tsuputon's blog

英語の名言をベースに, 哲学から医学・薬学に至る雑学を, ゆるまじめにご紹介していきます

英語習得に文法用語は不要では?:美的英語学習のススメ

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             Nov.3.2017

「不定詞の形容詞的用法」

「目的格関係代名詞の省略」

「直接話法の間接話法への転換」

   ・・・

 

小生は二十余年間, 英語教師のはしくれとして

拙ない授業をさせて頂いてきたのですが,

しみじみ思うことがあります

 

日本の英語教育に最も歯止めをかけている元凶は

「文法用語」ではないか, と

 

ただ, 先に申し上げておきますが,

くれぐれも誤解しないで頂きたいのですが,

「英文法」は非常に大事です

また, 英語学者や言語学者の方にとっては

理論構築のために「文法用語」は必須です

文法は言語の骨格であり, それなくして

言語の体系だった構造解明は成立しませんから

 

小生が申し上げたいのは,

ただその文法を説明する側,

つまり, もちろん, よかれと思ってのことだと思いますが,

英語教師や学者側の都合で作られてきた漢字の羅列の

あのトップダウン式の「文法用語」なるものが,

いかに不必要に学習者のやる気を阻害しているか

ということです

そもそも,

「英」語学習なのに, 「和」訳以外の「漢」字が,

なんでそこまで, 厳格な雰囲気でおわしますの?

本当に本当に失礼で御座いますが, 美しくはないですよね…

 

 

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PAUL KLEE:Miraculous Landing, or the "112!"

 

また「文法用語」は小生自身, 中学に入り

意気揚々と英語が習えると思ったのに,

そのテンションをものの見事にくじき,

英語嫌いになった最大の理由でもありました

 

先日, 小学校で習った会話中心の英語は大好きだったのに,

中学校に入ってから大嫌いになったという子が

非常に増えているというショッキングな記事を読みました

その最大の理由は, 文法の説明がわからない,

あるいは分かろうとするのが億劫だとの事でした

 

何と悲しい事態でしょう!

今も昔も何も変わっていない!

一度は大好きになった英語が,

一転して大嫌いになってしまうだなんて…

現代日本, いや, 現代世界における

英語の重要性と価値を考えた時,

身の毛もよだつ話しだと思いました…

 

考えましたらば,

文法用語というのは基本的に漢字の羅列です

英語を理解するのに

漢字をこんなに勉強しなきゃいけないのか

学校の先生も塾の先生も, 英語教師と名付く方々はみな,

口を揃えて「文法は大事だよ」と, 念仏の如く言う...

でも, これ, 「漢文」だよ!

小生自身, 中学生の頃そう思いましたし

多くの方々がそうだったと

家庭教師先や

個人指導の担当をさせていただいた生徒さんたち

友人, 知人が口を揃えたように言っています

 

そこで小生は家庭教師を始めました二十余年前から

極力, 文法用語を使わない説明

可能であれば文法用語ゼロの説明は出来ないものかと

心がけ, 自分なりに試行錯誤し追求してきました

 

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PAUL KLEE : Movement of Vaulted Chambers

 

 

たとえば, 次のような英文があるとします

(全てオリジナル英文・解説です)

 

The man whose job is creating CG pictures on the Net emailed her that he was coming to her birthday party, which made her heart leap high.

 

これをあえて「文法用語 」ガチガチで解説しますと,

 

『この文の主語は The man で、 whose 以下が関係代名詞節です。whose は所有関係代名詞で先行詞は The man、 その節は Net までで, 主部を作っている。だから、The man whose job is creating CG pictures on the Net で「ネットでCG画像を創っている男の人」。次に、email は二重目的語を取る動詞で、 間接目的語が herで、that 以下の節が直接目的語。なので、emailed her that ~ で、「彼女にthat~とメールした」。そして、that 節内の主語は he、述語部分の was coming となっている理由は、 come という往来発着動詞は近未来のことなら進行形で表せるので、意味内容としては未来のこと。だから、名詞節を導く接続詞がまとめている部分は  that he is coming to her birthday party で,「彼が彼女の誕生日パーティに行くということ」。そして、次のコンマ、重要です。, which ~で、関係代名詞の非制限用法が用いられています。別名、継続用法とも言います。「そして, そのことは~」で、「そのこと」とは that 節の内容すべてを指しています。コンマがない場合の which だと制限用法になり, 節まで指すことはできないことに注意しましょう。ここの made は使役動詞 make の過去形で、第5文型になっている。her heart と leap が ネクサスだから、主従関係を作っているので、  ,which made her heart leap highで「そして、そのことが彼女の心を高く跳ねさせた」という直訳になるけれど、which は無生物主語なので、〈理由〉のニュアンスを読み込んで、「だから彼女はとてもドキドキしてしまった」と訳すと、自然な日本語になります。』

 

おそらくこれが標準的な「文法的解説」と思われるものです

それでは, 「文法用語」を使わずに解説するとしたら?

小生ですと, 次のように説明させて頂きます

 

『まず, 意味の切れ目かな, と思える所にスラッシュを引いてみましょう. 

 The man/ whose job is creating CG pictures/ on the Net/ emailed her/ that he was coming to her birthday party/, which made her heart leap high.

whose~Net は The man にかかっていて, email+人+that ~で「人に~とメールする」, コンマ+which は「そして, そのことが~」, そして make+人+do で「人に do させる」. 

では, それぞれのブロックごとに訳を当てていくと,

「その男の人は/その仕事はCG画像を創ることである/ネットで/彼女にメールした/彼が彼女の誕生日パーティに行くという/そしてそのことが彼女の心を高く跳ねさせた」つまり,

「CG画像を創る仕事をしている男の人が, 彼女に彼女の誕生日パーティに行くというメールしたので, 彼女はとてもドキドキしてしまった」』

 

前者の「文法用語」による解説では,

12 8文字もの漢字が使われています!

一方, 後者の「ひらがな」の比率の高さは,

一目瞭然です!

ともに最終目的は同じというのに…

大和ことばの美しさが個人的には大好きです!

 

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広隆寺 弥勒菩薩半跏思惟像

 

 

小生のオススメする

「文法用語」を使わないでも正しく英語を理解する際の

ポイントとなるのは

 

  ① 英単語

  ② 熟語,

  ③ 例文暗記

  ④ スラッシュ・リーディング

 

です

 

①と②では,

細かい「てにをは」まで含めた上の

把握をしていくことが必須です

正確な日本語の対応訳をセットで覚えていくことで

単語でもイディオムでも「生きた」ことばとして

自動的に機能してくれます

名詞, 動詞, 形容詞, 副詞 その他の品詞も

実はきちんと対訳をインプットしていけば

気にする必要がなくなります

全く恣意的なイメージですが

  単語=肉

  熟語=血

  例文=骨

と見立てています

ボキャブラリーとイディオムをインプットしつつ,

重要な文法機能を持っている

代表的な基本例文暗記をコンスタントにすることで

動的な骨格作りをするのです

 

この3つをコンスタントに学習し

インプット→マスターしていただき,

スラッシュ・リーディングを習慣づけて頂けた方は

ほぼ確実にその努力量と正比例的か, それ以上に

英語力も伸びています

 

試行錯誤, 紆余曲折してきたのですが,

小生は肌身を持ってそのことを確信しています

 

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考えてみましたら,

文法用語というのは

空港の税関の人たちの発言のようです

オレンジを輸入する場合を考えてみましょう

アメリカからオレンジ輸入する時,

空港でチェックを受けます

税関職員やいろいろな検査官・学者が

それを手にして, この表面のワックスの成分は何何で

使用している農薬の濃度は何%であり,とか

生活言語とかけ離れた法律用語的・学術用語的な

漢字の羅列が続きます

 

しかし, 国民が望むオレンジというのは

然るべき輸入先と輸入元であれば

税関での評価はどうでもよいことであり,

とにかく, おいしければいいのです

ただその際, 自分の五感を総動員し,

化学肥料だとか異物混入していないかのチェックは

ちゃんとできるよう自分を鍛えておかなければなりませんが

  

つまり文法用語というものは

私たちの生活言語からかけ離れているわけです

文法用語は文法の説明の世界でしか意味をなしません

テクストとなる英語も日本語も生活語なのに!

 

また, 続くお話しをさせて頂きます

 

今回は, このへんで

ごきげんよう!

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