tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語の名言:幸せだから笑うのではない, 笑うから幸せなのだ(W.ジェームズ)

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                                                                 Jan.8.2018 

 

 

ウィリアム・ジェームズは1842年,

ニューヨーク生まれの心理学者・哲学者です

「意識の流れ」の理論を構築したことでも

知られています

ハーバード大学等で生理学・医学の研究をした後,

1875年には、アメリカで初めての

心理学の実験所を設立し,

米国の心理学の祖となりました

 

その心理学と哲学は,パース,デューイとともに

プラグマティズム実用主義)として知られています

知識が真理かどうかは,

生活上の実践に利益があるかないかで決定される,

とする考え方です

 

端的に,机上の空論ではなく,

実践哲学と言ってもいいでしょう

 

日本では,

西田幾多郎の「純粋経験論」に示唆を与えるなど,

近代哲学の発展にかなりの影響を及ぼしました

夏目漱石も影響を受けていることが知られています

 

本日はこのウィリアム・ジェームズの名言を

いくつかご紹介したいと思います

 

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ウィリアム・ジェームズ 

 

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始めに,プラグマティズムの真骨頂とも言える

一言から…

 

    We don’t laugh because we’re happy

    – we’re happy because we laugh.

    幸せだから笑うのではない

    笑うから幸せなのだ

 

赤ん坊がよく,大人たちが笑っているのにつられて

一緒に笑います

それだけで,とても幸せそうです

そこに理由はありません

まず,笑うから,幸せになる…

 

逆を考えてみますと,

悲しいから泣くのではない,

泣くから悲しいのだ,

となります

 

こうした考え方は,何度聞いても新鮮に思えます

身体的行動が心理よりも先にある

絶対真理とは言わずとも,

部分真理ではある気がします

 

ジェームズはこの見方を基本として,

さまざまな行動理念を展開しています

たとえば,次の二例です

 

   Act as if what you do makes a difference.

   It does.

   自分のすることが違いを作るかのように行動しなさい

   それが違いを作る

 

    When you have to make a choice

    and don’t make it,

    that is in itself a choice.

   選択しなければならないのに

   選択しないのは,

   それ自体がもう選択していることになる

 

未来を先取る行動原理,

一歩先を志向する姿勢を,

ジェームズは特に重んじていたのです

 

一例目の make a difference は,

意訳では「重要である」とされます

画一化を余儀なくされやすい某国民からしますと,

斬新な解釈です…

 

また,二例目の「選択」については,

個人的にはとても心当たりがあるものです

迷ってる時はその迷いを自ら選んでいる…

これも不思議と何度見ても新しいことばです

 

ジェームズが

「意識の流れ」を図星でついた結果だからでしょうか…

  

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続きます名言も,痛いところをつくものです…

 

  A great many people think

  they are thinking

  when they are merely rearranging their prejudices.

   自分の偏見を組み立て直しているにすぎないのに,

   思考していると

   思い込んでいる人が非常に多い

 

偏見の組み立て直しでは,

常識という透明な牢獄に囚われたままです

その中で何を一生懸命考えても,

新たな境地には至れません

 

アインシュタインも次のように述べています

 

    Common sense is the collection

    of prejudices acquired by age 18.

    常識とは18歳までに身につけた偏見の

    コレクションのことをいう

 

たしかに,そうかもしれません…

 

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ジェームズはまた,人間の本性について

透徹したコメントを残しています

 

    The deepest principle in human nature

    is the craving to be appreciated.

    人間の本性の最も深い原理は

    正しく評価されたいという渇望である

 

所謂,承認欲求です

子育てレベルだけではなく,

大人になっても,恐らくは生きている間ずっと,

ネグレクト(無視)されるほど辛いものはありません

家庭に始まる社会原理として,

ジェームズにしますと個人個人の本性として,

誰かに認められたい,という思いは強烈なものです

 

自己の存在価値を保証してくれる他者がいなければ,

誰しも健全な精神的満足感など得られないでしょう

恐らく,真に悟ったブッダのような人でなければ…

 

では,価値とは?

ジェームズは言います

 

    Believe that life is worth living,

    and your belief will help create the fact.

    人生は生きる価値があると信じなさい,そうすれば

    その信念がその事実を生み出す助けになるものだ

 

ここにもプラグマティズムの精髄が垣間見られます

要するに,価値は自分で作るものであり,

その結果得られるものだと言うのです

 

人生は生きる価値があると信じることから始める

そうした信念があって,成熟して,

実ったものが本当の価値を生む…

 

と言いますのも,

 

    Compared with what we ought to be,

    we are only half awake.

    あるべき姿と比べて,

    私たちは半分しか目覚めていない

 

からです

 

こうした意味で,ジェームズのユニークな哲学は

以下の至言に集約されていると思われます

 

    Wisdom is learning what to overlook.

    知恵とは何に目をつぶるかを学ぶことである

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

 

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