keep it all the year.

    わたしは心の中でクリスマスをたたえ,

    年中その気持ちを持ち続けていきたい

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

 

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