tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語で名言を: 一番小さなことでも満足できる人が一番裕福である(ソクラテス)

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                                                           Dec.21.2017

 

 

正直者が損をする,

ということはよく言われますが,

ソクラテスは,

思ってることを言えないくらいなら

死んだほうがマシだ,

とまで言い放ちました

 

世の中全員がホントの正直者になってしまったら,

現在の社会構造は一気に崩壊するかと思いますが,

自分を貫くという意味では,この方ほど端的で鋭く

明瞭なことばを残した人も

ほぼいないような気さえします

 

本日は,西洋哲学の祖,

ソクラテスの名言をご紹介したいと思います

 

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なんだかキュート… 

 

 

まずは,  あまりにも有名なこのフレーズから… 

 

    I know nothing

    except the fact of my ignorance.

    私が知っているのは

    自分が何も知らないということだけだ

 

いわゆる,「無知の知」です

ソクラテスは自分の話し相手が知識を持ちだしたとき,

それは一体どういうことですか,と切りだし,

どんどんどんどん

うがった質問をしていくことによって,

最終的には相手もさほど

大したことは知らなかったことを気づかせる,

産婆術と呼ばれる独特の論法を編み出しました

そして,自分が知ってたことなんて

本当にちっぽけなことであり,

真理に向かうものではないと悟らせる …

 

とりわけ知識をひけらかして,  あたかもそれが

何よりも勝ることかのように吹聴する人に対しては,

激しくこの産婆術で挑んだといいます

 

超情報化社会の今,  こんな人が

身近にいたら大変です!

ですが,  リサ・ランドールも言っていますように,

夜空を見上げて,  

人類が科学の力でわかっていることなんて,

たった4%ほどしかないということを考えますと,

ソクラテスの見ようとしていた真理というのは,

その夜空全体に意識が向かないと,

垣間見ることさえできなかった

何かなのかもしれません

 

tsuputon7.hatenablog.com

 

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続きまして,  友人論です

 

    Think not those faithful who praise

    all your words and actions;

    but those who kindly reprove your faults.

    あなたのあらゆる言動をほめる人を

    思うのではなく,

    間違いを指摘してくれる人のことを思いなさい

 

自分の欠点を勇気を持って指摘してくれる友人は

宝であるといいます

下手をすると友人関係を壊してしまいかねないのに,

本当にこちらの間違いを気づいてくれたからこそ,

それを教えてくれる存在,  そんな方はどんな教師よりも

教育的価値を体現している人でしょう

 

成功しない人は,  失敗しない人だ

と言います

自分の傷を治すべく, 小さな痛みに耐えてこそ,

本当の健康を手に入れられるというものです

勇気を持って諫めてくれた友人のアドバイスに従い,

自分も勇気を持って

その欠点を直すことができたならば,

必ずや深い有意義な気づきが芽生えることでしょう

 

そういう意味で,

ソクラテスは徹底した自力本願の人でもあります

 

    Let him who would move the world,

    first move himself.

    世界を動かそうと思ったら,

    まず自分自身を動かせ

 

このことばは表現をいろいろに変え,

後世に伝わってきているミーム(文化的遺伝子)かと

思いますが,

源流はソクラテスだったようです

世界を動かすというよりも自分が動くいたら世界が動く,

そういう目線を小さいレベルからでも

持続して持てる人が,  気づけば

他の追随を許さないような

偉業を成し遂げているものです

 

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ことば上の微細な差異はあっても,

普遍的な知恵は世の東西を問わないのかもしれません

 

  He is richest who is content with the least,

  for content is the wealth of nature.

  一番小さなことでも満足できる人が一番裕福である、

  何故なら満足は自然の富だからだ

 

ソクラテスと同時代の紀元前5世紀頃,

古代中国の老子も「足るを知る」ことの重要性を

強調しました

 

現代日本の資本主義社会で生活をしておりますと,

満足してはダメだ!

ということばをあちらこちらで耳にします

こと,社会的文脈での

仕事や学業の成功などを収めるには,

その姿勢は必須なものかもしれません

ですが,それを自分のアイデンティティーの全てに

求めてしまったならば,

強迫観念に追われ続けた生活をするしかなくなります

 

必然的にその考え方では,ストレスが溜まり

心身ともに衰弱の一途を辿ることでしょう

アイデンティティーの多層性を積極的に認め,

社会的文脈での自分の能力に関しては満足してはダメ,

個人的文脈で家でちょっとした

おいしいもの食べられたり

したときには,心の底から満足を感じる,

そうしたありようが現実的で有効な気がしてなりません

 

tsuputon7.hatenablog.com

 

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 最後に,  非常に現実味のあるアドバイスです

 

   Remember that there is nothing stable

   in human affairs;

   therefore

   avoid undue elation in prosperity,

   or undue depression in adversity.

   人がやることに

   安定などないことを忘れてはならない

   それゆえに,

   繁栄している時には過度の喜びを避け,

   逆境にある時には過度の落ち込みを避けなさい

 

明けない夜はない,

逆境にあるときにはそう思って,

おごれる者は久しからず,

うまくいってるときにはそう思えれば,

自分という車のアクセルとブレーキを

うまく操縦できるはずでしょう

 

言うは易し,するは難しですが,  バランスを取るべく

そういった心がけをし続ける姿勢こそが,

行為の美学と言えると思います

 

小生は,  中高でラグビーをやっていたのですが,

高校の部活の監督が試合前に

口癖のように言っていましたことばが,

 

    点をとって喜ぶな

    点をとられて悲しむな

 

でした

 

血気盛んな当時は,  どちらかと言いますと

直情的な単細胞人間でしたもので,

ほとんどこのことばを無視して本能のままに

逆のことをしていましたが,

マクロな視点で最適な最終結果を求めるには,

クレバーな戦略としか言えません… 

 

当時は正直,  

気の合わない先生だと思っていたのですが,

今となって,  

やっとわかる気がしてきた含蓄の深いミーム

繰り返し言って下さっていたのでした

先生,感謝しています

 

それでは,このへんで

ごきげんよう

 

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