Oct.24.20l7
英語を生業とさせて頂いてきた身としまして
時折,
一番厄介な単語って, 何ですか?
という質問を受けます
その時, 小生は間髪入れず, ‘as’ と答えます
少なくとも, 個人的には確信を持ってそう言います
ある時, 家庭教師でお邪魔しましたお宅で
‘as’ って, そんなに大事なんですか?
という質問を受けたのですが,
な, な, なに言ってるのっ!?
と言いたい所, 一瞬間を置いてから,
う~んとね, 見落してしまうと, ちょっと大変かなあ…
とぼやかしました
この立場で二十余年いさせて頂いてきた経験上,
‘as’ のパワーが分かっているかいないかで
ざっくり, その方の英語習熟度が測られる気がします
なので, 初回授業のチェックテストでは
あちらこちらに ‘as’ を散りばめ
さりげなく注目したりしています
本日はこの
‘as’ という英単語最強ミーム(文化的遺伝子)
について, 個人的見解を元にお話ししたいと思います
英単語最強ミーム (文化的遺伝子) ‘as’ : 語源は ‘also’ !
自分が中高生の頃, いえ, 大学, 大学院に行ってからも
たった2文字なのに
無視するとゾンビのごとく後から追っかけてくる単語が
as でした
そして今日に至るまで, 数え切れないくらい,
もし小生の脳が検索エンジンだとしましたら
英語に関してアクセス数No.1まちがいないのが as です
そして, 真面目に勉強して下さる生徒さんほど
この単語のやんごとなきポテンシャルに
じわじわ気づき始めます
分かるようで分かりづらい
「つれないあの人」的存在
そこで,
何とか生徒さんに す~っと
聞いただけで覚えてしまう方法はないかと
数年越しで<開発>したのが, こちらです↓
① ので
② とき
③ ように
④ つれて
⑤ として
⑥ だけれど
⑦ 同じ
これで, ‘as’ の意味の 9割方は網羅しています
「のでときようにつれてとしてだけれど同じ」
って覚えたらいいよ, って言いましても,
なかなか大抵の生徒さんはピンとこない様子
そこで, 1文字目だけ取って,
「のとよつとだお」
をススメると, さらに怪訝な顔に...
それ, まんまですよネ
「だお」とか, オタクっぽい...
っと, ニヒルな笑いで返してくれた
男子生徒さんもいました
PAUL KLEE: Movement of Vaulted Chambers
as の語源は also です
そして, also の語源は all so です
つまり,「全くそのとおり」が as の原義となります
端的に言いますと,
A as B という表現は,
A = B を示していることになるのです
先ほどの小生の「開発商品」①~⑦に沿って
具体例を挙げてみますと,
(As B, A のパタンも含みます)
① ので
As I'm busy, Ⅰ can't go there.
「忙しいので」=「そこに行けない」
② とき
As a child, you were an artist.
「子どもだったとき」=「芸術家だった」
③ ように
Look at the world as it is.
「世界を見なさい」=「それであるように」
④ つれて
We will understand better, as we grow.
「私たちはよりよく理解するようになるものだ」
=「私たちが年をとるにつれて」
⑤ として
We regard an unknown thing as nothing.
「私たちは未知のものを見なす」=「無いものとして」
⑥ だけれど
Young as he is, he is generous.
「彼は若いけれど」=「彼は寛大だ」
⑦ 同じ
I'm as tall as she (is).
「私は同じ背の高さだ」=「彼女がそうであるように」
これらの「=」の役割を‘as’がやってるんだと意識すると
かなり, 親近感が湧きます
この「=」イメージを
‘as' を見た瞬間連想するようにして頂くと
意外とふわっと分かってきます
ただ, 所謂「イディオム」は, 理屈を超えて
反射的に訳せるくらいにしておいた方が, 実際的です
たとえば,
As is often the case with A,「Aにはよくあることだが,」
などは,
Asはコンマ以下を指す擬似関係代名詞だから,
「次のようなこと」で,
この場合のcaseは多義語で「事実」,
つまり,
「次のようなことは
Aに関してはよくある事実であるが」
かあ~
と考えてしまうと, 確実に時間とエネルギーのロスです
As follows 「次のとおり」
As I see it, 「私が思うには,」
As for me 「私に関して言うと」
as to what to do 「何をするべきかについては」
as of today 「今日現在」
as ~as possible 「できるだけ~」
as ~ as any... 「どんな…にも劣らず~」
as ~ as ever lived「古来まれな~」
とかも, イコールイメージ使って覚えてしまった方が◎
言わば交通標式のようなものですから,
イディオムには反射で対応できないと,
長文を読む時, 大変です
つまり,
「‘as’ の語源は ‘also’ と覚えておいて,
前後をイコールで結ぼうとしてるんだな
と思って①~⑦ にあてはめる,
イディオムとなってるものは
そのイメージをもって覚えてしまう」
というのが, 現状, 小生の‘as’というミーム攻略法です
それでは, このへんで
ラファエロ『ガラティアの勝利』