tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

どんなことも不可能と証明されるまでは可能である

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                Dec.23.2017

 

 

パール・バックはアメリカの女性小説家で,

生後間もなく宣教師の両親と中国に渡り,

そこで育ちました

代表作『大地』でピュリッツァー賞を受賞し,

1938年にその小説が

「中国の農夫の生活を豊かに,

真に叙事詩的に描いたものとして,

大変すぐれたものである」と評価され,

ノーベル文学賞を受賞しました

 

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 パール・バック

 

最初の夫との間に知的障害を持つ一人娘

キャロルがいました

キャロルを最終的に養護院に

預けなければならなくなったいきさつと

母としての心の壮絶な葛藤を描いたのが,

『母よ嘆くなかれ』(松岡久子訳/法政大学出版)

という作品です

小生が最も印象に残ったのは,

冷徹のようでいて,正直で理性的で実は熱い医師からの

インフォームド・コンセントを受ける場面です

キャロルには

四歳児以上の知的能力は望めないと告げたあと,

医師はこう宣告します

 

奥さんに申し上げますが,お子さんは決して正常にはなりません。ご自身を欺くことはおやめなさい。貴女が望みを捨てて真実を受け入れなければ,貴女は命をすりへらし,家族は崩壊するばかりです。お子さんは決してよくならないでしょう。(中略) 私はこのような子供を沢山みてきました。アメリカ人はみんな甘過ぎます。私は甘くありません。貴女がどうすればよいかを知るためには苛酷な方がよいのです。このお子さんは貴女の全生涯を通じて,貴女の重荷になるでしょう。その負担に耐える準備をなさい。(中略) このお子さんが貴女のすべてを吸収してしまうようなことをさせてはなりません。お子さんが幸福に暮せるところをお探しなさい。そしてそこにお子さんを預けて,貴女はご自分の生活をなさい。私は貴女のために本当のことを申し上げているのです。

 

 

本日はこのパール・バックの名言をいくつか

ご紹介したいと思います

 

 

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フィンセント・ヴァン・ゴッホ『星月夜(糸杉と村)』

 

 

まずはパール・バックが,自身について

述べたことばから…

 

    Inside myself is a place

    where I live all alone

    and that is where I renew my springs

    that never dry up.

   自分の中に

   まったく一人でいる場所があり,

   そこは決して涸れることのない自分の泉を

   私が更新するところである

 

「自分の泉」というインパクトファクター

目を引きます

確固たる自我を持ち,孤独(loneliness)というよりも

単独(aloneness)であることの強さを感じさせる

一言です

自らのそうした内的エネルギーの源の存在,

それが永遠に自分の中に与えられているということを

確信を持って生きていたのではないでしょうか

 

そうした強い面を

その仕事に対する姿勢でも表明しています

 

    I don’t wait for moods.

    You accomplish nothing

    if you do that.

    Your mind must know

    it has got to get down to work.

 

    私は気乗りするのを待ったりはしない

    そんなことをしていては

    あなたは何も成し遂げられない

    とにかく仕事に取りかかるんだということを

    あなたは心で分からなければならない

 

もはやこれは,

スティーブ・ジョブズピカソゲーテを彷彿とさせる

行動原理です

つべこべ言わず,

まずやってみる

頭の中でくよくよ考えたり,  口先だけであれこれと

希望や願望を垂れていてもいても,

何も始まりません

まず,行動ありき

戦前のアメリカで女性がここまで強くありえたのは

奇跡とも言っていいでしょう 

 

 

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続きまして,  

失敗したときに非常に励みになる一言が…

 

     Every great mistake has a halfway moment,

     a split second when it can be recalled

     and perhaps remedied.

    すべての大きな過ちには中間点となる瞬間がある

    その過ちを取り消し

    あるいは正すことのできるコンマ何秒かが

 

意外と保てない視点かもしれません

大失敗をしている最中に,

それを修正できる瞬間がコンマ何秒かでもあるんだと

常にそう思えれば,これは素晴らしいことです

 

アスリートのみならず,普通の仕事をしている方でも,

失敗に気づいた瞬間に,

それを傍観してパニックに陥るよりは,

その一瞬で「必ず治せるんだ!」と気持ちを切り替え,

よりマクロな視点で大局に目を向け

修正を試みることができれば,

被害を最小で食い止められますし,

次回にその失敗と同じ轍を踏まずにすみます

 

ここに絶望の中でも希望の光を見出そうとする,

暗闇に灯るろうそくのあかりを信じる,

パール・バックの信念,生活哲学が垣間見られます

 

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そして,おそらくはお年を召してからのフレーズです…

 

    Ah well,

    perhaps one has to be very old

    before one learns how to be amused

    rather than shocked.

    ああ,そうですね,

    たぶん人間は十分年をとって初めて

    どうやって衝撃を受けるかというより

    愉しむかを学ぶのでしょう

 

いぶし銀の一言です

ショッキングなことがあったときに,

ただただ混乱してしまいがちなものですが,

年齢を重ねるにつれて

その後が予測できるからでしょうか,

感情のコントロールがスムーズになるからでしょうか,

そのプロセスを楽しめるようになるというのです

 

「自分を笑う哲学」を

ことばでも行動でも実践することが,

目下小生の目標なのですが…

 

先週土曜日等,  自転車の後輪に画鋲が刺さり,

パンクしただけで,  軽くパニックになり,

自転車屋さんまで約1キロ押して歩き,挙げ句の果てに

チューブ全交換までしなくてはならず,

やるせない気持ちになり,

半日は気力も体力もそこに費やしてしまった,

そんな自分を笑うのに,  2日ぐらいかかりました… 

他の人が踏まなくてよかった,と本気で思えるのには

未来永劫かかりそうです

何て弱いことやら…

 

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やはり,パール・バックのように

並々ならぬ試練を経た方でないと

言えないことばがあると思います

そうしたミーム(文化的遺伝子)の一端に

触れられるだけでも,幸せだなあと,

ゆるゆるながら染み入る今日この頃です

 

自分ひとりの頭ではロクなことを考えません

 

そのことに一目で気づかせてくれて,

新たな自分になるきっかけとなり,

生涯の座右のとなりうる名言は,

本当に形のない宝石です

 

次のフレーズも

小生にとりましては

文字通り珠玉のことばです

 

    All things are possible

    until they are proved impossible –

    and even the impossible may only be so,

    as of now.

    どんなことも

    不可能と証明されるまでは可能である

    そして不可能なことでさえ,

    今現在,

    ただそうなだけなかもしれない

 

それでは,このへんで

Merry Christmas!

 

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